窃盗癖の治療が更生の第一歩|窃盗罪と心の病「窃盗症(クレプトマニア)」を見つめて
窃盗癖(クレプトマニア)という依存症があることをご存知でしょうか。
物を盗む行為が犯罪だと分かっていても、盗みたい衝動に駆られる場合は依存症の可能性があります。
本日は、「窃盗癖の治療について知る」と題して窃盗癖について調査レポートをお届けします。
- 窃盗癖とは?
- 窃盗癖の「治療」の取り組み
- 窃盗癖の治療と判決の関係
このような点に着目して、窃盗癖と治療について調査していきたいと思います。
法律面の解説者には、アトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
目次
窃盗癖とは?
窃盗罪というとあまりピンとこない方も多いかもしれませんね。
万引き・スリ・バイク窃盗・置き引きなど…
「他人の物を盗む行為」が窃盗罪です。
窃盗罪は、刑法で規定される犯罪です。
窃盗罪の法定刑
10年以下の懲役または50万円以下の罰金
窃盗罪は、このような範囲内で刑罰がくだされることになります。
窃盗罪についてくわしくはこちら
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治療が必要な心の病「窃盗症・窃盗癖」
窃盗症や窃盗癖という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
はじめて聞くという方も多いかもしれませんね。
窃盗癖は依存症の一種であり、心の病気といわれています。
依存症は、おもに2種類あるといわれています。
おもな依存症の種類
- 物質への依存:アルコール依存症、薬物依存症など
- プロセス(特定の行動)への依存:ギャンブル依存症、窃盗症など
依存する対象はちがいますが、どの依存症も繰り返すことでより強い刺激を求めるようになります。
やめようと思ってもやめられず、いつも頭から離れないといった特徴が出てきます。
窃盗癖や窃盗症は、クレプトマニアとも呼ばれています。
盗むという行為そのものの衝動をおさえられないという精神障害のことをいいます。
数百円など少額だったり、必要もないのに盗む行為に依存してしまうような症状が窃盗症です。
過食症・摂食障害などその他の精神疾患と窃盗癖が合併症状を引き起こすようなケースも報告されています。
窃盗癖の特徴は、繰り返しおこなうこと
店の商品を支払わずに持ち去るような「万引き」を繰り返しおこなうようなケースは、窃盗癖・窃盗症である場合が多いです。
万引きを繰り返す原因としては、貧困や生活苦からということも考えられます。
このようなケースでは、盗んだ物への必要性から窃盗をおこなっています。
一方、窃盗癖は盗む物に対しての必要性がないというケースが多いようです。
窃盗症の特徴は、「繰り返しおこない、やめられない」という点にあります。
- 物を盗む行為がやめられない
- 商品を買うお金はあるが、物を盗みたい
- その物が必要ではないのに盗んでしまう
なんども万引きをくり返して、逮捕されてしまうというケースが後を絶ちません。
犯罪だと認識はしているのに、盗む行為に快感・満足感などを感じて繰り返しおこなってしまうなどが窃盗癖に該当します。
窃盗症を発症する原因は人によってさまざまですが、ストレスやうつ病などとも深い関係があるようです。
窃盗癖という依存症であると気づかないまま、窃盗の再犯をくりかえしてしまうというケースもみられています。
窃盗癖「治療」の取り組み
犯罪をくり返すおこなう再犯事件のような場合、先に受けた刑罰よりも重い刑罰が科される可能性が高くなります。
一方、窃盗癖が原因となるような場合は再犯事件では、より重い刑罰よりも「治療」が必要であると考えられています。
窃盗癖にアプローチする治療にはどのようなものがあるのでしょうか。
・刑事施設で治療の取り組み ・病院やクリニックでの治療の取り組み ・カウンセリングでの治療の取り組み |
窃盗癖の治療について、詳しくみていきたいと思います。
刑事施設内での治療の取り組み
窃盗事件を何度も繰り返すと、実刑判決を受けて刑務所に収容される可能性が高くなります。
刑務所では、刑務作業のほかに再犯防止のための取り組みがおこなわれています。
窃盗の防止指導を実施している刑事施設のなかの多くは、認知行動療法などを基盤にした教材をもとに更生プログラムを構成しているそうです。
- グループワーク
- ワークシートへの記入
などのほかに、再犯にいたるような場面を想定したロールプレイングなどがおこなわれているそうです。
受刑者に自分の心をコントロールする力をつけてもらおうと、前橋刑務所(前橋市)は米国生まれの瞑想(めいそう)法「マインドフルネス」を導入した。
全国9カ所の女子少年院が取り入れているが、成人を収容する刑務所では初めて。
受刑者からは「イライラすることが減った」「相手の考えを思いやる余裕ができた」などの感想が聞かれ、再犯防止につながると期待されている。(略)
出典:毎日新聞(2018年4月13日11時51分)
このような指導によって、自らの問題行動に対する洞察を深められるような工夫がおこなわれています。
病院・クリニックでの治療の取り組み
病院やクリニックでの治療は、医学的な観点から窃盗症の治療を受けることができます。
