【事件別】刑事事件の示談の条件を徹底解剖。口約束でも示談は成立する?!
今回は、示談で一番知りたい点について、専門家の先生にお話を伺います。
テーマはズバリ、刑事事件の示談が成立する条件とは何なのか。
今日は示談経験が豊富な弁護士先生に解説をお願いします!
目次
刑事事件の示談の条件とは
刑事事件の示談成立の条件とは?
さっそく先生にお話を伺います。
刑事事件で示談をするときの、成立条件について教えてください。
刑事事件で示談が成立するためには、加害者と被害者の両当事者が合意していることが条件です。
示談書の作成は、刑事事件の示談が成立するための条件ではありません。
単なる口約束でも示談が成立します。
ただし、口約束だけの場合は、後から示談の成立が争われた場合に、証拠がないため水掛け論になってしまい危険です。
そのため、口約束だけでも示談は成立しますが、示談書を作成した方が無難といえます。
示談成立の証拠となる示談書作成ポイント
示談書自体は、紙に示談の内容が書かれており、加害者と被害者の双方がサインすれば有効に成立します。
紙の種類に制限はありません。
また手書きのサインがあれば、印鑑は不要です。印が押されていなくても、サインがあれば示談書は有効に成立します。
示談の内容や条件については、トラブルの再発を防ぐ観点からも、正確かつ分かりやすく記載することが重要です。
口約束でも示談は成立するんですね!
でもやっぱり、示談書の作成はしておいたほうがよさそうですね。
宥恕とは?宥恕つき示談の意味は?
「ゆうじょ」って、何?
まずはここから教えてください!
宥恕とは、被害者が加害者を許すことをいいます。
被害者側の宥恕がある場合、通常は、示談書の中に「被害者は加害者に対して寛大な処罰を望む」「被害者は加害者の行為を許す」といった宥恕条項が盛り込まれることになります。
「告訴を取り消す」「被害届を取り下げる」といった一文も、被害者の宥恕の意思を表すものになります。
刑事事件において宥恕がもつ意味は、あなたが加害者側か、被害者側かによって異なってきます。
加害者と宥恕
あなたが加害者の場合、宥恕つき示談が成立すると、刑事処分の観点から大きなメリットを受けることになります。
痴漢や盗撮、窃盗などの比較的軽微な犯罪の場合は、宥恕つき示談が成立したことで、事件が不起訴になり前科がつかないケースも多いです。
強姦や強制わいせつなど親告罪の場合は、宥恕つき示談で告訴が取り消されれば、必ず不起訴になるので、刑事裁判になることも前科がつくこともありません。
(※2017年7月13日に改正刑法が施行され、旧強姦罪・強制わいせつ罪ともに、親告罪ではなくなりました。しかし依然として、強姦事件や強制わいせつ事件で示談が成立し、告訴が取り消されれば、不起訴になる可能性は高くなります。)
重大な犯罪の場合は、被害者が宥恕していれば、刑務所に行かずに済むケースが多くあります。
被害者と宥恕
あなたが被害者の場合、加害者を宥恕することで、加害者の刑事処罰が軽くなることを念頭に置く必要があります。
もっとも、宥恕することを条件に、相場よりも高めの示談金を受領できるケースがあるなど、メリットを受けることもあります。
また、相手を宥恕していれば、逆恨みされない、逆恨みされるリスクが低くなる、などのメリットを受けることも期待できます。
その意味で、宥恕するか否かは、一時の感情ではなく、総合的に判断することが大切です。
だんだん難しくなってきましたね…
ということは、刑事処分はどんな示談をしたかで、大きく変わることもあり得るってことですね。
事件別にみた示談の条件
詐欺罪の示談の条件は?
ではここからは、事件ごとにみていきたいと思います。
まず、詐欺事件の場合の示談の条件にはどのようなものがあるんでしょうか?
詐欺事件の賠償問題の解決方法について両当事者が合意していることが条件になります。
詐欺事件の場合は、他の財産犯の場合と比べて、被害が多額になる傾向があります。
示談の成立は全額弁償が前提になるケースが多いので、示談成立の条件を満たすためには十分な示談金を用意することが大切になってきます。
警察介入前の詐欺事件であれば、警察に届け出ないことを示談の条件とすることも可能です。
なるほど。詐欺事件と言っても、被害額の大小でも展開は変わってきますよね。
どれも同じように示談ができるってわけではないですね。
傷害罪の示談の条件は?
