【強盗罪で逮捕】その後の流れ|現行犯逮捕と後日逮捕のちがいを一挙解説
強盗で逮捕されたら警察署で取り調べを受けてその後は、すぐに裁判?
逮捕された後はどのような流れですすんでいくのでしょうか。
普段の生活から、細部まで知ることはむずかしいと思います。
でも、ご家族やご自身が強盗で逮捕されたとしたら…
なにも分からないまま過ごすのは、不安が大きいことと思います。
そこで、本日は「強盗で逮捕されたら」をテーマに特別企画をお送りします。
- 強盗で逮捕された後の流れ
- 現行犯逮捕と後日逮捕
- 強盗はどんな刑罰?
このようなポイントを中心に調査した結果を報告します。
法律の解説は刑事弁護の専門家であるアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
強盗についての理解を深めていきましょう。
目次
強盗で逮捕の流れ!逮捕後はどうなる?
強盗事件のニュースは目にする機会が多いと思います。
こんな強盗事件があったようです。
東京・銀座の路上で4月、現金7200万円が入ったバッグが強奪された事件で、警視庁捜査1課は15日、(略)強盗容疑で逮捕した。(略)
出典:日本経済新聞(2017/11/15 12:36)
高額な現金が入ったバックを強奪したとして、「強盗容疑で逮捕」されたというニュースです。
銀座という土地柄からか、大金を持ち歩いている方もいらっしゃるんですね。
なぜそんな大金を持ち歩いていることがわかったのか。
事件の背景が気になるところですが、本日のテーマは「強盗の逮捕」です。
- 逮捕されたらどこに行く?
- どのくらいの期間、勾留される?
- 逮捕されたらすぐに裁判になる?
逮捕後の流れってナゾが多いと思います。
強盗で逮捕された後は、どのような流れで手続きがすすんでいくのか調査しました。
【図解】強盗の逮捕から勾留、起訴までの流れ
強盗「逮捕の流れ」図を確認
強盗事件での逮捕後の流れを解説していきます。
まず、こちらの図をごらんください。
逮捕されてから、裁判で判決が言い渡されるまでをカンタンにあらわした図です。
手続きの流れの大枠がつかめたのではないでしょうか。
では、強盗事件の逮捕についてもっと深く探っていきたいと思います。
各ポイントごとに解説します。
逮捕
強盗事件で警察官に逮捕されると、警察署での取り調べがおこなわれます。 そのあと、「48時間以内」に検察官に送致されます。 |
検察官に送致されないときは、釈放されます。
↓
送致
検察官に送致されると、検察官による強盗事件の取り調べがおこなわれます。 検察官は取り調べの結果によって、 ・裁判官に勾留請求する ・起訴する ・釈放する 検察官によっていずれかの判断がくだされます。 |
↓
勾留
勾留が決定すると「10日間」、留置場で生活することになります。 |
↓
勾留延長
勾留は「やむを得ない事由」があるときには延長されます。 勾留延長は10日間を限度として行われます。 |
↓
起訴
強盗事件を捜査した結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判が開かれます。 |
保釈が認められなければ、強盗事件の裁判が終了するまで勾留されつづけることになります。
↓
刑事裁判
公開の法廷で、強盗事件の審理がおこなわれます。 |
↓
判決
審理が尽くされると判決が言い渡されます。 |
強盗事件での逮捕から勾留、裁判までの流れはこのようにすすみます。
逮捕の流れをまとめた動画も用意しています。
あわせてご覧ください。
逮捕からの流れについて詳しくはこちらをチェックしてみてください。
強盗の逮捕とは…後日逮捕と現行犯逮捕の違いを知る
ここまでは強盗で逮捕された後の流れをくわしくみてきました。
では、強盗で逮捕される時ってどんなタイミングなんでしょうか?
- 強盗の犯行中に逮捕?
- 強盗の犯行直後に逮捕?
- 強盗の犯行から後日に逮捕?
