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刑事事件の執行猶予とは|意味や執行猶予中の注意点、「条件・期間・取消し」まとめ

  • 刑事事件,執行猶予

刑事事件の執行猶予とは|意味や執行猶予中の注意点、「条件・期間・取消し」まとめ

よくニュースなどで耳にする「執行猶予」。

聞いたことはあるけど、意味はイマイチ分からないという方も多いのではないでしょうか。

  • 「執行猶予ってどういう意味?」
  • 「執行猶予って取消しになるとどうなるの?」
  • 「執行猶予期間中は海外旅行に行ける?」
  • 「執行猶予の期間が満了すればもう大丈夫?」

このような執行猶予に関する疑問にお答えしていきます。

刑事事件における「執行猶予」とは?

執行猶予の意味|「弁当」持ち?

執行猶予の意味

懲役3年、執行猶予5年」という刑を言い渡されると、どういう刑罰を受けることになるのでしょうか。

執行猶予の意味から順にみていきましょう。

執行猶予とは、有罪の場合に一定の期間、刑の執行を猶予する制度です。

懲役刑の猶予期間中は、刑務所に収監されることなく、社会の中で更生のための生活を送ることになります。

その猶予期間が経過すれば、刑の言い渡しの効力は無くなります。

「懲役3年、執行猶予5年」と言い渡された例でいうと・・・

  • 「懲役3年」という刑罰が、裁判が確定した日から「5年間」、刑の執行が猶予される
  • 執行猶予が取り消されることなく期間を満了すると、「懲役3年」は執行されなくなる

懲役刑になっても、執行猶予が付き、無事その期間を満了すれば、刑務所に服役することはないということです。

「弁当持ち」

マニアックな知識をお持ちの方はご存知かもしれませんが・・・

執行猶予のことを「弁当」と呼んだりします。

いつも持ち歩き、食べたらなくなるから、だそうです。

また、執行猶予中の人のことを「弁当持ち」と呼びます。

執行猶予が付く条件|懲役刑だけ?

意味が分かれば、次に気になるのは、

「どういう場合に執行猶予が付くのか」です。

執行猶予が付く条件を見ていきましょう。

執行猶予が付くためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 条件①言い渡される刑が3年以下の禁錮・懲役、または50万円以下の罰金であること
  2. 条件②酌むべき情状があること
  3. 条件③以前に禁錮・懲役刑になったことがない、あるとしてもその刑の執行終了から5年以内に禁錮・懲役刑に処せられることなく過ごしたこと

①~③までの、執行猶予が付く条件を、具体的に見ていきましょう。

条件①

言い渡される刑が3年以下の禁錮・懲役、または50万円以下の罰金であること

「懲役5年」などと言い渡された場合、執行猶予が付くことはありません。

そして、疑われている罪の法定刑が懲役3年を超えていても、言い渡される刑が懲役3年以下である場合は、執行猶予が付く可能性があります。

殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」ですが、「懲役3年、執行猶予5年」が言い渡された判例もあります。

この判例が出された経緯には、「情状酌量」が関係しています。

条件②

酌むべき情状があること

酌むべき情状に関しては、判断するのは裁判官です。

加害者の加害行為について同情すべき理由がある場合、「情状酌量」といって、刑が減らされることがあります。

殺人罪の法定刑は「死刑か無期か5年以上の懲役」です。

しかし、介護疲れや、家庭内で被害者から日々暴行を受けていたなど、よほどの酌むべき情状がある場合、「懲役3年、執行猶予5年」などと言い渡されることもあるのです。

認知症になった元夫(略)と海に飛び込み、殺害したとして、殺人罪に問われた(略)被告の裁判員裁判で、福岡地裁は3日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

判決理由で裁判長は「介護に疲れ、1人で思い詰めて無理心中を図った。被告を強く非難することはできない」と述べた。

この裁判では、裁判長は加害者の介護疲れに酌むべき情状があるとし、加害行為は殺人罪ですが「懲役3年、保護観察付執行猶予5年」を言い渡しました。

条件③

以前に禁錮・懲役刑になったことがない、あるとしてもその刑の執行終了から5年以内に禁錮・懲役刑に処せられることなく過ごしたこと

これは、わかりやすく言うと、前科がないまたは累犯ではないことが執行猶予が付く条件の一つということになります。

例えば、昨年に刑務所から出たばかりで、また懲役刑になるような罪を犯してしまうと、次は執行猶予が付かなくなります。

執行猶予期間の決められ方|3年~5年が多い?

