未成年の窃盗罪とは?|初犯でも刑罰は科される?時効は?
窃盗罪とは、人の財物を窃取することによって成立する犯罪のことです。
窃盗の犯人がもし未成年だった場合、どのような処分を受けるかご存知ですか?
世間ではこのような声もありました。
窃盗罪は刑法235条で「他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
成人している大人は刑事裁判で有罪になれば、以上の処罰を受けることになります。
非常に重い処罰ですよね。
しかし、犯人が未成年だった場合、実は流れが異なります。
今回は「未成年の窃盗罪」についての特集をお送りします!
目次
未成年の窃盗事件…
- 犯人が未成年の場合刑罰はどうなるの?
- 未成年で初犯でも刑は科される?
- 未成年の窃盗罪に時効はある?
など、もし未成年者本人や、身近な未成年者が窃盗事件の当事者になってしまった方は気になりますよね。
未成年の窃盗罪に関する疑問をこの記事で徹底解消していきましょう!
法律的な部分は刑事事件にくわしい、弁護士の先生にお願いします。
窃盗の容疑者が未成年の場合、成人とは手続が異なります。
今回は「未成年の窃盗罪」についてくわしく解説していきます。
よろしくお願いします。
未成年が窃盗事件を起こすとどのような刑罰を受けることになるのか…
さっそくみていきましょう!
未成年の窃盗罪、どんな刑罰?|逮捕の流れを知る
未成年の窃盗罪の刑罰は?懲役実刑もありえる?
窃盗罪は犯人が成人の場合、刑事裁判で有罪になれば10年以下の懲役や50万円以下の罰金になる可能性があります。
窃盗事件の犯人が未成年だった場合、20歳以上の成人と同じ刑罰を受けるのでしょうか。
20歳以上であれば事件が起訴されると「刑事裁判」を受けることになります。
20歳未満の未成年者の場合は、通常は刑事裁判ではなく少年審判を受けることになります。
しかし、殺人などの重大犯罪においては、未成年者でも刑事裁判を受けるケースがあります。
刑事裁判を受けない限り、20歳以上の成人と同じ刑罰を受けることはありません。
未成年の事件は少年法に基づき、家庭裁判所が審判をします。
その結果を踏まえて、少年に対して処分を言い渡す形となります。
なお、14歳未満の少年の犯行は、刑法上の犯罪にはなりません。
しかし、少年法上は「保護処分」の対象となっています。
未成年者は少年審判を受けるということでしたが、少年審判とはなんでしょう?
意味を確認しておきましょう。
少年法の規定により、家庭裁判所が少年の非行事実の存否、保護処分を行うことの可否・要否を確定し、行うべき保護処分を定める手続。
審判は懇切を旨として和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならず、非公開とされるが(二二)、平成二〇年の同法改正により、少年に係る一定の重大事件の被害者等は、一定の要件の下、家族裁判所の許可により、審判を傍聴できることとなった(二二の四)。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
少年鑑別所にいる間に、少年審判を「開始」するか「審判不開始」にするか検討されます。
もし、少年審判で開始されたときにどのような処分の可能性があるか確認しましょう。
少年審判で決定される処分は大きく分けて4つあります。
- ① 保護処分:保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致
- ② 検察官送致:家庭裁判所から証拠等とともに事件を検察官に送り届け、刑事裁判になる
- ③ 不処分(教育的処置)
- ④ 都道府県知事または児童相談所長送致
ところで、少年審判は傍聴することができるのでしょうか?
少年審判は原則非公開です。
他方で、刑事裁判は公開の法廷で行われ、誰でも傍聴することができます。
少年審判で傍聴が認められていないのは、少年のプライバシーを保護するためです。
例外的に、「少年に係る一定の重大事件の被害者等は、一定の要件の下、家族裁判所の許可により、審判を傍聴できる」ことになっています。
成人が有罪になった際に受ける刑罰とは大きく違っていますね。
なので、成人と一緒に刑務所で服役する刑事裁判においての「懲役実刑」にはならないということですね。
次の章では未成年の窃盗罪の逮捕の流れをみていきましょう!
未成年が窃盗罪で逮捕…その後の流れを解説!
「未成年」、すなわち20歳未満の者が起こした事件を少年事件といいます。
「少年」といっても20才未満の女性も含まれます。
もし、いわゆる「少年」が窃盗罪などの犯罪行為をすると逮捕されるのでしょうか?
