傷害事件の加害者となったときの流れ。逃げたら逮捕?示談締結は家族がするべき?
「傷害事件の加害者となってしまった!逮捕される?今後の流れを知りたい!」
「家族が傷害事件を起こした!弁護士を雇うべき?」
そのようなお悩みを抱えていらっしゃる方はいませんか?
酒に酔った際に喧嘩してしまったり、中高生のいじめトラブルが傷害事件へと発展したり、年齢性別問わず加害者として巻き込まれる可能性は誰にでもあります。
- 傷害事件の加害者となったときの流れはどんな感じ?
- 被害者の方と示談を締結するべき?
- 弁護士に頼ったときのメリットや弁護士費用の相場を知りたい!
今回はこのような疑問にお応えし、傷害事件の加害者となったとき知っておくべき知識について徹底解説していきます。
なお、専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、傷害事件の案件にも詳しいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
犯罪白書によると傷害事件の検挙件数は毎年2万件程度の値で推移しています。
傷害事件は日常的に起こりやすい犯罪です。
ご自身はまだしも、家族や知人が傷害事件を引き起こしてしまうといった事態も考えておかなければなりません。
この記事で、傷害事件の刑事手続きの流れや対処方法についてきちんと学んでいってください。
目次
傷害事件の加害者となったときの流れ
まずは傷害事件の加害者となったとき、どのような流れを経るかについて解説していきましょう。
人を殴ったり、蹴ったり、押したりして傷害を負わせてしまった場合、傷害罪が成立します。
これは刑法204条に規定されています。
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法204条
この「傷害」という言葉について辞書を引くと、
「人にけがをさせること。また、けがをすること」
といった説明がなされています。
一般用語としての「傷害」は確かにその通りなのかもしれませんが、法令上、「傷害」は必ずしもこのニュアンス通りの意味だけを持つとは限りません。
例えば
- 性病であることを隠して相手に性病を感染させる行為
- 度重なる嫌がらせによって心理的ストレスを生じさせ、精神的障害を負わせる行為
などについて、傷害罪として認められたという判例があります。
病識があるのも関わらずそれを隠して性病を相手に感染させて傷害罪が成立した事例について、判決文を引用してみましょう。
(略)
傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問わないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立するのである。
(略)
出典:最高裁判所第二小法廷 昭和27年6月6日 事件番号 昭和25年(あ)第1441号
傷害の要件について、実際に手を出したかどうかは関係なく、
「人の生理的機能に障害を与えたどうか」
という点で判断するのが通常の運用です。
傷害事件の逮捕の流れ 被害届や告訴の有無は関係ある?
さて、では相手に「傷害」を負わせてしまったとき、逮捕に至るまで一体どのような流れを経ることになるのでしょうか。
傷害事件にて行われる逮捕は、
- 現行犯逮捕
- 通常逮捕(後日逮捕)
の2種類となります。
①現行犯逮捕
現行犯逮捕は、犯罪の行われている最中か現に行い終わった「現行犯人」を逮捕するものです。
通常逮捕とは異なり、例外的に逮捕状なしで、一般人含め誰でも逮捕を行うことができます。
ですが逮捕できるのは、犯罪の行われている最中、もしくは現に行い終わった直後のその時その場所に限られます。
居酒屋で人を殴り怪我をさせたというような場合で、居酒屋の店員や相手方の知人等が身柄を確保したときなどには、この現行犯逮捕が行われたと解釈できます。
②通常逮捕(後日逮捕)
一般に後日逮捕として知られている逮捕の方法ですが、これは法的には通常逮捕と呼ばれています。
その名の通り原則的な逮捕の方法です。
犯罪が行われてから時間が経ったものについては、この方法で逮捕されます。
容疑者の人権を保障する観点から逮捕状が必要とされ、これは逮捕の理由と逮捕の必要性があるときに裁判官が発付します。
逮捕状が発付された後、捜査機関が容疑者の元を訪れ、逮捕状を読み上げて何の容疑で捕まえるのかを説明した後に逮捕が行われます。
通常逮捕(後日逮捕) | 現行犯逮捕 | |
---|---|---|
逮捕状 | 有 | 無 |
内容 | 犯罪が行われた後、容疑者の目の前で逮捕状を提示し逮捕 | 今まさに犯罪を行っている犯人や、犯罪を終了したばかりの犯人を逮捕 |
被害届や告訴の有無は関係ある?
