公然わいせつ罪のすべて|初犯で逮捕でも懲役?示談・時効も知りたい
よくある犯罪に焦点をあて、弁護士の監修のもと徹底調査したレポートを公開中の罪名ナビ。
今回は、公然わいせつ罪についての調査結果をお届けします。
公然わいせつ罪の意味や刑期、時効、逮捕の流れ、そして示談まで、徹底的に見ていきましょう。
公然わいせつ罪とは、公然わいせつ罪の構成要件
公然わいせつ罪の定義とは
公然わいせつ罪とは、公然とわいせつな行為をすることによって成立する犯罪をいいます。
刑法174条は「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています。
公然わいせつ罪の構成要件とは
公然わいせつ罪の構成要件とは、公然わいせつ罪が成立するための要件のことです。
公然わいせつ罪の構成要件が認められれば、精神障害などで責任が認められないなどの特別の事情がない限り、公然わいせつ罪が成立します。
公然わいせつ罪の構成要件の判断方法は?
公然わいせつ罪の構成要件の該当性は、
- ①公然わいせつ罪の実行行為があるか、
- ②公然わいせつ罪の結果が発生したか
- ③実行行為と結果との間に因果関係があるか
- ④公然わいせつ罪の故意が認められるか、
によって判断されます。
なお、公然わいせつ罪は公然とわいせつな行為をした時点で犯罪が成立するため、実際には実行行為と故意のみが問題となります。
公然わいせつ罪の構成要件のポイント
公然わいせつ罪の保護法益は?
保護法益とは、法律で罰則を定めてまで保護を図ろうとしている利益のことを言います。
公然わいせつ罪の保護法益は性秩序ないし健全な性的風俗と伝統的に考えられています。
公然わいせつ罪の実行行為は?
公然わいせつ罪の実行行為は公然とわいせつな行為をすることです。
「公然」の意義については、判例では「不特定又は多数の人が認識することのできる状態」とされています。
現実に不特定又は多数の人が認識する必要はなく、その認識の可能性があれば「公然と」に当たるとされています。
「わいせつな行為」とは、判例では、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」と定義づけられています。
一般社会の良識・社会通念を基準として、性的と判断される行為をすると「わいせつな行為」といえるでしょう。
したがって、たとえば、深夜誰も居ない公園で下半身を露出した場合には公然わいせつ罪が成立する可能性があると言えます。
公然わいせつ罪の故意は?
故意については、公然とわいせつな行為をすることを行為者が認識・認容していることが必要です。
しかし、その行為とその客観的状況の認識があれば、それがわいせつな行為と言えるのか、公然といえるのかについてまで知っている必要はないとされています。
公然わいせつ罪が未遂の場合はどうなる?
公然わいせつ罪は、わいせつな行為を行うことによって直ちに既遂となります。
刑法に公然わいせつ罪の未遂を処罰する規定は置かれていません。
公然わいせつ罪と刑期
公然わいせつ罪と刑期の関係
公然わいせつ罪を犯した者は、刑法174条で「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められています。
懲役・拘留とは、懲役刑・拘留刑のことで、公然わいせつ罪で有罪判決を受けた人物を刑務所に収監し、刑務作業を行わせる刑罰をいいます。
もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、行為者側に有利な事情も考慮され執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。
執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。
これに対して、罰金・科料とは、罰金刑・科料刑のことで、公然わいせつ罪で有罪判決を受けた人物から一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰をいいます。
公然わいせつ罪の場合は、30万円を超える罰金を科すことができないため、悪質な公然わいせつ事件に対しては、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになります。
公然わいせつ罪の刑期に関するQA
公然わいせつ罪の初犯の刑期は何年?
公然わいせつ罪を犯した者は、刑法で「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められています。
初犯の場合の刑期も、この法律の範囲内で言い渡されることになります。
実際に言い渡される刑期は、公然わいせつ罪の行為の悪質性の程度によって異なってきます。
初犯であれば、略式裁判による罰金刑で終わることも多いです。
また、初犯で悪質性が低いケースであれば、不起訴として前科がつかないこともあります。
公然わいせつ罪でも執行猶予になる?執行猶予になるためには?
