示談が成立した後は告訴されない?ホントに「告訴しない」「取り下げ」は有効?
- 「示談が成立した後、告訴を取り下げてもらえるのだろうか。」
- 「示談で告訴をしないことを約束してもらったけれど、本当にその後告訴されないのかな。」
こんな不安を抱えておられる方もいるかもしれません。
そこで、今回は「示談が成立した後は告訴されない?」と題して、
- 示談の意味
- 示談と不起訴の関係
- 「告訴しないこと」「告訴取り消し」といった示談書の条項の有効性
- 親告罪で不起訴になるケース
といった内容をおとどけします。
示談金の相場を検索できるツール、示談書・謝罪文のフォーマットもご紹介するので、是非ご一読ください!
示談と告訴の関係については、刑事事件の実務にくわしいアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
よろしくお願いします。
示談交渉のなかで、告訴をしないことを約束してもらうことは、とても重要です。
そもそも示談の成立自体も、不起訴を目指す人が重視すべき事項です。
今回は、示談の基礎的事項から告訴取り下げといったことまで詳しく説明していきます。
目次
示談とは?示談が成立した後は告訴されない?
(1)「示談」とは?示談成立で不起訴?
まず、「示談」について確認しましょう。
刑事事件では、示談をすると不起訴になるという話を聞いたことがあるかもしれません。
ですね!示談するとほぼ不起訴かと
— 末代目 痔 Solo Brother (@JIZIG123) 2018年4月26日
まずは、示談の意味をチェックです。
示談とは、
民事上の紛争について、裁判外における当事者間の話合いによって解決すること
です。
刑事事件の加害者は、被害者から損害賠償を請求される関係にあります。
示談は、その損害賠償に関する紛争を、裁判ではなく当事者の合意で解決するものです。
ひとことでいうと、こういうことですね。↓↓↓
示談
民事上の損害賠償について解決する手段
では、民事上の解決手段である示談が、なぜ刑事手続きに関係するのでしょうか。
刑事事件が起訴されるか、不起訴かは、検察官によって判断されます。
起訴の必要性は、様々な角度から検討されます。
示談の成立は、当事者間で事件を解決した証となります。
そのため、起訴の必要性は低いと判断されやすいです。
こういった事情から、民事上の示談成立が、刑事事件に関係するのです。
示談の流れについては、この図をご覧ください。
通常、弁護士に示談交渉をすすめてもらうことになります。
被害者の方は、加害者の方とやりとりすることに緊張をおぼえることも多々あります。
そのため、弁護士をはさんで示談交渉をしていくことが多いです。
示談交渉の主な内容は、損害賠償についてです。
具体的には、次の2点を決めます。
示談金に関する取り決め
- ① 示談金の金額
- ② 清算条項
示談金というのは、損害賠償に対応する金銭です。
清算条項というのは、示談できめた金額以上に損害賠償を請求されないことを確認する条項です。
この2点が示談の核になります。
(2)「告訴しないこと」・「告訴状取り下げ」を示談の条件にできる?
示談は、刑事事件に関する損害賠償がメインです。
なので、示談金のとりきめや、清算条項は必ず記載されるはずです。
ですが、このほか事件解決のために、いろんな条件をつけることができます。
不起訴を目指す人にとっては、次の条件をつけることが望ましいです。
事件解決のための条件
- 宥恕条項(ゆうじょじょうこう)
- 告訴しないことを約束する条項
これらの条項は、いずれも
被害者が加害者の処罰を望んでいないこと
を表現するものです。
「まだ告訴されていない」ケースなら、
「告訴しない」こと
を条件にすることもできるでしょう。
ちなみに示談書の書式は、以下のリンクから確認できます。
↓↓↓
示談書の典型的な条件を抜粋して書いておきますね。
①謝罪 ②示談金の支払い ③清算条項 ④接触禁止条項 ⑤宥恕条項 ⑥守秘義務条項 ⑦告訴の取り消し |
ただ、条件にこだわりすぎることは、よくありません。
被害者の心情も加味しつつ、示談交渉をしなければなりません。
どんなふうに示談交渉がすすんでいるのか、その都度、加害者自身もチェックしなければなりません。
示談交渉は弁護士さんに任せるべきだとは思います。
ですが、示談交渉への姿勢しだいで、示談の成否そのものも大きく変わります。
加害者として、示談について主体性を忘れないことが大切です。
(3)【注意】示談が成立した後でも告訴されることはある!