「窃盗癖の治療が必要かもしれない…」
と思ったら、精神科や心療内科を受診するようにしましょう。
- 医師と個別の心理カウンセリング
- 薬物療法
- 認知行動療法
- 家族療法
- 条件反射制御法
- 集団精神療法
医学的な観点から、窃盗癖・窃盗症という依存症の治療に取り組んでくれるでしょう。
ただ、すべての医療機関が窃盗癖に対応しているわけではないようです。
窃盗癖を専門にあつかう病院やクリニックがありますので、依存治療を専門として病院やクリニックを受診するようにしてみましょう。
群馬県渋川市の赤城高原ホスピタルでは現在、30人ほどの男女がクレプトマニア(窃盗症)の治療を行っている。
病棟内には至る所にカメラが設置され、「カメラは貴方を見ています」と書かれた張り紙も。(略)
一見、息苦しい環境のようにも思えるが、病院が重視するのは「自主性」という。
治療の中心となるミーティングに参加できるのは患者本人だけで、司会進行やテーマ設定などを自分たちで行う。(略)
出典:毎日新聞(2016年12月15日)
窃盗癖・窃盗症の治療をおこなっているという病院が群馬県にあるそうです。
カウンセリング機関での治療の取り組み
心の病気の治療は、医療機関のほかにも臨床心理士などによるカウンセリングがあります。
臨床心理士や心理カウンセラーは医師ではないので、投薬治療などによる依存症の治療はおこなえません。
カウンセリングは病気を治すことも目標の一つではありますが、「悩みを聞いてもらう」という時間を設けることができます。
医師によるカウンセリングよりも、ゆっくり長い時間をとったカウンセリングをうけることができるでしょう。
- 認知行動療法
- リラクゼーション
- 意識集中法
- グループセラピー
- 職場復帰に向けたトレーニング
心のケアや、窃盗癖の原因を探ることで治療をはかろうとしています。
窃盗癖の治療のために期待される判決
ニュースから見る窃盗癖の刑事処分
近年、万引きの再犯事件では通常選択されないような判決が言い渡されるケースが相次いでいるというニュースを見つけました。
万引きで有罪となり、保護観察付きの執行猶予期間中に再犯に及んだ窃盗症(クレプトマニア)の被告に、裁判所が罰金刑を選択するケースが相次いでいる。
保護観察中の再犯は懲役刑となるのが通常で、罰金刑は例外的だ。
近年、再犯防止のため依存症などの病的原因を研究する動きが進んでおり、裁判所の判断に一定の影響を与えているとの見方もある。
出典:毎日新聞(2017年8月25日)
再犯防止の観点から通常は懲役刑となるところ、例外的に罰金刑が言い渡されることがあるとのことです。
このように近年では刑務所で更生をはかるのではなく、社会生活の中で窃盗癖の治療が期待される判決となることがあるようです。
元マラソン選手の窃盗再犯ニュース
とあるマラソンの元世界選手権代表選手がおこした、万引きの再犯事件のニュースを見つけました。
群馬県太田市内のスーパーで菓子などを万引したとして、前橋地検太田支部は5日までに窃盗罪でマラソンの元世界選手権代表選手(略)を起訴した。
起訴状によると2月9日午後8時45分ごろ、キャンディー1袋など3点(販売価格計382円)を盗んだとしている。(略)
被告は、足利市内のコンビニで化粧品や食料品を万引したとして、昨年11月に執行猶予付きの有罪判決を受けていた。
出典:スポニチ(2018年3月6日 05:30)
執行猶予中に起こした窃盗の再犯事件ということで、今後の展開が注目されるニュースです。
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さいごに一言メッセージ
さいごに一言、弁護士からメッセージをいただきたいと思います。
窃盗癖・窃盗症による窃盗事件は、刑務所での更生よりも社会の中で治療をおこなうという動きになってきています。
とはいえ、犯罪であることには変わりありませんから刑事上の責任はあります。
分からないことや不安なことは弁護士に話してみてください。
弁護士によっては、病院やカウンセリング機関と連携を図って窃盗癖の治療に注力していることもあります。
無料相談を実施する弁護士もいます。
窃盗癖による窃盗の再犯でお悩みの場合は、気軽に弁護士に相談することからはじめてみましょう。
まとめ
窃盗癖の治療について焦点をあてて調査結果をお届けしてきました。
- 窃盗癖の意味
- 窃盗癖の治療法
- 窃盗癖の治療のための判決
くりかえす窃盗癖で逮捕されてお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は弁護活動をとおして、窃盗癖の治療についてもアプローチしてくれるでしょう。
一人でなやまないで、法律の専門家に相談することからはじめてみましょう。
また、このサイト内には、窃盗事件についてのコンテンツがたくさんあります。
本記事以外で、窃盗事件に関して知っておきたい情報は『窃盗で逮捕!前科をつけずに解決する方法と刑事手続きの流れ』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
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