公然わいせつ罪で起訴されて刑事裁判になっても、執行猶予になる場合があります。
刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。
執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。
執行猶予になるためには、初犯であること、再犯しないと約束すること等が大切です。
また、公然わいせつ事件の目撃者(実質的被害者)に謝罪と賠償が尽くされていると執行猶予が付く可能性が高まります。
公然わいせつ罪と時効
公然わいせつ罪と時効の関係
公然わいせつ罪の時効は、刑事の時効と民事の時効に分けることができます。
公然わいせつ罪の刑事の時効とは、いわゆる公訴時効のことです。
公訴時効とは、検察官の公訴する権限を消滅させる時効のことです。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。
また相談者によっては告訴期間のことをさして「刑事の時効」と表現される方もいます。
告訴期間とは、親告罪の告訴をできる期間のことです。刑事訴訟法235条は「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない」と定めています。
公然わいせつ罪の民事の時効とは、いわゆる損害賠償請求権の消滅時効のことです。
民法724条の規定により、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。
公然わいせつ罪の時効に関するQA
公然わいせつ罪の公訴時効の時効期間は何年?いつから進行する?
公然わいせつ罪の公訴時効は3年です。公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。
公然わいせつ罪が終わった時から3年が経過した後は、検察官は公然わいせつ事件を起訴することができないということになります。
公然わいせつ罪の告訴期間は何年?いつから進行する?
親告罪の告訴期間は犯人を知った日から進行し、告訴ができる期間は6か月と定められています。
しかし、公然わいせつ罪は被害者のいない犯罪類型ですので、告訴することはできません(刑訴法230条)。
公然わいせつ罪の民事の時効期間は何年?いつから進行する?
公然わいせつ罪の民事の賠償請求権の時効期間は3年です。
損害賠償請求権の消滅時効は損害および加害者を知った時から進行します。
目撃者がおり、その目撃者を実質的な被害者と考えるときには、損害および加害者(行為者)を知った時から3年以内であれば、公然わいせつ罪の加害者に対して損害賠償を請求できるということになります。
これに対して、公然わいせつ罪の加害者は、公然わいせつ罪の被害者が損害および加害者を知ったのち3年が経過すれば、損害賠償の請求を受けないということになります。
公然わいせつ罪の慰謝料の時効期間は何年?いつから進行する?
公然わいせつ罪の慰謝料請求権の時効期間は3年です。
慰謝料請求権の消滅時効は、被害者(目撃者などの実質的被害者)が損害および行為者を知った時から進行します。
公然わいせつ罪と逮捕
公然わいせつ罪と逮捕の関係
現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の違いは?
公然わいせつ罪の逮捕には、大きく、①公然わいせつ罪の事件当日に逮捕される現行犯逮捕と、②公然わいせつ罪からしばらくした後に逮捕される後日逮捕(法律的には「通常逮捕」といいます)の二つのパターンがあります。
公然わいせつ罪の現行犯逮捕とは、公然わいせつ罪の当日に公然わいせつ事件の現場で逮捕されることをいいます。公然わいせつ事件が起こったその時その場所で目撃者など、現場近くにいた通行人によって逮捕されるのが一般的です。
現行犯逮捕された後は、公然わいせつ罪の行為者はそのまま警察署に連行されることになります。
これに対して、公然わいせつ罪の後日逮捕とは、公然わいせつ罪の逮捕状にもとづいて逮捕されることをいいます。公然わいせつ事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されるのが一般的です。
公然わいせつ罪の逮捕状がいつ発行されるかは、公然わいせつ事件に対する捜査の進み具合によって異なります。
公然わいせつ罪で現行犯逮捕されるケースは?
公然わいせつ罪で現行犯逮捕されるケースは、公然わいせつ事件の目撃者が、まさに公然わいせつ事件が起こった現場で犯人を逮捕するケースが多いです。
目撃者や通行人だけでなく、現場に駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されることも少なくありません。
また、公然わいせつ罪の行為態様として、複数回、常習的に行っている場合も、現行犯逮捕されるケースが多いです。
具体例その1
下半身を露出した状態で公園内を散歩していたことで、巡回中の警察官に現行犯逮捕された。
具体例その2
全裸で河川敷を歩いており,目撃者数によって現行犯逮捕された。
公然わいせつ罪で後日逮捕(通常逮捕)されるケースは?
公然わいせつ罪で後日逮捕されるケースは、そう多くありません。しかし、公然わいせつで後日に逮捕されるケースとしては、公然わいせつ罪の行為者が公然わいせつ事件に関する証拠を隠滅する可能性が高い場合に行われると考えられます。
警察としても、軽微な公然わいせつ事件で、わざわざ裁判所に対して逮捕状を請求しないのが一般的です。
しかし、公然わいせつ罪の行為者が公然わいせつ事件に関する証拠を隠滅する可能性が高い場合には、公然わいせつ事件でも後日に逮捕されることがあります。
この点、公然わいせつ罪の容疑を不合理に否認している場合や、公然わいせつ事件の共犯者が多数存在する場合は、「証拠を隠滅する可能性が高い」として後日逮捕されるリスクが高まります。
具体例その1
路上で公然わいせつを行った。しかしその後、多数の目撃者や明確な証拠があるにも関わらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。
具体例その2
わいせつな行為を行うストリップショーを開催した。ショー内容を知りながら場所を貸した劇場の支配人等は口裏合わせや証拠を隠滅をしようとしたため共犯者として後日逮捕された。
公然わいせつ罪の逮捕に関するQA
逮捕されない公然わいせつ罪はある?
