【大麻】逮捕の理由をニュースから読む|逮捕の流れを弁護士とチェック
令和6年12月12日、大麻取締法は改正されました。改正の内容については『大麻取締法改正を解説』の記事をご覧ください。 |
あの芸能人や女優が大麻所持…?
大麻所持が理由で逮捕されたというようなニュースが絶えない芸能界です。
話題性のある芸能人の逮捕だからニュースになりやすいという側面もあります。
とはいえ、一般人でも大麻で逮捕されることは多いようです。
平成28年刊行「犯罪白書」によると、大麻に関する違法行為の検挙人員は2000人以上にものぼるとされています。
「あなたの息子さんを大麻所持で逮捕しました。」
突然、逮捕されたといわれてもパニックになってしまうでしょう。
そこで、本日は「大麻の逮捕の流れ」と題して特別企画をお送りします。
大麻の逮捕事件についてせまっていきます。
大麻といった薬物事件をあつかう専門家にお話しを聞いていきます。
解説は、アトム法律事務所の弁護士です。
目次
大麻で逮捕されたら、どんな流れで手続きが進んでいくのでしょうか。
大麻について分かりやすい解説となるようレポートをはじめます!
芸能人・女優の逮捕理由は大麻…ニュースが絶えない大麻の世界
芸能人による大麻所持の逮捕ニュースは、よく耳にする事件だと思います。
医療大麻の合法化を訴えていた元女優が、大麻所持で逮捕されるというニュースも記憶に新しいのではないでしょうか。
ある芸能人を大麻所持の現行犯で逮捕したというニュースを見つけました。
こちらをご覧ください。
自宅で大麻を所持したとして静岡県警などは1日、(略)大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。(略)
出典:朝日新聞デジタル(2017年12月1日18時32分)
これは、とある芸能人(DJ)を現行犯逮捕したというニュースです。
この芸能人の現行犯逮捕の理由は、「大麻取締法違反(所持)」とあります。
このニュースの注目ポイントは…
ポイント
- 大麻取締法違反
- 大麻の所持
このような点に注目して、大麻事件における逮捕の理由をくわしくみていきましょう。
逮捕の可能性がある大麻の規制する法律は?
日本国内は、大麻・麻薬・覚醒剤などあらゆる違法薬物がまん延しています。
法律で規制されている薬物で違法行為をおこなえば、逮捕される可能性があります。
では、大麻はどんな法律で規制されているのかみていきます。
大麻を規制する法律
大麻取締法
大麻の取りあつかいについて示された法律です。
大麻取締法では、次のような行為が違法とされています。
違法行為
- 大麻の所持
- 大麻の譲渡
- 大麻の譲受
- 大麻の栽培
- 大麻の輸入
- 大麻の輸出
などが違法行為であると規定されています。
大麻といっても一括りにあつかいを禁じられてはいません。
植物なので茎や葉などに分けられますが、部位ごとにあつかいが異なります。
合法部分
大麻の種子・茎
違法部分
大麻の種子・茎以外の部分
大麻の合法部分がある理由としては、
- 繊維製品
- 調味料
- 鳥のエサ
など、麻は古くから人々の生活に根づいた植物であるためです。
ちなみに、関税法では発芽防止のための加熱処理がなされていない大麻種子の国内への輸入は規制対象です。
大麻の所持・栽培などで逮捕されたら刑期は何年?
大麻のあつかいで違法となる行為についてみてきました。
では、大麻取締法違反で逮捕され、刑事裁判によって有罪判決が言い渡されることとなれば…
どのくらいの刑期となるのでしょうか。
刑期はやっぱり気になるポイントですよね。
大麻取締法では大きく、大麻の所持・譲渡・譲受・栽培・輸入・輸出などで刑罰や刑期が異なります。
大麻取締法では、「営利外の目的の場合」と「営利目的の場合」で刑罰・刑期が異なります。
営利外の目的
- 栽培・輸入・輸出:7年以下の懲役
- 所持・譲渡・譲受:5年以下の懲役
営利目的
- 栽培・輸入・輸出:10年以下の懲役または10年以下の懲役と300万円以下の罰金
- 所持・譲渡・譲受:7年以下の懲役または7年以下の懲役と200円以下の罰金
このように定められています。
営利目的の行為のほうが、刑期や刑罰が重くなっていますね。
大麻という違法薬物を広げてしまう営利目的での行為は、厳しい処分が待ち受けています。
まとめ
大麻取締法違反の刑期・刑罰
営利外の目的 | 営利目的 | |
---|---|---|
栽培・輸入・輸出 | 7年以下の懲役 | 10年以下の懲役または300万円以下の罰金を併科 |
所持・譲渡・譲受 | 5年以下の懲役 | 7年以下の懲役または200円以下の罰金を併科 |
大麻所持の刑罰については、『大麻取締法違反で逮捕!初犯だと執行猶予はつく?流れと刑罰を解説』で詳しく解説しています!