「告訴をしないこと」や「告訴状を取り下げること」を示談できめることができたとします。
ですが、その後、やっぱり告訴されてしまうというケースはあるのでしょうか。
パターンとしては、次の2つが考えられます。
①まだ告訴されていない段階で、示談をして、そのあと告訴されてしまう可能性
②示談で告訴取り消し、そのあと再告訴される可能性
これらの可能性をさぐってみましょう。
①そもそも告訴されていなかった場合に告訴される可能性
まだ、告訴されていない段階で、示談をして、その示談のなかで「告訴しない」取り決めをしたとします。
このようなケースで、示談のあと告訴されることはあるのでしょうか。
民事的にみれば、このような示談の取り決めは、有効です。
ですが、違反したとしても、民事上の問題です。
理論上、刑事手続きの告訴が禁止されるものではありません。
示談のあと告訴される可能性はのこります。
では、告訴される可能性があるのに、示談のなかで「告訴しない」条件を盛り込む意味はあるのでしょうか。
たしかに、理論上、告訴は禁止されません。
ですが、実際に、再度告訴される可能性は低いでしょう。
示談金も、「告訴しない」という条件を念頭において決められます。
被害者としても、示談で事件を解決する意思がつよいでしょう。
また、仮に告訴されてしまったとしても、その場合には、
「どういった示談が成立したのか」
も考慮してもらえると考えます。
そのため、まったく意味がないということはありません。
「告訴しない」との取り決めの有効性は、期待できるといってよいでしょう。
このほか、公訴時効が成立したときは告訴されることはないです。
告訴される可能性
- 示談のあと告訴される可能性は低い
- 公訴時効が成立したときは告訴されない
②示談で告訴を取り消された後で再告訴される可能性
さて、示談で告訴取り消しを約束して、実際に取り消されたとします。
その後、再度告訴される可能性についてはどうでしょうか。
親告罪の場合、告訴が取り消された後、さらに告訴されることはありません。
再告訴は禁止されています。
親告罪でない場合、再告訴される可能性はのこります。
ですが、示談で解決しようとした当事者があらためて告訴する可能性は低いものです。
また、告訴されたとしても、不起訴の可能性ものこされています。
まとめてみました。
再告訴される可能性
- 親告罪は再告訴はされない
- 公訴時効が成立したときは告訴されない
刑事事件の時効について気になる方は、以下の特集記事もご覧ください。
刑事事件の時効についてはコチラをご覧ください。
さて、こんどは気になる示談金の相場についてです。
(4)【コラム】示談金の相場「〇〇罪なら▼▼万円」
さて、示談金については相場があるといわれています。
目安として、いくつか挙げてみます。
示談金の相場は?
- 暴行:10~20万円。
- 傷害:10~30万円。100万を超えることも。
- 盗撮:10~30万円。
- 窃盗:被害額+α
ただ、示談金の金額は、被害者の処罰感情に左右されます。
なので、これらの数値はあくまで目安です。
もっといろんな事案が知りたい方もおられますよね!
検索ツールをつかって調べてみてください。
↓↓↓
さて、今度は、親告罪の告訴について詳しく見ていきましょう。
示談が成立した後に告訴されないケースは?
告訴に関する取り決めは「親告罪」で有効?
さて、ここから示談が成立した後に絶対に告訴されないケースをまとめます。
告訴に関する取り決めが、不起訴に直接影響するのは「親告罪」です。
親告罪とは?