あります。すべての公然わいせつ罪の行為者が逮捕されるわけではありません。
公然わいせつ罪を犯してしまっても、公然わいせつ罪の行為態様が悪質でない場合は、逮捕されないケースも多いです。
もっとも、逮捕されない公然わいせつ罪の場合でも、在宅(ざいたく)のまま捜査や取り調べが行われることになります。
在宅事件の場合は、警察署の留置場で生活する必要はありません。自宅で生活することができます。
しかし、警察から呼び出しがあった場合は、その呼び出しに応じて自宅から警察署に出向き、公然わいせつ事件の捜査や取り調べに協力することが求められます。
公然わいせつ罪の逮捕条件は?
公然わいせつ罪の逮捕条件は、現行犯逮捕の場合と、後日逮捕(通常逮捕)の場合とで異なります。
現行犯逮捕の要件
公然わいせつ罪の現行犯逮捕は、基本的に、公然わいせつ事件を現に確認した者によってその現場で行われる必要があります。
現行犯逮捕できるのは、基本的にその時その場限りです。
公然わいせつ事件の現行犯逮捕は、目撃者や通行人、現場に駆けつけた警察官によって行われることが多いです。
後日逮捕の要件
公然わいせつ罪の後日逮捕は、裁判官が発行する逮捕状にもとづいて行われる必要があります。
逮捕状の発行を請求するのは、一般的に警察官です。
逮捕状の発行は、逮捕の理由と逮捕の必要性が認められる場合に限られます。
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。
逮捕の必要性とは、「被疑者が逃亡するおそれ」や「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」があることです。
公然わいせつ罪の逮捕の流れは?逮捕までの流れは?
公然わいせつ罪の逮捕の流れは、大きく現行犯逮捕の場合と後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。
現行犯逮捕の流れ
公然わいせつ罪の現行犯逮捕の流れは、公然わいせつ事件の現場で公然わいせつ事件の直後に逮捕される点に特徴があります。
公然わいせつ事件の通行人や目撃者が行為者を直接逮捕するのが、公然わいせつ罪の現行犯逮捕です。
現行犯逮捕された後は、その場に通報を受けた警察官がやって来て、そのまま警察署に連行されることになります。
①公然わいせつ事件の発生
↓
②被害者や第三者による現行犯逮捕
↓
③警察署への連行
後日逮捕の流れ
公然わいせつ罪の後日逮捕の流れは、逮捕状をもった警察官に逮捕される点に特徴があります。
公然わいせつ事件の行為者を後日逮捕するためには、裁判所が発行する逮捕状にもとづく必要があります。
実際の後日逮捕の現場では、警察官が公然わいせつ事件の行為者に逮捕状を示して、逮捕状が執行されることになります。
①公然わいせつ事件の発生
↓
②警察官による逮捕状の請求
↓
③裁判官による逮捕状の発行
↓
④警察官による後日逮捕
↓
⑤警察署への連行
公然わいせつ罪から後日逮捕されるまでの期間は?
後日逮捕されるまでの期間に、法律上の決まりはありません。
公然わいせつ罪を犯してから後日逮捕されるまでの期間は、捜査の進み具合によるところが多いです。
単純な公然わいせつ事件の場合
単純な公然わいせつ事件で捜査がスムーズに進む場合は、公然わいせつ事件から一か月以内に後日逮捕されるケースが多いです。
共犯者のいる公然わいせつ事件の場合
共犯者が複数人いる公然わいせつ事件で捜査に時間を要する場合などでは、後日逮捕までの期間が長引く傾向にあります。
特に、公然わいせつ事件の関係者が複数いるなどして捜査が難航しているケースでは、すぐに逮捕状を請求することができないので、後日逮捕までの期間が長引くことになります。
複雑な公然わいせつ事件で捜査が難航している場合は、公然わいせつ事件から半年後や一年後に後日逮捕されることも考えられます。
公然わいせつ罪で逮捕された後の拘束期間は?
