【例文】刑事事件の嘆願書の書き方や効果とは?|嘆願書の意味・書式・テンプレート
「嘆願書に署名してもらえそうだけど、嘆願書の書き方がわからない…」
ご自身やご家族が刑事事件の加害者になってしまった際、嘆願書の文面を作成する機会が訪れるかもしれません。
刑事事件の嘆願書の文面を作成したことがある!という方は稀だと思います。
- 嘆願書の意味・効果
- 嘆願書の例文(テンプレート)・書き方
- 嘆願書作成の際の注意点
など、先に知っておけばいざというときに役立ちますよね。
今回は「嘆願書の書き方や効果」をテーマにお送りします!
法律的な部分や重要なポイントは弁護士の先生に解説をお願いします。
嘆願書に署名してもらい、提出することは、刑事事件の流れの中でも非常に重要です。
嘆願書に関して知識を持ち、正しい嘆願書の文面を作成できるようになりましょう。
嘆願書作成時のポイントなどについて解説していきます。
よろしくお願いします。
目次
刑事事件の嘆願書とは?意味や効果を解説!
そもそも「嘆願書(たんがんしょ)」という言葉を聞いたことがありますか?
嘆願書とは、被害者や加害者の周りの人の立場から、加害者への寛大な処分を求めるようお願いする書面のことです。
まずは、刑事事件における嘆願書の意味や効果を知っていきましょう。
刑事事件の嘆願書の意味とは?
嘆願書が被害者の立場から、加害者への寛大な処分を求めるようお願いする書面だとわかりました。
その嘆願書を提出することはどんな意味を持っているのでしょうか。
嘆願書を提出することにより、
- 被害者が処罰を望んでいないこと
- 軽い処罰を望んでいること
を検察官に主張することが可能です。
嘆願書は、その後の刑事手続きにおいて非常に良い影響を与えます。
被害者に嘆願書へ署名してもらうことができればその後の刑事手続きが有利になるのですね。
「嘆願書」とは、上記の書面だけを指す言葉ではありません。
実は、嘆願書の種類は3種類あります。
まとめ
嘆願書の種類
①被害者から検察官・裁判所宛ての嘆願書 |
・被害者から検察官・裁判所へ提出する ・加害者に対する刑事処分を望まない、寛大な処分にしてほしい旨を希望する書面 |
②職場の関係者から検察官・裁判所宛ての嘆願書 |
・職場の関係者から検察官・裁判所に提出する ・加害者がいないと職場が立ち行かなくなることなどを理由に、寛大な処分をしてほしい旨を希望する書面 |
③被害者から加害者の会社宛ての嘆願書 |
・被害者から加害者の会社宛てに提出する ・加害者のことを許したので、会社内でも寛大な処遇をしてほしい旨を希望する書面 |
どれも、加害者のこれからのことを考えると非常に大切ですね。
特に強力な意味を持つのは①の「被害者から検察官宛ての嘆願書」です。
被害者から検察官宛てに嘆願書を提出すると、「被害の回復」が主張できます。
被害者が加害者を許すという証明で、処罰の必要性が乏しくなるといえます。
次は、事件の例を挙げて嘆願書の効果についてみていきましょう。
嘆願書の効果は?~交通事故編~
こちらでは交通事故についてみていきましょう。
交通事故で加害者が負う責任は複数あり、
- 民事責任
- 刑事責任
- 行政責任
の3つです。
3つの責任のくわしい内容は以下の記事でご確認下さい。
民事上の賠償は、任意保険に入っていれば通常保険会社が行うことになります。
しかし、交通事故を起こすと民事上の賠償とは別に刑事責任も問われます。
刑事手続きにおいて、加害者本人は被疑者として捜査の対象とされます。
そして、刑事処分において、起訴するかどうかは検察官が判断し、起訴された場合の刑罰は裁判所が判断します。
そのため、被害者の嘆願書が作成されても、起訴されたり、刑罰が科される可能性はあります。
しかし、嘆願書の作成は刑事処分において被害者に有利な影響を及ぼす可能性が高いです。
なぜ嘆願書の作成は刑事処分において被害者に有利な影響を及ぼす可能性が高いといえるのでしょうか?