「被害届や告訴が取り下げられれば、罰せられることはない」
ネット上では、このような勘違いをしてらっしゃる方が意外に多いようです。
たとえばヤフー知恵袋にはこのような質問がありました。
告訴取り下げされたら前科が付かないって聞きました。前歴がつくんですか?告訴取り下げって逮捕がなかったことにはなりませんよね?
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13164120798
- 被害届や告訴とは何か
- それらが取り下げられる、というのは何を意味するのか
についてここで、しっかり確認しておきましょう。
被害届、告訴とは何か 取り下げの意味
被害届とは、被害者やその関係者が被害を受けたという事実を警察へ申告する際に作成される書類です。
警察は被害届によって犯罪が行われたという事実を認知し、担当警察官等の判断によって捜査を開始します。
告訴は、被害届のより強い版と解釈していただければ、おおむね間違いではありません。
被害者本人やその関係者が、容疑者に対して「処罰を求める」意思表示をすることを告訴と言い、これもまた犯罪捜査のきっかけとなります。
名誉棄損や器物損壊などについては、告訴がなければ検察は起訴できないとされています。
こういった犯罪を親告罪と言います。
傷害罪は非親告罪であり、告訴が取り下げられたからといって、必ず起訴が行われないわけではありません。
ただし被害届の取り下げや告訴の取り下げが行われた場合には、検察官の判断にも影響が及び、起訴猶予で不起訴となる可能性が上がります。
逃げたら後日逮捕される?傷害事件の時効は何年なのか
「人を殴ってけがさせてしまった!怖くなってその場から逃げてしまったけど、後日逮捕されることはある?」
この記事を読んでいる方の中には、傷害事件の当事者としてそのような疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
この疑問に対する回答は、「ケースバイケース」となります。
傷害事件で後日逮捕されない場合
全ての傷害事件で被疑者が逮捕されるわけではありません。
例えば被害者が被害届の提出を拒み事件を刑事事件化したくない意思が示された場合、警察官の判断で捜査が行われないことなどもあります。
また、後日逮捕には逮捕状が絶対に必要となります。
逮捕状は捜査機関から依頼を受けた裁判官が発付しますが、それには条件があります。
刑事事件において逮捕状が発付されるには、被疑者について
- 逃亡のおそれがある
- 証拠を隠滅する可能性がある
この2点の要件のいずれかに該当している必要があります。
警察としても、軽微な傷害事件で証拠隠滅の可能性がないような場合については逮捕状を請求しないのが一般的なようです。
ただし逮捕されなかったからと言って、必ずしも処罰されないというわけではありません。
逮捕が行われないまま刑事手続きが進み、事件が検察に送致され、最終的に起訴に至る、といった可能性もあります。
- 在宅のまま事件が検察に送致されることを書類送検
- 在宅のまま起訴に至ることろを在宅起訴
とそれぞれ呼称します。
参考までに、平成29年の犯罪白書によると、平成28年の傷害事件の検挙率(警察が犯人を特定した率)は80.4%となっています。
傷害罪の時効は何年か
時効には様々な種類があり、また厳密には時効とは違うけれども運用上時効と似たような意味を持つ制度、などといったものも存在します。
この記事を読んでいる方は、おそらく「加害者となってから何年たったら罪に問われないのか」という点について知りたいのだと思います。
そういった意味で、ここでは傷害罪の「公訴時効」について触れるにとどめておきます。
公訴時効とは、「一定の期間を経過すると起訴できなくなる時効」のことを言います。
これは刑事訴訟法の250条から255条にわたって定められています。
傷害事件の公訴時効は10年です。
傷害結果が発生した時点から10年間、検察から起訴されなかった場合、時効が成立します。
なお、国外に逃亡した場合や、逃げ隠れたために有効に起訴状の送達等ができなかった場合等については、その期間時効の進行が停止します。
より詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してください。
傷害事件の逮捕後の流れ 否認したら即裁判?初犯でも懲役刑になる?