では、傷害罪の示談の条件はどうでしょうか。
何か特徴はありますか?
傷害事件の賠償問題の解決方法について両当事者が合意していることが条件になります。
傷害事件の場合は、被害者の治療費や通院費、その他の精神的慰謝料に関して、十分な賠償が行なわれることが示談の前提になるケースがほとんどです。
けがの程度によっては、示談金が多額になるケースも多いです。
示談成立の条件を満たすためには、十分な示談金を用意できることが大切になってきます。
そうなんですね。今度は「慰謝料」という言葉が出てきましたね。
やはり怪我の程度が大きなカギになりそうですね。
窃盗罪の示談の条件は?
窃盗罪についてはどうでしょうか。
先生、今度は窃盗罪の示談の条件について解説をお願いします。
窃盗事件の賠償問題の解決方法について両当事者が合意していることが条件になります。
窃盗事件の場合は、被害品を弁償できることが、示談成立の前提条件になるケースが多いです。
盗んだものをなくしてしまった場合は、品物相当額のお金で賠償することになります。
その上で、相手に迷惑をかけた点について、十分な金銭補償をすることが大切になってきます。
他の事件と似ているようで、少し違いますね。
やっぱり、事件によって示談の内容も変わってくるようですね。
恐喝罪の示談の条件は?
では、恐喝罪は何が示談の条件なのでしょうか?
恐喝罪もニュースでよく聞く事件のひとつなので気になります。
恐喝事件の賠償問題の解決方法について両当事者が合意していることが条件になります。
その上で、恐喝で相手から奪った金銭や物品を返却し、迷惑料としてプラスαの示談金を支払うことが大切になってきます。
警察介入前の恐喝事件であれば、示談が成立することで警察沙汰にならないケースも多いです。
「両者の合意」は絶対条件ですね。
この点はどの示談でも共通してそう!
旧強姦罪の示談の条件は?
先生、性犯罪はどうでしょうか。
例えば、強姦事件。
強姦事件の示談条件は何なんですか?
強姦事件の賠償問題の解決方法について両当事者が合意していることが条件になります。
宥恕条項の有無や告訴取消しの有無は、示談に必ず必要な条件ではありません。
強姦事件の損害をいくらで清算するのかという点が重要になってきます。
もっとも、刑事事件の加害者側としては、親告罪である旧強姦罪では、告訴が取り消されれば事件が不起訴になり、前科がつかないという大きなメリットを受けます。
(※2017年7月13日に改正刑法が施行され、旧強姦罪は親告罪ではなくなりました。しかし依然として、強姦事件で示談が成立し、告訴が取り消されれば、不起訴になる可能性は高くなります。)
そのため、強姦事件の示談の条件として、告訴取消しの有無が問題になることが多いです。
強姦事件の被害者の側としても、告訴を取り消す代わりに相場よりも高い示談金を受領できるケースがあります。
最終的な示談金は、両当事者の納得のもと、話し合いで決められることになります。
やはり事件によってもポイントは違うんですね。
刑事事件の示談の条件に関するQA
刑事事件の示談で外せない条件とは?
ではここで、刑事事件の示談のポイントをまとめていきたいと思います。
まず、示談で外せない条件について、先生、解説をお願いします!
刑事事件の示談が成立するためには、両当事者が合意していることが条件になります。
加害者・被害者の双方が示談の内容に合意していることが、示談で外せない条件です。
両当事者が合意しているとは?
刑事事件の加害者と被害者の双方が合意しているといえるためには、示談の交渉過程で、詐欺や脅迫があってはいけません。
詐欺や脅迫にもとづく合意は、将来的に取り消しが可能なので、一時的に示談が成立したとしても取り消される可能性があります。
示談の条件を理解し、真意にもとづく合意があることが大切です。
なるほど、ここはとても重要ですね。
どんな事件の示談でも、ここは外せないですね。
刑事事件の示談は口約束でも成立する?
先生、ここで気になることを質問します。
示談は口頭でも成立するんでしょうか?
やはり示談書という書面にしないといけないものでしょうか??