大麻の陽性反応が出ても逮捕されない理由は「使用」だから?
大麻の「使用」では、逮捕されない。
こんな話を聞いたことはありませんか?
大麻の場合、大麻以外の薬物を規制する法律と違う点があります。
大麻取締法では、大麻の「使用」が禁止されていません。
大麻の検査の結果、陽性反応が出ただけでは逮捕されない理由がこれにあたります。
繊維製品などの「麻」は、古くからさまざまな用途で用いられています。
大麻を栽培したり、取りあつかいの一部が許されているのは、都道府県知事の免許を受けた人だけです。
この麻農家に従事する人が、作業過程において燃やされた麻の煙を受動喫煙してしまうことがあります。
そうなると、従事の過程で吸うことになったのか、そうではないのかの区別がむずかしくなります。
このような場合を考慮して、大麻の「使用」は法律的には禁止行為ではありません。
これが大麻使用だけでは逮捕されない理由です。
ただし!
一般的に、大麻を吸引(使用)するときには、大麻を「所持」しています。
使用のために所持していれば、大麻所持を理由に現行犯逮捕されることになります。
使用が違法とされる大麻以外の薬物事件についてくわしくはこちら
大麻「初犯」の刑罰は?体験談を調査
近年、若者の大麻所持が増加傾向にあるようです。
こちらの記事をごらんください。
警察庁は5日、今年上半期(1~6月)に全国の警察が大麻の所持や密輸などで摘発したのは、前年同期比19%増の1390人だったと発表した。
10代から30代が全体の85%を占めた。(略)
警察幹部は「たばこより害が少ないというウソの情報がインターネットなどで出回り、軽い気持ちで手を出す若者が増えている」と分析する。(略)
出典:毎日新聞(2017年10月6日)
軽い気持ちを理由にして、大麻に手を出す若者が増えているとのことです。
芸能人にかぎった話ではなく、大麻は身近な犯罪になりつつあるようです。
ここで、大麻を使用してしまった人の体験談を紹介します。
仕事が終わったら大麻を吸い、友達や先輩が来たら大麻を吸うなど、完全に大麻に依存していたのです。(略)
そんな生活が長く続くはずがありません。
突然、刑事さんたちが私の一人暮らしの家に来たのです。
逮捕です。(略)
気が付くと、留置場に座っていました。
刑事さんから、厳しさの中にも更生を求める期待の声をかけてもらい、両親の気持ちを代弁されたとき、(略)目から自然に涙が流れていました。(略)
出典:警察庁資料「薬物乱用のない社会を」(www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakubutu/nodrug.pdf) 体験談:安易に手を出した大麻の代償 体験者:大麻乱用者(20代、男性)
大麻で逮捕された20代男性の体験談でした。
大麻に依存して逮捕されてしまったが、刑事さんとの会話をキッカケに自らの過ちを反省しているようですね。
ではここで、この体験談の方のように大麻所持の「初犯」として逮捕され、有罪判決を受けることになれば、大体どのような刑罰となるのでしょうか。
所持していた大麻の量が極めて少なければ、不起訴の可能性もあります。
ですが、営利目的の場合は、初犯でも懲役実刑となることがあります。
大麻事件の逮捕の流れ!逮捕の次に待ちうける手続きとは
【図解】大麻事件の逮捕から勾留、起訴までの流れ
大麻事件「逮捕の流れ」の図を確認

逮捕から刑事裁判によって判決が言い渡されるまでの流れを示した図です。
逮捕後の流れをなんとなくイメージできたでしょうか?
さらにこの図にそって、各スポットごとに解説をくわえていきたいと思います。
逮捕
大麻事件で警察官に逮捕されると、警察署で取り調べがおこなわれます。 そのあと警察官は、「48時間以内」に検察官に送致されます。 |
検察官に送致されないときは、釈放されます。
↓
送致
検察官に送致されると、検察官による大麻事件の取り調べがおこなわれます。 |
検察官は取り調べの結果によって、
- 裁判官に勾留請求する
- 起訴する
- 釈放する
これらのどれかを検察官が決定することになります。
↓
勾留
勾留が決定すると「10日間」、留置場で勾留されます。 |
↓
勾留延長
さらに継続して大麻事件の捜査の必要があるなど、やむを得ない事由があれば「最長で10日間」勾留が延長されます。 |
↓
起訴
大麻事件の捜査の結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判がおこなわれます。 |
保釈が認められなければ、大麻事件の裁判が終了するまでは勾留されつづけます。
↓
刑事裁判
公開の法廷で、大麻事件の審理がおこなわれます。 |
↓
判決
大麻事件の有罪または無罪の判決が言い渡されます。 |
大麻事件における逮捕から勾留、刑事裁判まではおおまかにこのような流れになっています。
逮捕の流れをまとめた動画も用意しました。
こちらもぜひ参考にしてみてください。
逮捕からの流れについて詳しくはこちらの記事をごらんください。
大麻の逮捕者が勾留される理由とは?