逮捕されてしまった後はどのような流れを経ることになるのでしょうか。
まずはこちらの画像をご覧ください。
万引きに限らず、刑事事件で逮捕されるとこのような流れを経ることになります。
ひとつひとつ確認していきましょう。
勾留について
逮捕後にはまず勾留が控えています。
勾留というのは逮捕した容疑者が、
- 住居が定まっていなかったり
- 証拠隠滅のおそれがあったり
- 逃亡のおそれがあったり
した場合に、捜査段階で最大で20日間身体拘束される、という制度です。
多くは警察署内の留置場に収監されたままとなってしまいます。
平成29年の犯罪白書によると、平成28年に傷害罪で逮捕された被疑者について、その勾留請求率は90.7%に上ります。
勾留請求されたうち、裁判官によって勾留の条件に当てはまらないと判断され勾留却下に至った件数は448件。
これは、勾留請求された件数全体から見ると4%にも満たない数値となります。
すなわち
「傷害で逮捕されるとたいてい勾留を受ける」
というわけです。
起訴について
勾留の後には起訴が控えています。
検察官が裁判所に裁判を求める申し立てを行うことを「公訴の提起」と言います。(起訴)
つまり起訴とは、検察官が「裁判を起こしたいです」と申し立てることを言います。
起訴された場合、日本では統計上99.9%有罪となりますから、ほぼ確実に何らかの刑罰を受ける、ということになります。
反対に起訴されなかった場合(不起訴)、刑事罰を受けることはありません。
このとき、前科がつかないことになります。
まとめ
勾留の意味、起訴の意味
勾留 |
---|
逮捕後に被疑者を最大20日間拘束。 |
起訴 |
被疑者を裁判にかける。 |
傷害罪、起訴後の流れ
起訴後は
- 公判請求
- 略式手続
の2通りの流れを経る可能性があります。
公判請求と略式手続き
公判請求は、皆さんが裁判と聞いて思いうかべるイメージ通りのものです。
正式裁判が開かれて、検察官と弁護人が犯行の事実や量刑について意見を戦わせ、裁判官によって最終的な判断が下されます。
略式手続は、公判手続を経ることなく簡易裁判所が書面審理だけで罰金または科料を科す刑事手続のことを言います。
- 簡易裁判所管轄の
- 100万円以下の罰金または科料が見込まれる事件について
- 被告人の同意があったとき
検察官の請求でこの略式手続が行われます。
平成29年の犯罪白書によると、平成28年起訴された傷害事件は全部で8161件。
そのうち公判請求が行われたものは3174件、略式手続がとられたものは4987件です。
起訴案件全体の6割ほどについて略式手続がとられたということになります。
なお、先述の通り略式手続を行うには被告人の同意があったときに限られます。
傷害事件について起訴される際、事件を否認している場合には原則裁判が開かれるということになります。
事件の悪質性などにも影響されますが、初犯の場合は、略式手続で罰金刑になることが多いようです。
不起訴になるための条件 起訴猶予、嫌疑なし、嫌疑不十分(証拠不十分)
不起訴となるのは、被疑者が
- 犯人ではないとき(嫌疑なし)
- 犯人だという証拠が不十分なとき(嫌疑不十分)
ですが、さらに加えて
確実に犯人と思われるけれども、犯行の状況や反省の有無などに応じて「今回は勘弁してやろう」と検察官が判断したとき(起訴猶予)
にも不起訴になります。
傷害事件における起訴率や、理由別の不起訴件数について、統計データを調べてみました。
起訴件数 | 不起訴件数 | 起訴率 |
---|---|---|
8161件 | 13813件 | 37.1% |
不起訴合計件数 | 起訴猶予件数 | その他の不起訴の件数 |
---|---|---|
13813件 | 11005件 | 2808件 |
傷害事件の起訴率は37.1%、また中でも起訴猶予を理由として不起訴になった事例が抜きん出て多いようでした。
起訴猶予で不起訴となる条件については、何か明確に基準があるというわけではありません。
検察官が
- 犯行の悪質性
- 被疑者の反省の有無
- 被害者への賠償の有無
などを総合的に考慮し、判断します。
「家族が傷害事件の加害者に!」被害者と示談締結するべき?慰謝料や賠償金の相場は?