未成年だから逮捕されない場合などもあるのでしょうか。
未成年者の場合でも、悪質な刑事事件を起こせば、警察に逮捕されます。
通常の成人の逮捕と同様に
- 事件の現場で現行犯逮捕される
- 逮捕状をもった警察官に後日逮捕される
などの可能性があります。
逮捕の必要性の判断自体は、成人の場合と比べて緩やかです。
しかし、一定の要件を満たせば未成年者の場合でも逮捕されることになります。
未成年が起こした事件でも悪質性によっては逮捕されるのですね。
もし、未成年が刑事事件で逮捕されると、その後の流れはどうなるのでしょうか。
通常の成人による事件と同じように進行するのでしょうか。
年齢が14歳以上20歳未満の少年であれば、逮捕直後の手続きは、基本的に成人の場合と同様です。
大きく異なる点は、逮捕後検察官が勾留請求をするか、または勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に移送するいう点です。
勾留となる場合には、少年は通常10日〜20日間の留置場生活を送ることになります。
「少年鑑別所」という施設はご存知ですか?
テレビや新聞で見かけたことがあるかもしれませんね。
「少年鑑別所」がどんな施設か改めて確認しておきましょう。
家庭裁判所の観護措置決定に基づいて送致された少年を審判があるまで収容するとともに、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行うための施設(略)
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
少年鑑別所へ送られるタイミングは「逮捕または勾留後」が多い、とのことでした。
事件によって、タイミングが変わるということでしょうか。
逮捕された未成年者が少年鑑別所に行くタイミングは、事件によってさまざまです。
▼逮捕後すぐに鑑別所に行く場合
未成年者は、留置場で勾留されることなく、すぐに少年鑑別所に移送されるケースがあります。
証拠が明白で捜査の必要性があまり高くない軽微な事件の際は、このような流れになる場合もあります。
▼逮捕後20日ほどして鑑別所に行くケース
未成年者の場合も、大人と同じく、10日〜20日間の勾留が決定されるケースがあります。
この場合は、逮捕後、警察署の留置場で生活することになります。
その後は少年鑑別所に移ることになります。
強制捜査の必要性が高い、比較的重い事件の場合の場合はこのような流れになることが多いです。
少年鑑別所に移動になった後、審判の必要があるか家庭裁判所が判断します。
審判の必要性があると判断すれば、少年審判が行われます。
必要がない、と判断すれば「審判不開始」となります。
最終的な処分は少年審判によって言い渡されます。
処分の内容は先程の章で述べた通りです。
逮捕直後の手続きなどは、成人とほぼ同じですが、その後の流れが大きく違いましたね。
未成年のくわしい逮捕の流れはこちらの画像をご覧ください。
【Q&A6選】未成年の窃盗罪|初犯だと刑罰は軽い?時効は何年?
Q1.初犯だと刑罰は軽い?
成人は事件が起訴され、刑事裁判で有罪になると刑罰を科せられます。
20歳未満による少年事件は少年法に基づき、処分が下されます。
窃盗罪の初犯で、本人が十分に反省していて更生の見込みがみられれば処分が穏やかになることもあるようです。
Q2.未成年の窃盗罪、時効はある?
窃盗罪に時効は存在するのでしょうか?
そして、未成年の窃盗事件の場合はどうなるのでしょうか。
窃盗罪の時効は
- 刑事の時効
- 民事の時効
にわけることができます。
刑事の時効
窃盗罪の刑事の時効とは、いわゆる公訴時効のことです。
公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。
窃盗罪の公訴時効は7年です。
また告訴期間のことをさして「刑事の時効」と表現される方もいます。
刑事訴訟法235条は「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない」と定めています。
しかし、窃盗罪は親族間窃盗を除いては親告罪ではないので、6か月の告訴期間の規定は適用されません。
民事の時効
窃盗罪の民事の時効とは、いわゆる損害賠償請求権の消滅時効のことです。
民法724条の規定により、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。
時効には種類があって、それぞれ意味も期間も異なるのですね。
公訴時効・告訴期間・消滅時効、それぞれの言葉の意味を確認しておきましょう。
公訴時効(刑事):検察官の公訴する権限を消滅させる時効
告訴期間(刑事):親告罪の告訴をできる期間のことです。
消滅時効(民事):権利を行使しない状態が一定期間継続することにより、その権利を消滅させる制度
窃盗罪の時効を表にまとめましたのでご覧ください。
まとめ
窃盗罪の時効
公訴時効 | 告訴期間 | 消滅時効 | |
---|---|---|---|
事件の種類 | 刑事 | 民事 | 民事 |
意味 | 検察官の公訴する権限を消滅させる時効 | 親告罪の告訴をできる期間 | 損害賠償請求権の消滅時効 |
期間 | 7年 | 無関係* | 3年 |
Q3.未成年の窃盗罪、家庭裁判所に送られる?
未成年の事件で逮捕されるとすぐ家庭裁判所へ送られるイメージではないでしょうか?
