怪我をさせてしまったときの慰謝料の相場|未成年だとどうなる?
もし、あなたやあなたのお子様が他人に怪我を負わせてしまったとします。
被害者に慰謝料を支払うとして、傷害の慰謝料の相場はいくらくらいになるのでしょうか?
数万円?数十万円?
今回は、傷害罪の慰謝料について徹底調査しました。
法律的な部分の解説は、刑事事件で有名なアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
目次
傷害罪の慰謝料とは
今回は傷害罪の「慰謝料」についてレポートしたいと思います。
正確な知識があれば、いざというときにも安心です。
まず慰謝料って何ですか?
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。
人に怪我をさせてしまった場合、相手に与えた財産的な損害(治療費・通院費など)のほか、傷害によって生じた精神的苦痛に対しても、賠償しなければなりません(民法710条)。
傷害罪では、基本的には、損害が重たいほど慰謝料の金額も高額になります。
治療費などの賠償とは別に慰謝料の支払いも発生するんですね!
「傷害の程度」がポイントになるということです。
被害者の怪我の具合で慰謝料は大きく変わります。
まとめ
傷害罪の慰謝料と損害賠償
傷害罪の慰謝料 | 傷害罪の損害賠償 | |
---|---|---|
意味 | 怪我をさせたことで生じた精神的苦痛に対する賠償金 | 怪我をさせたことで生じた財産的損害の賠償金 (治療費、通院費、休業損害、逸失利益など) |
基準 | 傷害の程度(治療期間・後遺障害の程度など) | 傷害と因果関係のある損害 |
根拠条文 | 民法710条 | 民法709条 |
傷害罪の慰謝料に関するQA
傷害罪の慰謝料の相場は?
では、傷害罪の慰謝料の相場はいくらになるのでしょうか。
ネットで調べても、相場は「10万円」「50万円」「100万円」と、いろんな説が飛び交っています。
精神的苦痛の程度は人それぞれですが、過去の事例の蓄積から一般的には裁判で認められるであろう慰謝料の金額が、相場の目安となります。
傷害罪で慰謝料の基準となるのは、治療期間と後遺障害の有無です。
傷害罪による被害の程度が全治1週間程度の軽微なものであれば、慰謝料の金額は数万円程度でしょう。
これに対して、後遺障害が残るような重たい被害を受けた場合は、慰謝料の金額が数千万円を超えるケースもあります。
シミュレーションその1
傷害事件から治療終了まで90日(うち入院期間30日)を要し、後遺障害等級14級が認定された重症のケースで、入通院慰謝料が98万円、後遺障害慰謝料が110万円。
シミュレーションその2
傷害事件から治療終了まで180日(うち入院期間90日)を要し、後遺障害等級6級が認定された重症のケースで、入通院慰謝料が188万円、後遺障害慰謝料が1,180万円。
さらに、事故時の年齢が30歳で、事故前の年収が600万円だった場合は、後遺障害逸失利益として6,717万円を受け取れる可能性があります。
後遺障害が残る場合はぐんと金額が上がります。
被害の程度によって慰謝料が高額になることも十分ありえるということになります。
まとめ
傷害罪の慰謝料の相場は?
軽微な傷害罪 | 重大な傷害罪 | |
---|---|---|
慰謝料の基準 | 話し合いで決まることも多い | 判例の算定式に当てはめることが多い |
慰謝料の相場 | 数万円程度〜 | 数千万円を超えることもある |
傷害罪の慰謝料請求権の時効は?
傷害罪の慰謝料請求に「時効」はあるのでしょうか。
「時効」という言葉もよく耳にしますので、正確に理解しておきたいところです。
傷害罪の慰謝料請求権の時効は、傷害罪の損害および傷害罪の加害者を知った時から3年です。
慰謝料請求権は、3年間行使しない時は、時効によって消滅するので注意が必要です。
傷害罪の慰謝料請求権の時効の進行は、請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認によって中断します。
3年過ぎたら傷害罪の慰謝料は請求できなくなります。
これは被害者も加害者も、注意しておくべき点ですね。
まとめ
傷害罪の慰謝料請求権の時効は?
傷害罪の慰謝料請求権 | |
---|---|
いつから? | 損害および加害者を知った時から |
何年? | 3年 |
時効成立後は? | 慰謝料請求権は消滅する |
時効中断事由は? | 請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認 |
傷害罪の慰謝料と示談の関係は?