傷害罪とは何か、傷害罪で逮捕されるとどのような流れを経るのかについては、お分かりいただけたかと思います。
傷害事件の加害者となってしまったとき、ぜひ不起訴処分の獲得を目指したいところですが、こういったとき示談という言葉を思い浮かべた方も多いかと思います。
続いては、
「示談を結ぶべき理由」
について解説していきます。
家族が傷害事件を起こした!示談締結するべき?
傷害事件の加害者として逮捕されると、たいてい勾留を受けることになるという点については先ほど確認しました。
示談の締結は早ければ早いほど良いのですが、身体拘束を受けている状況では、示談交渉に臨むことなどできません。
そういった場合、本人の代わりに家族が示談交渉に臨むこととなります。
では、
示談締結によってどんなメリットが得られるのか
解説していきましょう。
示談交渉をするべき理由
まず、まだ警察が介入していないような段階で示談を結ぶことができれば、警察沙汰になる前に事態が収束する、という可能性もあります。
逮捕された後であっても、被害者と示談を成立させることができたとき、検察官や裁判官に対し、
- 被害者へ反省の態度を示している
- 被害者の被った被害を弁償している
- 事実関係を素直に認めており、証拠の隠滅や逃亡のおそれがない
ことなどを根拠をもってアピールできます。
こうした有利な証拠の提示を行うことで、早期の釈放や不起訴処分の獲得について、大いに道が開けます。
一概に示談を結べば必ず不起訴になるとは言えませんし、傷害の被害が重たい場合、常習的に傷害沙汰を起こしていた場合は示談を結んでも起訴されてしまうケースはあります。
ですが、
- 事件の態様が軽微である
- 初犯である
場合、示談が成立していれば不起訴となる可能性はかなり高まります。
反対に、不成立となると罰金刑や懲役刑に処される可能性が上がってしまいます。
示談不成立が意味するもの
示談が不成立となってしまった場合、重たい処罰を課されるリスクを負うことになります。
示談が成立していた場合と比較して、示談が不成立であるという事実は加害者側に不利な事情として取り扱われます。
また、示談不成立の場合には、加害者は被害者に対し民事の損害賠償責任を負い続けることになります。
事件の刑事手続きが終結した後も、被害者から民事上で賠償請求されるという可能性はずっと残り続けるのです。
まとめ
示談成立の場合と不成立の場合の比較
示談成立 | 示談不成立 | |
---|---|---|
逮捕 | 逮捕されない可能性もある | される可能性が上がる |
起訴 | 不起訴となる可能性が大いに高まる | される可能性が上がる |
損害賠償責任 | 免れる* | 責任を負い続ける |
こうして比較すると、示談締結の重要性がわかるかと思います。
示談金の相場はいくら?慰謝料や賠償金の計算方法
示談交渉に臨むとなったとき、気になるのは支払う金額の相場かと思います。
傷害事件の場合には、
- 被害者の被った損害(治療費や休業損害等)
- 慰謝料
この2点について賠償する必要があり、これらを合わせた金額が最終的な示談金の金額となります。
当サイトには、傷害事件の様々な事例について、実際に支払われた示談金を参照できる機能があります。
傷害をタップすると、怪我の度合い別に事例が紹介されています。
紹介されている示談金の金額は10万円~179万円まで様々です。
示談金は、被害者側と加害者側の協議のうえで、両人の納得の得られる金額が取り決められます。
「この程度の怪我なら○○万円になる」といった風に、一概には言えません。
傷害事件の示談については『【傷害事件の示談金の相場2020】示談の仕組みと重要性を解説』で詳しく解説しているので、興味がある方はご覧ください!