しかし、逮捕後にすぐ家庭裁判所に送られるわけではありません。
少年事件で逮捕されたあとは、48時間以内にまず検察官に送致されます。
その後は、勾留または勾留に代わる観護措置を経て、家庭裁判所に送られます。
送致(そうち)とは何かを確認しておきましょう。
被疑者又は少年、書類又は証拠物、事件等を検察官、家庭裁判所、少年院等に送り届けること。捜査、少年の保護処分、児童の福祉の措置等に関する手続として、刑事訴訟法、少年法、児童福祉法等で規定されている。「移送」が同種類の機関相互間で送り届けることを指すのに対し、送致は異種類の機関相互間で送り届けることを意味する。(略)
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
Q4.「未成年の大学生です…罰金刑になったら払えません」
窃盗罪は本来ならば10年以下の懲役刑、または50万円以下の罰金刑になります。
しかし、ここまでで、少年事件は重大事件でなければ少年法に基づき処分されるとわかりました。
少年審判の処分に罰金刑はありません。
なので、家庭裁判所から検察官送致をされない限りは罰金刑になることはありません。
少年法の20条にはこう記されています。
家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。(略)
出典:少年法 第20条
重大な少年事件であれば家庭裁判所から検察へ逆送され、刑事裁判を受ける可能性もあります。
Q5.バイク・自転車の窃盗で逮捕…初犯でも前科はつく?
バイク・自転車の窃盗で未成年者が逮捕されると前科はつくのでしょうか。
もし、前科がついてしまったらこれからの進学・就職などに大きく影響しそうですよね。
「前科」とは、過去に刑事裁判で有罪判決を受けた事実のことです。
実務上、バイク・自転車窃盗の場合、逆送され刑事裁判になるケースは基本的にはありません。
少年のバイク・自転車窃盗で前科がつく可能性は、極めて小さいといえるでしょう。
少年審判の処分で「検察官送致」になり、刑事裁判を受けることにならない限りは「前科」はつかないということでした。
【弁護士無料相談】未成年の窃盗罪を弁護士に相談する
【スマホで簡単】未成年の窃盗罪は弁護士にご相談を!
身近な未成年者が窃盗事件の当事者になっていたら一刻も早く解決したいですよね。
24時間365日問合せ可能な弁護士相談窓口をご紹介します!
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
思い立ったらすぐに行動してみましょう!
【弁護士を探す】未成年の窃盗事件を弁護士に相談・依頼する
もし、身近な未成年者が窃盗罪で逮捕されてしまったら…
すぐに弁護士に相談、依頼することをオススメします。
しかし、今すぐに弁護士に依頼したい!と考えた際にみなさんは弁護士を見つけられるでしょうか。
…なかなか難しいですよね。
そこで!すぐに「地元の」「刑事事件」で頼れる弁護士を見つける方法をご紹介します!
下記から自分の地域を選択すれば地元の頼れる弁護士がすぐに検索可能です!
頼りになる弁護士を検索することはできましたか?
未成年の窃盗事件で弁護士を選任する際にたいせつなのは
- 少年事件を受け持ったことがある弁護士か
- 弁護士費用などは明瞭か
- 地元の、すぐに相談できる弁護士か
などといった点です。
こちらの弁護士の検索窓口を利用して自分にぴったりの弁護士をみつけてくださいね。
最後にひとこと
未成年の窃盗罪についての疑問や不安は解消されたでしょうか。
成人との事件の流れとは大きく異なっていましたね。
身近な未成年者が窃盗罪で逮捕された、というみなさん。
大きな不安と心配で苦しんでいるかもしれません。
そして、少年事件は多感な時期の未成年者が当事者になるのでたいへんデリケートな事件です。
未成年者の今後の更生や社会復帰を考えたら、トラブルの解決は可能な限り早い方が望ましいです。
その観点からも、相談のタイミングは今がベストといえます。
無料相談を提供している弁護士も多いので、アクセスの良い弁護士事務所を探して、利用してみましょう。
まとめ
未成年の窃盗罪についての特集をお送りしました。
成人の窃盗罪とは異なる部分も多くありましたね。
もし、身近な未成年が窃盗罪で逮捕されたら…
スマホで無料相談を利用してすぐに弁護士に相談することをお勧めします。
そして、全国弁護士検索で刑事事件にくわしい弁護士を探しましょう!
事件後の迅速な行動が少年の将来を左右するかもしれません。
また、このサイト内には、窃盗事件についてのコンテンツがたくさんあります。
本記事以外で、窃盗事件に関して知っておきたい情報は『窃盗で逮捕!前科をつけずに解決する方法と刑事手続きの流れ』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
さらに、関連記事も要チェックです!