刑事事件の示談は口約束でも成立します。
示談書の作成は、刑事事件の示談が成立するための必要条件ではありません。
もっとも、口約束での示談は、次のようなメリットとデメリットの両面があります。
口約束で示談するメリット
①示談の成立が簡単でスピーディー
面倒な示談書を作成せずに口約束だけで示談を成立させるため、示談の成立が簡単でスピーディーです。
将来もめないことが確実なのであれば、口約束だけで示談を成立させるのも一つかもしれません。
ただ、トラブルが再発した場合のリスクは自らで引き受ける必要があります。
弁護士の立場からはお勧めできません。
②面倒な書面作成が不要
面倒な示談書の作成が不要なため、法律の知識がパソコンの技術がなくても示談を成立させることができます。
示談書は手書きでも大丈夫ですが、口約束の示談の方が簡単です。
自分で示談をする場合は、示談書の作成はなかなか難しいかもしれません。
口約束で示談するデメリット
①証拠として利用できない
口約束だけで示談を成立させた場合は、示談書を証拠として使えないので、トラブルが再発した場合に困ります。
また、刑事事件の示談の場合は、検察庁や裁判所に示談書を提出できないので、示談の成立の証明が困難です。
本当は示談が成立していても、口約束だけの場合は、示談不成立として扱われるリスクがあります。
②トラブルが再発するリスクがある
口約束だけで示談を成立させた場合は、示談の条件面で思い違いや勘違いが生じて、トラブルが再発するリスクがあります。
示談書がなければ、こちらが正しいことを主張しても水掛け論になってしまうことが多いです。
示談書がなければ示談の条件面を証明することは困難なので、弁護士の立場からは示談書の作成をお勧めしています。
そうなんですね!
口約束でも示談はできてしまうんですね。
でも、口約束でした場合のデメリットを考えると、やっぱり書面にしておいたほうがよさそうですね。
刑事事件の示談成立後に気を付けることは?
示談が成立した後のことも気になるんですが、、、
示談成立後に気を付けることって、何かありますか?
刑事事件の示談成立後に気をつけることは、あなたが加害者側なのか、それとも被害者側なのかによって異なります。
加害者側が気をつけること
①示談の条件を実行すること
刑事事件の加害者は、示談が成立した後もちゃんと示談の条件を実行することが大切です。
特に、示談金の支払いがまだの場合は、ちゃんと支払うようにしてください。
示談が成立しても、示談金を支払わなければ民事裁判になるリスクがあります。
また、接触禁止や通勤路変更の条件などが付いている場合は、これらの条件についても遵守するようにしましょう。
②証拠として提出すること
示談が成立した後は、示談書などの書類を検察庁や裁判所に証拠として提出することが大切です。
これをちゃんと証拠として提出しなければ、手続き上は、示談が成立していないものとして取り扱われることになります。
刑事手続においては、証拠の提出が重要です。
弁護士がついている場合は、必ず弁護士に成立した示談書を証拠として提出してもらうようにしましょう。
被害者側が気をつけること
①示談の条件を実行してもらうこと
刑事事件の被害者側は、示談が成立した後も、ちゃんと加害者に示談の条件を実行してもらうことが大切です。
もし加害者が示談金の支払いや接触禁止、通勤路変更などの条件に違反している場合は、なるべく早い段階で警察や弁護士に相談するようにしましょう。
ストーカー被害に発展するケースも考えられるため、早めの対応が大切です。
なるほど。
被害者と加害者で、それぞれに気を付けなければいけないことがあるんですね。
勉強になりました!
なお、示談金の相場はこちらからもかんたんに確認できるようにしておきました!
示談の条件の相談なら弁護士にお任せ!
ここまで、示談の条件について、弁護士の解説と共にお送りしました。
これで一般的なことはカバーできました。
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では先生、最後にひとことメッセージをお願いします。
示談の条件でお困りの皆さん。
今後のことを考えると、不安な気持ちになるでしょう。
しかし、刑事事件の解決はスピードとタイミングが勝負です。
落ち込んでいる暇はありません。
早い段階でご相談いただくことで、弁護士としてもやれることが増えます。
まずはとにかく、弁護士に積極的にご相談ください。
まとめ
総まとめ
口約束の示談 | 書面による示談 | |
---|---|---|
示談の成立条件 | 両当事者が合意していること | 両当事者が合意していること |
示談の有効性 | 示談は有効に成立する | 示談は有効に成立する |
問題点 | 紛争が蒸し返されるリスクがある | 特になし |
今回は刑事事件の示談の条件について、弁護士先生の経験を踏まえてお話をいただきました。
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