有効な示談書の書き方を紹介!雛形、テンプレートも
示談締結にあたっては示談書を作成しておくのが重要です。
示談は口頭だけでも成立しますが、後日示談の成否をめぐってトラブルが発生したとき、当事者の供述だけでは水掛け論に終わってしまう可能性もあります。
示談書は示談が成立したことを証明する証拠として大きな意味を持ちます。
トラブル回避のためにも、示談書は絶対に作っておくべきと言えるでしょう。
示談書の作成にあたっては、盛り込むべき条項についてきちんと書くように注意します。
①示談の対象となる事件の内容 |
---|
数年後に示談書を見ても、何のどの事件か特定できるようにします。 「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」を意識してわかりやすく具体的に記します。 |
被害者の宥恕 |
宥恕とは「被害者が加害者の犯行を許し、加害者に対する刑事処罰を望まない」ことを意味する文言です。 通常、宥恕があった場合には、条件として被害届や告訴の取り下げも組み込まれます。 被害者の宥恕があったときには、その旨をきちんと記しましょう。 |
示談金の金額や示談条件 |
示談金の金額や支払い方法、その他示談の条件を忘れずに記します。 すでに示談金の支払いが行われている場合には「〇年〇月〇日、示談金〇〇円を受領した」といった文言を入れるのも良いでしょう。 |
清算条項 |
示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないことを記載します。 これを入れ忘れると、民事上の紛争を解決したという示談書の最も大きい効果がなくなってしまう恐れがあるので、特別な事情がない限り必ず入れるようにします。 |
日付 |
時系列が争点になったとき、この示談書作成日付が重要な証拠になります。 後から何らかのトラブルが起こってしまった時に備え、書いていたほうが無難です。 |
両当事者のサイン |
サインは手書きで行います。 押印は必須ではありませんが、慣例上押したほうが無難と言えるでしょう。 |
示談書の作成方法や注意点について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参照して下さい。
また、当サイトでは傷害事件の示談書のテンプレートを公開しています。
このテンプレートは弁護士監修の元で作成されました。
ご自身の事件に合わせて必要な文言を入れ替えるだけで、有効性の高い示談書を作成することができます。
なお、家族が傷害事件の加害者となってしまった場合の対応については『家族が傷害事件の加害者に…|傷害事件の流れは?示談は弁護士に依頼するべき?』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
傷害事件の加害者となったとき、弁護士に頼るメリット 弁護士費用の相場は?
傷害事件の加害者となったとき、弁護士に依頼すると様々なメリットが得られます。
特に示談締結にあたっては、弁護士への依頼はほぼ必須と言えます。
続いては
- 具体的に弁護士に依頼するとどんなメリットが得られるのか
- 弁護士費用の相場はいくらなのか
について解説していきます。
傷害事件で弁護士に頼るメリット 被害者と連絡をとる
刑事事件化の阻止、勾留の阻止、早期の釈放、不起訴処分の獲得にあたって示談締結が重要であるという点については解説しました。
示談交渉に臨むにあたり、弁護士に依頼するのはベストな選択です。
①被害者の連絡先を知ることができる
示談交渉をするには被害者の方の連絡先を手に入れる必要があり、多くは事件を担当した警察から連絡先を聞きます。
ただ、傷害事件の場合警察に連絡をしても「被害者の意向で加害者本人に連絡先は教えられない」と回答されてしまうケースがほとんどでしょう。
被害者の多くは加害者本人と連絡を取ることを拒否します。
報復のリスクや、加害者と直接顔を合わせることによる精神的な負担などが考慮されるのです。
弁護士は示談について、第三者的な立場で関わることができます。
被害者の方も加害者本人に連絡先を教えず、また直接会わない形をとることを確約したうえでなら、示談交渉に応じてくれるケースも多いです。
示談の締結は急いだほうが良いですが、連絡先が分からなければそもそも交渉を行うことすらできません。