逮捕といっても、いくつかタイプがあります。
逮捕のタイプ
- 後日逮捕(通常逮捕)
- 現行犯逮捕
- 緊急逮捕
こちらが逮捕の3つのタイプです。
実際に逮捕がおこなわれる中で、緊急逮捕のケースはあまり多くはないようです。
ここからは、多くの事件でおこなわれる後日逮捕と現行犯逮捕に焦点をあてていきたいと思います。
強盗の後日逮捕は逮捕状が必要
後日逮捕の解説からはじめます。
強盗で後日逮捕ってあるんでしょうか。
そもそも、後日逮捕っていったいどういう意味なんでしょうか。
まず、こちらをごらんください。
事件の発生現場から犯人が逃げていますね。
一般的に、事件発生の後日に逮捕されることを後日逮捕と呼んでいます。
法律用語としては、「通常逮捕」です。
後日逮捕を、もうすこし具体的にいうなら…
後日逮捕
事件発生から後日、警察官などの捜査機関によっておこなわれる。
後日逮捕は、逮捕状にもとづいてのみできる逮捕のこと。
強盗事件の捜査をとおして、犯罪の一定の証拠が集められます。
この証拠によって逮捕状が裁判官より発付されます。
刑事訴訟法で、逮捕について規定があります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
出典:刑事訴訟法第199条1項
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」というのを証明するために、証拠が集められます。
こちらの図をごらんください。
警察官などが集めた犯罪の証拠から裁判官が逮捕の必要性を審査します。
逮捕の必要性があると認められれば、裁判官が逮捕状を発付します。
このような段階をふんで、慎重に後日逮捕はおこなわれます。
一定の証拠を入手するために必要な時間は、事件の内容によってさまざまです。
- 事件から7日ほどのケース
- 事件から2~3年ほどかかるケース
集まった証拠にもとづいて逮捕状が発付され、その逮捕状にもとづいて逮捕されます。
逮捕状がなくても、犯行現場を目撃したような人なら誰でも逮捕できるということでした。
逮捕は、通常、逮捕状にもとづいていることが原則です。
原則ということは、例外があるということなんです。
それが、「現行犯逮捕」です。
つぎは、この現行犯逮捕について詳しくみていきましょう。
強盗は現行犯逮捕される?
現行犯逮捕について、こんな記事を見つけました。
コンビニエンスストアに包丁を持って押し入り現金を奪ったとして、武南署は28日、強盗の疑いで、川口市安行原、無職の男(62)を現行犯逮捕した。
事件発生は同日午前9時ごろで、居合わせた男性客が男を取り押さえ、駆け付けた署員に引き渡した。(略)
出典:埼玉新聞(2017年11月29日)
コンビニ強盗を、男性客が取り押さえて警察署員に引き渡したというニュースです。
「現行犯逮捕」したとありますね。
まず、こちらの図をごらんください。
事件の発生現場で、逮捕されています。
現行犯逮捕とはいったいどういう意味なんでしょうか。
現行犯逮捕
犯行を目撃したような場合、警察官など捜査機関以外の一般市民でも逮捕できる。
逮捕状なしに逮捕できる。
現行犯逮捕は、「現行犯人」であれば、誰でも逮捕することができます。
逮捕状なしでも逮捕できるのが現行犯逮捕です。
現行犯人については、こちらの条文で規定されています。
現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
出典:刑事訴訟法第212条
先ほど紹介したニュースでは、まさに強盗をおこなっている瞬間を目撃していました。
現行犯人であれば、警察官でなくとも逮捕することができます。
現行犯逮捕は、犯罪が明白な場合にかぎって認められている逮捕です。
強盗の現行犯逮捕
- バットをもって銀行員をおどし、現金が入ったカバンを受け取った
- 人を凶器で殴ってサイフをうばった
- タクシー運転手をナイフをもっておどし、乗車料金をふみたおした
犯行を目撃したなら、どんな人でも逮捕することができます。
一般人(私人)にが現行犯逮捕したあとは、すぐに捜査機関へ犯人の身柄を引き渡さなければなりません。
現行犯逮捕についてよりくわしくはこちらをご覧ください。
まとめ
後日逮捕と現行犯逮捕の違い
後日逮捕 | 現行犯逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 事件発生から後日 | 犯行中、犯行直後 |
逮捕できる人 | 捜査機関 | だれでも |
逮捕状 | 必要 | 不要 |
強盗はどんな刑罰・刑期?
ここまで逮捕について解説してきました。
ここからは、強盗の基本をおさえておきたいと思います。
強盗罪の基本
強盗というと、どのような犯罪を思い浮かべますか?
- 銀行強盗
- コンビニ強盗
- ファミレス強盗
このようなところでしょうか。
強盗
暴行または脅迫をもちいて、他人の財物をうばうこと
物を盗むという点では、万引きなどに代表される窃盗罪とも共通しています。
ですが、強盗は「暴行や脅迫」がなされていることがポイントとなります。
ナイフをもって、「殺されたくなければ金を出せ」といって金をうばえば強盗になります。
ちなみに、他人の財物を強取するだけが強盗ではありません。
強盗には、財物に対する強盗と利益に対する強盗の2種類の強盗があります。
財物に対する強盗
コンビニ店員にナイフをつきつけて、レジから現金をうばった
利益に対する強盗
美容師を凶器で殴って、カット代金を支払わずに逃げた
このような違いがありますが、どちらも強盗に該当します。
現金など手にすることができる財物を無理やりうばうことだけが強盗ではありません。
本来、代金を支払って受けるべきサービスを暴力や脅迫をもってふみたおす行為も強盗になり得ます。
強盗の意味についてくわしくはこちらもご覧ください。
強盗の刑罰は懲役?罰金はある?