逮捕の期間
公然わいせつ罪の逮捕の期間は、72時間です。
公然わいせつ罪で逮捕されてから48時間以内に送致され、24時間以内に勾留が請求されなければ、基本的に釈放されます。
公然わいせつ罪での勾留が認められない限り、留置場で1~2泊して釈放されるというイメージになります。
拘留(勾留)の期間
公然わいせつ罪での勾留の期間は、最初は10日間、さらに10日間延長される可能性があり、公然わいせつ事件が起訴されればさらに長引くことになります。
一度勾留が決定されれば、弁護士が介入し途中で示談が成立するなどの特段の事情がない限り、最低でも10日間は警察署の留置場で生活しなければなりません。
その後、さらに10日間ほど勾留が延長される可能性があります。
さらに、公然わいせつ罪で起訴(公判請求)された場合は、その後に保釈が認められるか執行猶予判決が言い渡されるまで、ずっと留置場または拘置所で生活しなければなりません。
もし早期の釈放が必要な場合は、弁護士に積極的に動いてもらった方がよいでしょう。
弁護士が実質的被害者と示談を成立させたり、保釈を請求することで、比較的早く留置場から釈放されるケースも多いからです。
なお、公然わいせつ罪と逮捕については『公然わいせつ罪で逮捕されるのはこんなケース!逮捕の流れとその後』でも解説しているので、興味がある方はご覧ください。
公然わいせつ罪と懲役
公然わいせつ罪と懲役の関係
公然わいせつ罪には、罰金刑・科料と懲役刑・拘留が定められています。
公然わいせつ罪の結果が軽微な場合は、略式裁判で罰金刑になる可能性があります。
これに対して、公然わいせつ罪の行為態様が悪質なケースでは、正式裁判で懲役刑が下される可能性があります。
そもそも懲役刑とは?
懲役刑や拘留刑とは、刑務所で刑務作業を負う刑罰をいいます。
公然わいせつ罪で懲役実刑となった場合は、刑務所に収監されて刑務作業を行わなければなりません。
これに対して、公然わいせつ罪で懲役刑になっても、判決で執行猶予がついた場合は、直ちには刑務所に収監されないので、刑務作業を行う必要もありません。
公然わいせつ罪の懲役に関するQA
公然わいせつ罪の懲役の相場は?
公然わいせつ罪の懲役刑の相場は、事件によってさまざまです。
公然わいせつ罪の懲役の法定刑は、刑法によって懲役6月以下と定められているため、公然わいせつ罪の懲役刑が公然わいせつ事件単体で懲役6月を超えることないと言えます。
公然わいせつ罪の結果が重たくない場合は、懲役刑にはならず罰金刑や不起訴で終わることも多いです。
これに対して、公然わいせつ罪の行為態様が悪質な場合は、初犯であっても懲役実刑になることも可能性としてはあります。
公然わいせつ罪の懲役の年数は?懲役は何年?
公然わいせつ罪の懲役の年数は、刑法によって6月以下と定められています。
公然わいせつ罪で懲役実刑になるとしても、公然わいせつ罪単独であれば、刑務所に収監されるのは6月以下です。
初犯の公然わいせつ罪でも懲役実刑になる?
初犯であれば、懲役実刑になる可能性はほとんどありません。
もっとも、公然わいせつ事件が複数回におよぶ等悪質性・常習性が認められる場合には懲役刑となる可能性もあります。
懲役実刑を避ける方法は?
公然わいせつ事件は被害者のいない事件です。しかし、目撃者が実質的な被害者となりうる刑事事件なので、その実質的な被害者と示談を成立させることができると懲役刑を回避できる可能性が高まります。
初犯の公然わいせつ罪だと執行猶予になる?
初犯の公然わいせつ罪であれば、多くの場合、罰金刑が科されます。
罰金刑については、法律上は執行猶予が付与される可能性はありますが、実際に罰金刑に執行猶予が付されることはほぼありません。
公然わいせつ罪の懲役と罰金の量刑判断は?