連絡先が手に入らない場合、弁護士に早急に依頼するべきでしょう。
②示談金について根拠を元に提案できる
提示した示談金の金額によっては、被害感情をより煽ってしまい示談が不成立となってしまうことも考えられます。
弁護士は傷害事件の適正な示談金について、根拠をもって算定することができます。
被害者に対し金額の提示を行うときにも、その根拠を積極的に説明し、被害者の方の心情に気を配ります。
根拠を丁寧に説得的に説明できれば、
- 反省していない
- 少額で刑事処分をもみ消そうと考えている
などと思われることも、少なくなります。
③示談書の作成にあたって、様々なアドバイスがもらえる
多くの人にとって、示談書の作成は初めてか、多くても数回の経験となるでしょう。
示談書の作成には専門的な知識が必要となるケースが多く、中には、作成した示談書が後から有効なものでなかったと気づくようなケースもあります。
弁護士に依頼すれば、専門的な知識の元、示談書の作成を代行したり作成された示談書へのアドバイスが行えます。
弁護士・有 | 弁護士・無 | |
---|---|---|
被害者との連絡 | 連絡をとれるケースが多い | 連絡をとれないケースが多い |
示談交渉 | 示談金の交渉なども円満に行える | 被害感情を煽り不成立となるケースも有る |
示談書 | 有効な示談書が作成できる | 不備のある示談書を作成してしまう場合もある |
示談締結にあたっては弁護士に依頼するのが安心である、ということがお分かりいただけるかと思います。
傷害事件の弁護士費用の相場は?
弁護士に依頼するにあたっては、
弁護士費用がいくらかかるのか
という点について気にされる方も多いかと思います。
弁護士費用は、通常の買い物のように「傷害事件は○○万円」といったような形で、一括で決まっているわけではありません。
- 相談した段階
- 依頼した段階
- 弁護活動による成果が得られた段階
といった風に、段階に応じてそれぞれ費用が発生します。
ひとつずつ、ここで解説していきましょう。
①相談料
まず弁護士に相談をしたとき、相談時間に応じて「相談料」が発生します。
相場としては、1時間につき1万円程度の金額設定が一般的です。
ただ、最近は条件付きで無料相談に応じている弁護士事務所も多く、
- 初回相談は無料
- 家族が逮捕されていたり勾留されていたりしている場合は無料
- 相談後、実際にその法律事務所に依頼をした場合実質無料
といったシステムが設けられている場合もあります。
ここ最近の流れとして、相談料に関してはどんどん無料化していくという傾向があるようです。
②着手金
実際に弁護士に依頼をし、弁護士が弁護活動を始めるときに発生するお金です。
弁護活動の成否に問わず、返金はされません。
- 事件が刑事手続き上どの段階にあるか
- 事件を否認しているのか、認めているのか
などによって金額が変動する場合もあります。
また、
- 「起訴されて裁判になった」
- 「1審判決に不服で控訴する」
といった場合に追加で着手金が必要となる場合もあります。
事件の態様によって変動はありますが、相場としては20万円から60万円程度に設定している法律事務所が多いようです。
③成功報酬金
成功報酬金は弁護活動の成果に対して支払うお金です。
成功報酬が発生する主な要件
- 示談締結に至った
- 勾留を阻止できた
- 釈放に至った
- 不起訴になった
- 略式起訴になった
- 減軽された
- 無罪になった
- 保釈に至った
成功報酬金はこのようなタイミングで、それぞれに発生します。
要件ごと、法律事務所ごとに金額も大きく違うため、一概に相場はいくらとは言えません。
一例として不起訴処分を獲得したときの成功報酬を調べたところ、弁護士事務所ごとに20~80万円の間で設定されていました。
④日当
- 面会のため出張が必要になった
- 裁判への出廷のために出張が必要になった
- 実地調査のために出張が必要になった
このように弁護士が出張を行ったときには、日当が発生します。
日当は弁護士事務所ごとに様々な基準で算定されますが、多く採用されている算定基準としては事務所と出張先の往復時間を基にする方法が挙げられます。
1回につき往復1時間半以内は3万円、2時間以内は5万円、といったような形です。
⑤実費