公訴の提起に被害者その他法律の定めた者の告訴を必要条件とする犯罪。
かんたんにいうと、告訴がなければ起訴されない犯罪です。
親告罪とされる犯罪には、どんな犯罪があるのでしょうか。
表で確認してみましょう。
罪名 | |
---|---|
① | 信書開封、秘密漏示 |
② | 過失傷害 |
③ | 未成年者略取及び誘拐 、営利目的等略取及び誘拐、被略取者引渡し等 |
④ | 名誉毀損、侮辱 |
⑤ | 私用文書等毀棄、器物損壊等、信書隠匿 |
ちなみに、最近では性的暴行について、刑法の改正がありました。
以前は、強姦や強制わいせつは親告罪とされていました。
ですが、現行法では、非親告罪となっています。
さて、親告罪が告訴されないケースをまとめていきましょう。
①親告罪の告訴取り消し・再告訴禁止
まず、親告罪では、告訴が取り消されたら再告訴されることはありません。
法律で、親告罪の再告訴は禁止されているからです。
ちなみに、「告訴取り消し」と「被害届の取り下げ」は違います。
告訴と被害届の違いなどについては、以下の記事も参考にしてみてください。
さて、次に告訴期間というものについて確認していきましょう。
②親告罪の告訴期間が経過
このほか、告訴される期間についても制限があります。
親告罪でも非親告罪でも、公訴時効が成立していれば、告訴されることはありません。
これにプラスして、親告罪の場合、「告訴期間が経過していれば告訴されない」というルールもあります。
親告罪 | 非親告罪 | |
---|---|---|
公訴時効 | 〇 | 〇 |
告訴期間 | 〇 | ✖ |
告訴期間内に告訴されなかった親告罪は起訴されません。
さて、親告罪における告訴期間はどのくらいなのでしょうか。
親告罪の告訴期間は、原則として、「犯人を知つた日から6か月」とされています。
親告罪の告訴がなく、起訴されないパターンをまとめました。
親告罪の告訴がないケース
- ① 告訴期間経過後の告訴はされない
- ② 公訴時効経過後の告訴はされない
- ③ 告訴取り消し後の再告訴は禁止
このように、これらのパターンでは、起訴されることはありません。
ただ、注意が必要なのは、告訴取り消しにも期限があるということです。
その期限は、ズバリ起訴までです。
その後、取り消されても、裁判はなくなりません。
示談成立後に告訴の可能性…それでも示談成立を目指すべき理由とは…
(1)示談の成立それ自体が重要
示談の成立は、当事者で事件が解決したことを示す事情となります。
示談が成立したという事実そのものが、不起訴の判断に大きな影響をあたえます。
示談をしたあとに、被害者が告訴する可能性も低いものです。
示談金の支払いをためらう人もいるかもしれません。
たとえ、示談金を支払ったとしても、
示談金の支払いという事実が、被害回復の程度として考慮されます。
その結果、不起訴や量刑判断に影響を与えます。
そのため、告訴の可能性がのこっていたとしても、示談成立をめざすべきでしょう。
(2)示談成立後に告訴されないように示談交渉を!
一番重要なのは、示談成立後に、
被害者に「やっぱり告訴しよう」と思われてはいけない
ということです。
そのためには、示談交渉の前提として誠意ある謝罪が必要です。
ちなみに謝罪文の書き方は、以下のフォーマットを参考にしてみてください。
相手方の気持ちに配慮しながら、示談交渉をすすめていきましょう。
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さいごに
今回は、「示談が成立した後は告訴されない?」と題して、レポートしてきました。
示談のなかで「告訴しないこと」を約束したとしても、後日告訴される可能性はのこるようです。
ですが、示談の成立そのものが、不起訴や量刑の判断に、すごく影響します。
示談の成立をめざしたいところです。
被害者の方に誠意をもって示談交渉にあたることが重要です。
前科をつけたくない、不起訴になりたいといった気持ちを前面に押し出して、あせって示談をすることは禁物です。
時間は多ければ多いほど示談成立の可能性を広げることになります。
刑事事件の示談や、告訴の取り下げでお悩みの方は、早いうちに弁護士にご連絡いただければと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「示談成立後の告訴」について理解の一助となれたら、うれしいです。
また、このサイト内には「示談」についてのコンテンツがたくさんあります。
なお、示談について知っておきたい情報は『示談で被害者にゆるしてほしい!刑事処分が軽くなるトラブル解決方法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
また、関連記事も、ぜひぜひ読んでみてくださいね!