「懲役3年、執行猶予5年

この「執行猶予5年」はどんな基準で決まるのでしょうか。

刑法25条には、執行猶予期間の上限と下限が定められており、

「裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができる。」とされています。

実務上は3年から5年の範囲内で、執行猶予期間が定められることが多いです。

執行猶予の期間についても裁判官の裁量に委ねられているため、何年の執行猶予が付くかも裁判官次第です。

ちなみに、執行猶予期間は短ければ短いほど、被告人にとっては有利です。

執行猶予期間
  • 多くは3年~5年の間
  • 裁判官の裁量によって決められる

保護観察付執行猶予とは

執行猶予に保護観察が付される、保護観察付執行猶予というのがあります。

保護観察とは、犯罪をした人が社会の中で更生するように、保護観察官と保護司が指導と支援を行うことです。

学校や仕事に通いながら、保護観察所の指導を受けたり、定期的に保護司と面会して生活状況を報告して更生を図ります。

保護観察が付されるのは、以下のような場合があります。

犯罪を繰り返している 身近に適切な監督者がいない 自暴自棄になり反社会的な行動に出るおそれがある

認知症を患っている

保護観察については、法務省のホームページで詳しく記載されています。

執行猶予が取り消しになる条件と実刑

執行猶予中の再犯|交通違反は犯罪?万引きの場合は?

執行猶予期間中に再び罪を犯すと、執行猶予が取消しになることがあります。

取消しとは、

執行猶予が外れて、判決通りの刑(多くは懲役刑)が執行されるということです。

執行猶予が取り消される場合には、

  • 必ず取り消される場合
  • 裁判官の裁量によって取消しになるか決められる場合

があります。

執行猶予の必要的取消し

以下のような場合は、必ず執行猶予が取り消されます。

  • 執行猶予期間中に、さらに罪を犯して、執行猶予のつかない禁錮以上の刑に処せられたとき。
  • 執行猶予の言渡し前に犯した他の罪について、執行猶予のつかない禁錮以上の刑に処せられたとき。
  • 執行猶予の言渡し前に、他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

執行猶予中にさらに罪を犯して(再犯)禁錮以上の刑、すなわち禁錮・懲役刑が言い渡された場合は、執行猶予が取り消されます。

例えば、執行猶予期間中に傷害事件を起こして、傷害罪として有罪判決が下され、執行猶予の付かない懲役刑が言い渡されたとします。

この場合、前の判決での執行猶予は必ず取り消しになります。

反対に、再犯の罪に対しての求刑が禁錮以上でも、その刑にまた執行猶予が付いた場合は、前の執行猶予が取り消されるわけではありません。

執行猶予の必要的取消し

執行猶予中の再犯によって、禁錮以上の刑(実刑)に処せられたときなどの場合、執行猶予は必ず取り消される。

執行猶予の裁量的取消し

次は、裁判官の裁量によって執行猶予が取り消されるか決められる場合です。

以下のような場合は、裁判官の裁量によって執行猶予が取り消される可能性があります。
  • 執行猶予期間中に、さらに罪を犯して、罰金に処せられたとき。
  • 保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
  • 執行猶予の言渡し前に、他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。

    執行猶予中にさらに罪を犯して(再犯)その罪について罰金刑が言い渡された場合は、前の執行猶予が取り消されるかどうかは、裁判官によって判断されます。

執行猶予の裁量的取消し

執行猶予中の再犯によって、罰金刑に処せられたときなどの場合、執行猶予が取り消されることがある

では、執行猶予中に交通違反や万引きをしてしまった場合、執行猶予は取り消されるのか見ていきましょう。

交通違反

交通違反で執行猶予が取り消される場合と、取り消されない場合があります。

ただ、軽微な交通違反で執行猶予が取り消されることは、ほとんどありません。

いわゆる青切符程度の一時停止違反や駐車違反などでは、反則金を払えば刑事責任を負うことはなく、執行猶予が取り消されることもありません。

ちなみに、交通違反における反則金は、刑事罰としての罰金とは別物です。

青切符を切られただけでは、執行猶予は取り消されない

交通違反で執行猶予が取り消される可能性があるのは、赤切符を切られるときのような、刑事罰としての罰金刑が科される場合です。

30km/h以上(高速道路では40km/h以上)の速度超過、飲酒運転、無免許運転、ひき逃げなどがそれに当たります。

赤切符が切られると、執行猶予が取り消される可能性がある

執行猶予期間中は、普段以上に注意して運転する必要がありそうです。

万引き

万引きも、執行猶予が取り消される場合と、取り消されない場合があります。

万引きの再犯であっても、2回目だったり、少額で示談も済んでいる場合は、また執行猶予が付くことも少なくありません。

しかし、悪質性が高い場合や反省の色がない場合などは、実刑判決が下され、以前の執行猶予も取り消されることがあります。

万引きの再犯については、こちらの記事で詳しく解説しています。

執行猶予が取消しになると実刑になる?