実費は書類の郵送代やコピー代、交通費などのことを言います。
法律事務所によって、
- 実費を計算してその都度金額を算定する
- 諸経費として一律で金額設定をしている
- 着手金や成功報酬金によって賄うため実質無料
といった風に、様々に取り決められています。
弁護士費用についてのまとめ
では、弁護士費用についてまとめてみましょう。
まとめ
弁護士費用
相談料 |
---|
弁護士に相談したときに発生 |
着手金 |
弁護士に依頼したときに発生 |
成功報酬金 |
弁護士の弁護活動によって成果が得られたときに発生 |
日当 |
弁護士が出張する際に発生 |
実費 |
書類の郵送や交通費などの実費 |
弁護士は弁護士費用について適切に説明する義務を負っています。
これは日弁連によって採択、施行されている弁護士職務基本規程に規定されています。
弁護士費用というのは決して少ない金額ではありませんから、無料相談などを活用し、事前にしっかりと金額を確認し検討をするべきと言えるでしょう。
傷害事件における弁護士の費用や探し方についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参照してください。
傷害事件の加害者となってしまったとき…急いで弁護士に相談!
ここまで、弁護士の解説とともにお送りしました。
傷害事件の加害者となってしまったとき、その後の流れや対処方法についてかなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか。
ですが、自分の事件に即してもっと具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ここからは弁護士に相談できる様々なサービスについてご紹介します。
今すぐ!弁護士無料相談の予約をするなら
こちらの弁護士事務所は、刑事事件の無料相談予約を24時間365日受け付ける窓口を設置しています。
いつでも専属のスタッフから無料相談の予約案内を受けることができるので、緊急の時も安心です。
来所相談は、土日や祝日も可能とのことです。
急を要する刑事事件の相談受付ができるので、頼りになりますね。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
ちなみに問合せは、全国対応で受け付けているとのこと。
秘密厳守で、お悩み解決に近づくことができます。
地元の弁護士とじっくり相談したいときは
「対面でしっかり弁護士と相談したい!」
そのようなときはこちらから、全国47都道府県の、刑事事件に強い弁護士を検索することができます。
掲載されているのは、当サイトの編集部が厳選した頼りになる弁護士たちです。
相談してみたい弁護士をぜひ見つけてみてください。
最後に弁護士からメッセージ
では最後に一言お願いします。
傷害事件についてお悩みの皆さん。
傷害事件は「たかが喧嘩」と軽んじられがちですが、事態を放っておいてもいい結果には繋がりません。
早期の被害者対応によって、刑事事件化の阻止や、早期の釈放、不起訴処分の獲得など事態を良い方向に持っていける可能性は高まります。
おひとりで悩んでいる間にも、時間は刻々と過ぎていきます。
最近は、無料相談に応じている弁護士も多いですから、まずはとにかく、弁護士まで積極的にご相談ください。
まとめ
今回は傷害事件の加害者となったときの流れや対処法について解説してきました。
傷害事件の加害者になったときについてのまとめ
- 傷害事件の加害者となったとき、逮捕され、勾留を受け、起訴される可能性がある。
- 示談締結によって、逮捕、勾留の阻止、不起訴処分の獲得などについて大いに道が開ける。
- 示談締結にあたっては、弁護士に頼るのが安心である。
本記事以外で、傷害事件に関して知っておきたい情報は『傷害事件で逮捕・前科を回避するための正しい対処法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
当サイト「刑事事件弁護士カタログ」には、他にもお役立ちコンテンツが満載です。
- 下の関連記事でさらに痴漢や示談についての情報を押さえて
- 24時間受付の無料相談窓口
- 全国47都道府県の全国弁護士検索
を活用してください。
当サイトを通して、皆さんのお悩みが解決されたら幸いです!