大麻事件の罪を犯したことを疑う相当な理由があると裁判官に判断されると、逮捕されます。
勾留は、逮捕につづく身体拘束です。
検察官の請求によって、裁判官が勾留を決定します。
勾留される理由は、次のような場合です。
勾留される理由は?
- 住居不定
- 証拠隠滅のおそれ
- 逃亡のおそれ
勾留の回避には、勾留する理由がないことを主張することが大切です。
逃亡しないよう監督する確実な身元引受人がいることで、勾留の可能性を下げることができます。
もっとも、大麻事件の場合は、勾留が決定されるのが一般的です。
逮捕後の勾留を回避するのは、極めて困難と考えた方が良いです。
勾留が決定しなければ、留置場に置いてある荷物を取りに帰って、そのまま釈放されます。
大麻事件の逮捕とは?現行犯逮捕と後日逮捕がある理由
大麻事件の逮捕の流れは、現行犯逮捕と後日逮捕のケースにおおきく分けられます。
現行犯逮捕と後日逮捕そのものの意味などについては、こちらをどうぞ。
大麻事件、ガサ入れで現行犯逮捕される?
まずは、大麻事件の現行犯逮捕の流れを確認していきます。
大麻事件は、現行犯逮捕されるケースがほとんどです。
たとえば街中であやしい不審な動きをし、警察に呼び止められることがあります。
- 職務質問(所持品検査)
- 尿の簡易検査
などにより、大麻所持が発覚して現行犯逮捕される流れとなります。
大麻は、覚醒剤や麻薬とは異なり「使用」は罪になりません。
尿検査をして大麻使用が発覚しても、直ちに現行犯逮捕されることはありません。
この点、大麻を吸引(使用)しているときは、大麻を所持していたとも考えられます。
しかし、尿検査が陽性でも、検査の時点で大麻を所持していない限り、所持での逮捕も見送られるのが一般的です。
大麻事件は、ガサ入れ(家宅捜索)によって、現行犯逮捕されるケースがあります。
こんなニュースを見つけました。
富士署と(略)麻薬取締部は11日、大麻取締法違反(営利栽培)の疑いで、富士宮市富士見ケ丘、会社員の男(35)、妻(34)の両容疑者を現行犯逮捕した。(略)
同署員らが同日朝から家宅捜索したところ、水耕栽培している大麻草11株や液体肥料、栽培に使用するハロゲンランプなどを発見し、押収した。(略)
出典:静岡新聞(2018/1/12 07:46)
自宅内で大麻を営利目的で栽培していたとして、現行犯逮捕されたという事件です。
大麻の購入者が逮捕されて購入ルートが発覚したとします。
そこから販売元が特定され、家宅捜索にいたるというケースが考えられます。
ガサ入れでは、栽培している植物が違法薬物であるか検証され、大麻であると確認されるとその場で現行犯逮捕される流れになります。
大麻事件の後日逮捕は逮捕状が必要
つぎは、大麻事件の後日逮捕の流れを確認していきます。
大麻事件の後日逮捕は、警察官が自宅まで逮捕状を持ってきて逮捕されるのが一般的です。
大麻の入手はさまざまなルートが考えられます。
近年では、自宅で栽培していたという事件も多いです。
ですがやはり、密売人などから大麻を入手しているケースが多いでしょう。
密売人の供述などにより犯罪について一定の証拠が集まっていれば、大麻の「譲り受け」などの罪で後日逮捕がおこなわれる可能性があります。
後日逮捕と現行犯逮捕について詳しくはこちらの動画もごらんください。
大麻で逮捕されたら弁護士に相談
1.スマホから大麻の逮捕事件の流れを聞いてみる
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2.長野県・岡山県・長崎県など地方でも!大麻の逮捕にくわしい弁護士を探す
大麻で逮捕されたら、今後の人生がどうなってしまうのか…
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最後に一言アドバイス
それでは、最後に一言アドバイスをいただきたいと思います。
大麻所持を理由に逮捕されると、10日以上の勾留決定となるのが通常です。
ですが、事件の内容や弁護士による弁護活動によっては不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
早期段階で事件を解決するなら、今すぐ弁護士に相談することが大切です。
一人でなやまずに、弁護士を探して大麻事件を相談しましょう。