公然わいせつ罪の懲役と罰金の量刑判断では、①公然わいせつ事件の行為態様の悪質性、②社会的な影響などが考慮されます。
行為態様の悪質性
公然わいせつ事件の行為が悪質な場合は、罰金ではなく懲役になる可能性が高まります。
例えば、関係者多数にのぼる、わいせつなストリップショーは、行為態様が悪質な公然わいせつ事件だと判断されることがあります。
略式裁判と正式裁判の違い
公然わいせつ罪で罰金刑が言い渡される場合は、略式裁判で法廷には出ずに書類上の処理で終わるケースが多いです。
これに対して、公然わいせつ罪で懲役刑が言い渡される場合は、必ず裁判所の法廷で正式裁判が行われることになります。
公然わいせつ罪と示談
公然わいせつ罪の示談とは
公然わいせつ罪の示談とは、公然わいせつ罪によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、公然わいせつ罪の行為者と実質的被害者の合意をもって解決することをいいます。
示談書の作成は、示談の成立の必要条件ではありません。
しかし、その後のトラブル(示談が成立した、しないの言い合い)を防ぐためにも、示談書を作成するが大切です。
目撃者などの実質的被害者が存在しない、あるいは特定できない場合には示談のしようがありませんので、その場合は反省の意を示すために弁護士会に贖罪寄付として寄付金を納めることも可能です。
示談成立の効果は?
公然わいせつ罪の示談が成立したということは、公然わいせつ罪によって生じた賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決したということを意味します。
示談が成立すれば、公然わいせつ罪の行為者は、実質的被害者に対して、示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います。
行為者側の示談のメリットは?
公然わいせつ罪の示談が成立すれば、公然わいせつ罪の行為者は、その後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合と比べて有利に取り扱われます。
具体的には、刑事裁判にならない可能性や、不起訴で前科がつかない可能性が高まります。
示談が成立したことで、軽微な公然わいせつ事件であれば不起訴になることもあるので、公然わいせつ罪の前科がつかないという点でメリットは大きいです。
公然わいせつ罪の示談に関するQA
公然わいせつ罪の示談金の相場は?初犯の場合の相場は?
公然わいせつ罪の示談金の相場は、ケースによってさまざまです。
初犯の公然わいせつ罪の示談金(=迷惑料)は、公然わいせつ罪によって生じた実質的被害者の処罰感情、迷惑感情の大小によって金額が左右されることがあります。
公然わいせつ罪は直接被害を被るわけではありませんので、数万円程度の示談金でまとまるケースもあります。
公然わいせつ罪の実質的被害者の側としても、一定の迷惑料を貰えれば、誠意が伝わったとして満足するケースが多いからです。
示談拒否などで、公然わいせつ罪の示談ができない場合は?
公然わいせつ罪の目撃者など、示談の相手方が示談に応じない場合、行為者には刑事手続において刑事罰を軽くすることができないというデメリットがあります。
具体的には、示談が成立すれば不起訴になったのに示談が不成立だったから罰金になるリスクがあります。
公然わいせつ罪の示談書の書き方は?
公然わいせつ罪の示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と同様です。
示談書の冒頭で、公然わいせつ事件が起こった日時・場所、公然わいせつ罪の行為者と目撃者などの相手方の氏名などを記載して、事件の内容を特定することになります。
また、公然わいせつ罪の示談書には、示談金の金額やその支払い方法を記載します。
示談書の作成は、加害者(行為者)と被害者の双方がサインをすることで完了します。
示談金の一括払いが難しい場合は、示談金の分割払いの合意を結ぶことも可能です。
公然わいせつ罪の示談書に、「被害者は行為者のことを許す」旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合は、その後の刑事手続きで、行為者に有利に考慮されることもあります。
公然わいせつ罪の示談の流れや示談の方法は?
公然わいせつ罪の示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同様です。
公然わいせつ罪の行為者が実質的被害者の連絡先を知っている場合は、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。
示談成立の流れとしては、
①話し合い
↓
②示談条件の確定
↓
③示談書の作成
↓
④示談金の支払い
↓
⑤示談書にサイン
という流れを経ることが多いです。
これに対して、公然わいせつ罪の行為者が目撃者など相手方の連絡先を知らない場合は、公然わいせつ罪の示談を進めるためには、弁護士を選任する必要があります。
弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞くことができるケースが多いからです。
弁護士を選任した後の示談の流れとしては、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。
公然わいせつ罪は示談すれば不起訴になる?示談しても起訴される?
公然わいせつ罪は被害者のいない犯罪類型で、親告罪ではないので、公然わいせつ罪の示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではないという点をまず理解する必要があります。
もっとも、公然わいせつ罪の被害がそれほど重たくない場合は、公然わいせつ罪の目撃者など事件関係者と示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります。
公然わいせつ罪の示談が不成立だった場合はどうなる?
公然わいせつ罪の示談が不成立の場合は、公然わいせつ罪の行為者は、その後の刑事手続において、重たい処罰に課されるリスクを負います。
示談が不成立だった事実は、示談が成立している場合と比べて、公然わいせつ罪の行為者側に不利な事情として取り扱われるからです。
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まとめ
いかがでしたか?
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