強盗罪で有罪判決をうけることになったら、どのような刑罰となるのか気がかりです。
懲役刑となって、刑務所に入らなければならないのでしょうか。
あるいは、罰金を支払う可能性はあるのでしょうか。
暴行罪を規定している条文を確認してみましょう。
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
出典:刑法第236条
5年以上の有期懲役となっています。
罰金刑は規定されていません。
刑期についてもう少し詳しく解説します。
そもそも有期懲役とは、「1月以上20年未満」と規定されています。
これを強盗罪に当てはめてみると…
- 最短5年
- 最長20年
強盗罪をおこしたら、この範囲で判決がくだされることになります。
最短でも5年、刑務所で生活することになったとしたら…
そう考えるとかなり長い期間、刑務所に入らなければならないということが分かります。
強盗のほかに人の財物などを奪う犯罪として「窃盗罪」があります。
窃盗罪は暴行や脅迫をもちいないという点で、強盗罪との違いがあります。
この違いの差は、刑罰にも差があるのでしょうか。
こちらをご覧ください。
刑罰
強盗で有罪判決をうけたら
強盗 | 窃盗 | |
---|---|---|
懲役 | 5年以上、20年以下 | 1ケ月以上、10年以下 |
罰金 | 規定なし | 1万円以上、50万円以下 |
強盗罪は罰金刑がないことから、重大な犯罪であることが分かります。
強盗の刑期ついてくわしくはこちらをご覧ください。
【示談】強盗で逮捕されたら要検討!示談金の相場をチェック
強盗で逮捕されたらまず示談?
強盗にかぎらず、被害者のいる刑事事件を起こしてしまったときに大事だと言われているのが…
「示談」です。
そもそも示談とはどのような意味があるのかご存知ですか?
お金を支払うイメージはありますが、それだけの意味ではありません。
示談とは
当事者同士の話し合いで、双方の合意をもって事件を解決すること
示談を成立させるために、お金(示談金)が支払われます。
強盗は被害者に対して、
- 金銭的な損害
- 精神的、肉体的な苦痛
を与えることになります。
示談金は、被害者が被ったこのような損害に対する支払いです。
ですので、強盗事件の内容によってそれぞれ示談金の金額はことなります。
示談交渉の内容として必要なポイントがあります。
示談のポイント
- 被害者の被害回復の実現またはその見込み
- 宥恕(被害者の許し)
このようなポイントをおさえて、示談交渉をすすめることが大切です。
被害者との示談が成立しているかどうかは、刑事処分の判断をくだす際に影響します。
これが、示談をしたら不起訴になるといわれる所以です。
必ずしも、示談によって不起訴となるわけではないことはご留意ください。
しかしながら、被害者に対する償いの一つとして示談をおこなっています。
この点は、刑事処分で評価される点ではあります。
強盗の示談についてくわしくはこちら
強盗の示談金相場は?
では、ここからは実際に支払われた示談金例を紹介します。
実例を紹介するので参考になるものばかりだと思います。
厳選して3つピックアップしました。
それではごらんください。
事件の概要 |
---|
タクシーの乗車料金8600円を払わず、タクシー運転手に暴行を加え、約7日間の加療を要する傷害を負わせた |
示談金 |
2万円 |
刑事処分 |
不起訴 |
こちらの強盗事件では、示談金は2万円とのことです。
乗車料金が8600円なので、残りの1万円強は治療費といった慰謝料であると考えられます。
このケースでは、不起訴処分になっています。
つづいてのケースを紹介します。
事件の概要 |
---|
共犯者と共に路上で通行人に暴行を加え、現金約10万3000円などをうばい、全治10日から2週間を要する傷害を負わせた |
示談金 |
15万円 |
刑事処分 |
懲役3年(執行猶予4年) |
つづいての強盗事件では、示談金は15万円とのことです。
執行猶予つきの懲役刑が言い渡されています。
強盗の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
情状に酌量すベきものありと、5年より短い判決が言い渡されたようです。
示談の成立が、重要なポイントであることが感じられます。
さいごのケースを紹介します。
事件の概要 |
---|
コンビニで雑誌1冊を盗んだところを見ていた店長に呼び止められ、逮捕をまぬかれるため暴れたことで店長を転倒させ、暴行を加え、加療約180日間を要する傷害を負わせた |
示談金 |
379万円 |
刑事処分 |
送致なし |
こちらの強盗事件では、示談金は379万円とのことです。
1つ目の強盗事件とくらべてしまうと、かなり高額に感じます。
ですが、注目のポイントは「送致なし」という点です。
示談交渉をとおして、被害者に対して真摯に謝罪をおこなったりしたことも要因であるでしょう。
お金ですべて解決すればいいという話ではありませんが、誠意を伝えるという点では示談金の支払いは重要です。
本日は2万円~379万円と、示談金にかなり幅のある事例を紹介しました。
示談金は、事件の内容によって異なることがお分かりいただけたと思います。
紹介した例以外にも、強盗の示談金例を知りたいという方はこちらをお使いください。
窃盗、強制わいせつ、暴行・傷害など…
刑事事件の実例を参考に、示談金を確認してみましょう。
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また、強盗罪の逮捕の場合、刑事手続きにおいて最後まで強盗罪として処理されるというわけではありません。
弁護活動を尽した結果、「窃盗罪」と「暴行罪」の成立にとどまることもめずらしくはありません。
くわえて、このような事案では被害者と示談成立させることで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
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