では、傷害罪の「慰謝料」と「示談金」は、何が違うのでしょうか。
2つの関係について、整理しておきましょう。
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。
実際のケースでは、慰謝料を支払うことで示談が成立するケースが多いです。
しかし、慰謝料を支払ったからといって必ず示談が成立するわけではない点を理解する必要があります。
傷害罪の被害者は、加害者から慰謝料を受け取る権利があります。慰謝料を受け取ったからといって必ず示談を締結しなければならないというわけではないのです。
慰謝料の支払いが「示談の成立」というわけではありません。
これは間違いやすい点ですので、覚えておきましょう。
まとめ
傷害罪の慰謝料と示談の関係は?
慰謝料 | 示談金 | |
---|---|---|
意味 | 傷害による精神的損害に対する損害賠償金 | 傷害事件の賠償問題を解決するための金銭 |
受領の効果 | 慰謝料の請求権が消滅する(※) | 賠償金の請求権が消滅する |
示談をしなくてもよい | 示談をしなくてはならない | 賠償金の請求権が消滅する |
傷害罪慰謝料と未成年者の関係は?
ところで、未成年者でも慰謝料は払うものなのかどうか、この点も解説します。
このような支払い義務は、大人だけの問題では?と思われることが多いです。
未成年者であっても、傷害罪の慰謝料の支払い義務を負うというのが、法律の判断です。
ただし、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていないほど低年齢の場合は、慰謝料の支払い義務を負いません(民法712条)。
一般的には、12歳から13歳程度を下回る年齢の場合、慰謝料の支払い義務はないことがあります。
未成年だからといって、慰謝料の支払いをしなくていいわけではありません。
それでは、傷害の加害者となった未成年が、慰謝料の支払い能力がなかった場合はどうなるのでしょうか?保護者に慰謝料を請求できる?
未成年者本人に支払い能力がなかったとしても、慰謝料の支払い義務を負うのはあくまで怪我を負わせた未成年者本人です。
ただし、本人が責任無能力(12~13歳を下回る年齢)の場合は、本人に慰謝料の支払い義務が生じない一方、保護者が監督責任を負うことになります(民法714条)。
また、本人が慰謝料の支払い義務を負う年齢である場合も、保護者に対して監督者責任を追及して、損害賠償を請求できることが多いです。
この場合、被害者には、未成年者本人に慰謝料を請求するか、保護者に監督義務違反の損害賠償を請求するという選択肢があります。
保護者には、人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から子供を指導監督する義務があります。
そのため、子供が危険性のある行為をした場合は、たとえ保護者の直接的な監視下になくとも、親の監督義務違反が認められることが通常です。
例外的に、親の監督義務違反が否定された判例(最判平成27年4月9日)がありますので、紹介しましょう。
事案
小学生の子供が校庭でサッカーボールを蹴ったところ、バイクで走行していた被害者が、校庭から転がり出てきたサッカーボールを避けようとして転倒して負傷し、その後死亡してしまったケース。
最高裁の判断
親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は、ある程度一般的なもの
とならざるを得ないから、通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は、当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。
このように、通常は危険性のない行為でたまたま怪我をさせてしまったような場合には、保護者の責任が否定されることもあるようです。
まとめ
傷害罪慰謝料(損害賠償)と未成年者の関係は?
12歳〜13歳以上 | 12歳〜13歳以下 | |
---|---|---|
未成年本人 | 慰謝料支払い義務あり(民法710条) | 慰謝料支払い義務なし(民法712条) |
保護者 (監督責任者) | 監督義務違反があれば、損害賠償支払い義務あり(民法709条) | 監督者責任によって、損害賠償支払い義務あり(民法714条) |
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ここまで、傷害の慰謝料について、弁護士の解説と共にお送りしました。
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まとめ
今回は傷害罪の慰謝料のことについて、くわしく解説してきました。
慰謝料がどうやって決まるのかなど、とても興味深い話でしたね。
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総まとめ
傷害罪の慰謝料 | 傷害罪の示談金 | |
---|---|---|
意味 | 傷害罪によって生じた精神的損害に対する賠償金 | 傷害罪の賠償問題を解決するための金銭 |
基準 | 傷害によって引き起こされた損害の程度 | 当事者の合意次第 |
慰謝料請求権の時効の起算点 | 損害および加害者を知った時から | 損害および加害者を知った時から |
慰謝料請求権の時効 | 3年 | 3年 |
時効成立後は? | 慰謝料請求権は消滅する | 損害賠償請求権は消滅する |