交通事故の加害者に対する刑事処分は、
- 被害者の怪我の程度
- 加害者の過失の大きさ
- 被害感情の強さ
などを総合的に考慮して判断されます。
そして、嘆願書は考慮要素の一つである被害者の処罰感情の消滅・減少を証明する効果があります。
そのため、嘆願書の作成は刑事処分において被害者に有利な影響を及ぼす可能性が高いといえます。
刑事弁護人をつければ、被害者との間での嘆願書作成依頼・示談交渉を行うことが可能です。
保険以外の部分で示談金を支払い、被害者から嘆願書を作成してもらうこともできる場合があります。
その際、弁護人が示談交渉を行えば示談がスムーズに締結するケースもあります。
嘆願書の作成には、民事上の賠償とは別に交渉が必要ということですね。
嘆願書作成依頼(示談)交渉は弁護人を付けたほうが上手く行きやすいといえます。
刑事手続きに対応してもらえることは非常にメリットが大きいですね。
また、被害者側は加害者に非常に怒りを感じ、処罰感情を持っている場合があります。
その際も、弁護人が間に入ることで示談がまとまる可能性も高くなりそうです。
交通死亡事故の場合
万が一、死亡事故を起こしてしまった場合を確認しておきましょう。
死亡事故を起こしてしまうと、自動車運転過失致死として刑事裁判になることがほとんどです。
裁判では、加害者の過失の程度や事故態様などに応じて実刑や執行猶予になるのか判断が分かれます。
その刑事裁判において、情状資料として効果があるのが「嘆願書」です。
嘆願書が提出されれば、量刑上は有利に考慮されることが多いです。
しかし、死亡事故は取り返しのつかない非常に重い事件です。
遺族の方の気持ちを考えると、嘆願書を依頼することはできませんよね。
死亡事故において、加害者から嘆願書の作成を依頼されると、無神経かつ自己中心的な対応であると認識されるおそれがあります。
遺族の被害感情を逆なでし、状況が悪化する場合もあるでしょう。
最悪の場合、供述調書や法廷での証言で、加害者が無神経な対応をしたと非難され、裁判に不利な影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、謝罪の限りを尽くし、無理な嘆願書の作成依頼は控える方がよいでしょう。
加害者側のベストな対応としては、
- 遺族に対してできる限りの方法で真摯に謝罪を行う
- 無理に嘆願書の作成を依頼しない
ということですね。
亡くなられた被害者の方は戻ってきません。
嘆願書を作成してもらうことを考えず、遺族の方に謝罪をしっかりと尽くすことが大切です。
嘆願書の効果は?~傷害事件編~
今度は傷害事件の場合についてみていきましょう。
傷害罪を犯した者は、刑法で「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。
非常に重い刑罰ですよね。
裁判で検察官から懲役刑を求刑されたときに、刑務所に入らないためには執行猶予付きの判決を獲得する必要があります。
そのためには、弁護士を通じて有利な証拠を提出し、裁判官の心証を良くしていくことが重要です。
その際に、嘆願書があれば加害者にとって良い影響がありそうですが…
傷害事件において、嘆願書を入手するとどのような効果があるのでしょう。
傷害事件において、嘆願書の提出は非常に効果があります。
弁護士を通じて相手方と示談を締結し、許しの意思が表明された 嘆願書を取得することで、不起訴処分を獲得できる場合があります
傷害事件は被害者がいる犯罪です。
弁護士を通じて被害者と示談を締結し、示談書や嘆願書を提出できれば加害者にとって非常に有利な証拠となります。
しかし、傷害事件も相手の処罰感情が強い場合があります。
まずは、謝罪の限りを尽くすように努めましょう。
傷害事件の示談についてくわしくは以下の記事もご覧ください。
【例文】刑事事件の嘆願書の書き方|書式・テンプレートをご紹介
刑事事件の嘆願書の例文はこちら!
嘆願書の意味や効果についてよくわかりましたね。
こちらでは嘆願書の例文・テンプレートをご紹介します。
記載するべき事項や書式など、嘆願書について不明な点がたくさんありますよね。
まず、嘆願書は原則として被害者に書いてもらいます。
起訴前でしたら、「検察官宛て」、起訴後は「担当の裁判所宛て」に嘆願書を提出します。
先に嘆願書に記載するポイントを3つ確認しておきましょう。
嘆願書作成のポイント
① 事件を特定する
「いつ」「誰が」「どこで」「どんな事件」を起こしたのか。
② 示談が成立した事実を示す
示談が成立し、示談金の授受があったことを示す。
③ 反省の情と嘆願の趣旨
反省しており寛大な処分を嘆願する趣旨を書く。
以上の3つの点は必ず記載するようにしましょう。
嘆願書作成のポイント③では、事案に沿った理由を書くことが大切です。
被害者が、加害者の刑事処分を寛大にして欲しい理由は様々です。
思い通りにしようとせず、被害者の意思を尊重して事案に沿った理由を書きましょう。
では、刑事事件の嘆願書の例文をご紹介します。
実際に嘆願書を作成する際は先程のポイントに気をつけましょう。
嘆 願 書
検察官 ○○ 殿 平成○年○月○日、私と加害者□□□□との間で、平成○年○月○日に○県○○で発生した○○事件について示談が成立し、示談金○○円を受領しました。 □□□□は誠実に対応し反省もしているので、□□□□には寛大な処分をお願いします。 住所 ○○県○市○○ |
交通事故も上記の例文を参考に作成しましょう。
こちらはあくまでサンプルです。
事案によって被害者が、加害者の刑事処分を寛大にして欲しい理由は様々です。
事案・状況などを考慮し、事件に沿った文章にしましょう。
起訴された場合は、検察官ではなく、担当の裁判所に嘆願書を提出します。
宛名には「裁判所御中」と記載するようにしましょう。
嘆願書は手書きの方がいい?
嘆願書を作成する際に、
- 手書きで作成する
- パソコンで作成したものを印刷する
という二つの方法が考えられます
反省文や手紙などは、相手に気持ちが伝わるので手書きの方が良いかもしれませんね。
では、嘆願書はどうなのでしょう。
嘆願書が手書きであるべきか、パソコンでもよいのか特に明確なルールはありません。
最近は、パソコンで作成される方も多いようです。
【無料相談窓口】刑事事件の加害者になったらスグ弁護士に相談!
ここまで、嘆願書についてお送りしてきました。
嘆願書についての基本的な知識・書き方などはわかりましたね。
しかし、示談などについてご自身だけで色々な判断をしてしまうのは危険です。
刑事事件の加害者になってしまったらまずは弁護士に相談できれば安心ですよね。
こちらでは、弁護士の無料相談窓口と全国弁護士検索を紹介していきます。
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最後に一言アドバイス
最後に一言アドバイスお願いします。
相手と示談を締結し、嘆願書を獲得することはその後の刑事手続きにおいて非常に有効です。
ご自身だけで示談交渉や刑事手続きを進めていくのは困難です。
刑事事件で頼れる弁護士に依頼し、最適な示談交渉を行って貰いましょう。
また、嘆願書の作成も必須事項などを確認し正しく作成するように心がけましょう。
示談書や嘆願書は最終的に弁護士にチェックしてもらうとよいでしょう。