執行猶予が取り消されると、どうなるのでしょうか。

執行猶予が取り消された場合、執行猶予期間中、いつ取り消された場合でも言い渡された刑の全部が執行されます。

再犯によって執行猶予が取り消された場合は、次の刑に加算されることになります。

例としては、このようになります。

執行猶予取消しによる刑期の加算
先の犯罪の刑期 懲役3年執行猶予5
再犯の刑期 懲役2
最終的な刑期 懲役5

例えば、懲役3年執行猶予5年の判決が下され、その5年の猶予期間満了前に再犯をして懲役2年の刑に処されるとします。

その場合、次の懲役2年の刑に、執行猶予が付されていた懲役3年もそこに加算されることになります。

したがって、5年の懲役を受けることになります。

再犯で執行猶予が取消しになると、執行猶予になっていた刑期が次の犯罪の刑期に加算される

執行猶予中は生活に制限はある?

執行猶予中は海外旅行に行ける?

執行猶予中、海外旅行に行けるのかどうかですが、

  • パスポートを作れるのか
  • 執行猶予中であることを理由に出国・入国できないことはあるか

に分けて考えてみましょう。

パスポート取得の可否

執行猶予期間中であっても、基本的にはパスポートを取得することができます。

執行猶予中でもパスポートを取得できますが、以下の場合は制限されることがあります。

旅券法13条1項
①渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
②死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
③禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
④第二十三条の規定により刑に処せられた者
⑤旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
⑥国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
⑦前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

上記に該当しない場合は、執行猶予中であってもパスポートを取得することはできます。

ただ、パスポートの申請をする際に

「現在日本国法令により、仮釈放、刑の執行停止又は執行猶予の処分を受けていますか。」

という質問事項があります。

ここで、「はい」と答える必要があります。

もしここで虚偽の記載をしてしまうと、旅券法第23条第1項により処罰(5年以下の懲役又は300万円以下の罰金)の対象になりますのでご注意ください。

海外渡航の可否

では執行猶予中、海外渡航は問題なくできるのでしょうか。

海外渡航に関しては、渡航先の国によっては制限される場合があります。

執行猶予中、海外旅行をしたい場合は、各国の大使館に問い合わせてください。

アメリカなど、入国にあたって犯罪歴の申告が必要な国もあります。

有罪判決を受けたことがある場合はビザ申請が必要になり、場合によってはビザの取得ができないことがあります。

詳しくは大使館に問い合わせてください。

執行猶予中は就職できる?仕事への影響とは

執行猶予が仕事に影響することはあるのでしょうか。

基本的に、執行猶予によって仕事が制限されることはありません。

就職活動を行うことも可能です。

職種によっては、執行猶予付き有罪判決が影響してくることがあります。

医師や弁護士、公務員などの場合は資格剥奪されたり、執行猶予中は資格を取得することができなくなったりします。

弁護士の例をご覧ください。

次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。

一 禁錮以上の刑に処せられた者

医師なら医師法、弁護士なら弁護士法、公務員なら公務員法に規定されています。

前科就職については、こちらの記事で詳しく解説しています。

執行猶予が満了すればどうなる?

執行猶予の満了は通知がくる?

執行猶予期間の算出方法

執行猶予期間が満了すると、それを知らせる通知は送られてくるのでしょうか。

執行猶予期間満了を知らせる通知はありません。

そのため、ご自身で執行猶予期間を算出して、把握しておく必要があります。

執行猶予期間がいつからいつまでかは、以下のようにして算出します。

執行猶予期間の出し方(執行猶予5年の場合)
  意味
判決日 判決が言い渡された日 2018
81
起算日 上訴期間が終了し、
判決が確定した日
2018
815
満了日 起算日から5年後 2023
814

判決が確定するのは、上訴期間(判決言い渡し日の翌日から14日間)が終わった次の日です。

したがって、2018年8月1日に判決が言い渡された場合、その判決が確定するのは2018年8月15日24時00分です。

満了するのは執行猶予5年の場合は、5年後の2023年の8月14日24時00分になります。

執行猶予の満了すればすべて終了?

執行猶予期間が満了すると、言い渡された刑は受けなくてよくなるのでしょうか。

執行猶予の期間中、新たに犯罪を犯して執行猶予を取り消されることがないまま無事に過ごすと、刑の言い渡しは効力を失います。

刑の言い渡しが効力を失う」ということは、例えば懲役3年執行猶予5年と言われていた場合は、懲役3年の刑を受けなくてよくなるということです。

ただし、効力が無くなったからといって、「刑の言い渡しを受けた事実がなかったことになる」というわけではありません。

つまり、執行猶予期間が満了しても、犯罪を犯した事実がなかったことになったり、前科が消えたりはしません。

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まとめ

刑事事件執行猶予に関することはわかりましたか?

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