盗撮しても逮捕されない?ニュースから見る現行犯逮捕と後日逮捕の違い
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
多くの人がスマートホンのカメラを持ち、その気になれば盗撮を行える時代。
一方で盗撮に対する規制も強化され、誰もが盗撮行為の加害者にも被害者にもなりやすい世の中になっています。
「家族が盗撮で逮捕されてしまった……」
「自分の行為は盗撮だったんだろうか?」
「うっかり魔が差して盗撮してしまった。見つからなかったけど後々逮捕されることはあるの?」
こんな不安をお持ちの方もいらっしゃるはず。
盗撮で逮捕される場合とは|盗撮事件の実態
犯罪が減っていると言われる昨今ですが、その中で盗撮行為の検挙件数は、なんと3倍以上にもなっているのです。
警視庁の統計によるとここ10年で193件から676件へ増加しています。
そこで今回は、
- そもそも盗撮ってどういう罪?
- どういった行為が盗撮になるの?
- もし盗撮で逮捕されてしまったらどうすればいい?
こういったことについて、アトム法律事務所の弁護士に質問しながらお伝えします。
そもそも盗撮の罪ってなに?
従前、盗撮罪の創設を推進したいという声もあったようです。
刑法には「盗撮罪」というものはありませんが、昨今、条例の規制対象となる範囲が拡大したり、新しい法律が制定されるなど、盗撮の規制は厳しくなる一方です。
では、具体的に、どのような法律によって、盗撮事件が処罰されることになるのか確認していきましょう。
まずは2023年7月13日から運用されるようになった「撮影罪」からです。
撮影罪
2023年7月13日以後の盗撮事件については、撮影罪に問われる可能性があります。
撮影罪は、新しく制定された法律で、従来の迷惑防止条例違反の処罰対象・刑罰の重さを統一する意味合いがあります。
撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁または300万円以下の罰金となります。
これから紹介する条例違反等の罪と比べると、かなり刑罰が重いことが分かります。
盗撮事件について詳しく知りたい方はこちら
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県がそれぞれ規定している条例です。
そのため一概に言えませんが、ここでは例として東京都の条例を見てみましょう。
2018年に改正されたばかりで、盗撮に対する規制は強化される傾向にあります。
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) (略)人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(3)(略)人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
出典:(東京都)公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(第5条1項)
ポイントは、
- カメラの設置、差し向ける行為だけでも罪になる
- 公共の場所のみならず、学校や会社、タクシー、カラオケの個室など不特定又は多数の者が利用・出入りする場所での撮影が罪になる
- 公共の場所での卑わいな言動と認められれば盗撮になりうる
ということなどです。
盗撮行為にあたる「卑わいな言動」には、服の上からお尻や胸を強調して撮影する行為などが該当することがあります。
刑法130条違反
刑法に「盗撮罪」はありませんが、盗撮の目的で建物などに入ったときは刑法130条の住居侵入罪・建造物等侵入罪が認められる可能性があります。
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法130条
ポイントは
- 盗撮目的など正当な理由が無いのに住居や建造物に立ち入った場合に問題となる
- 対象となる場所は人の住居、空き家、学校、事務所、駅舎など
ということですね。
軽犯罪法違反
軽犯罪法は、刑法で規制するほどではない行為について規定したものです。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
出典:軽犯罪法1条23号
ポイントは
公共の場所以外で、通常人が服を脱いでいるような場所が対象
ということです。ただし金銭の徴収は10000円未満で、他の法令に比べて刑罰は軽いです。
まとめ
盗撮で問われることのある罪
迷惑防止条例(東京)* | 刑法(130条) | 軽犯罪法(1条23号) | |
---|---|---|---|
場所 | 人が服を脱いでいるような場所 公共の場所・乗物 不特定又は多数の人が出入りする場所 | 人の住居 人が管理する建造物 | 人が服を脱いでいるような場所 |
行為 | 下着・体の撮影 カメラなどの設置 卑わいな言動 | 盗撮の目的で 建物などに入る行為 | ひそかに覗き見る行為 |
刑罰 | 1年以下の懲役 または100万円以下の罰金** | 3年以下の懲役 または10万円以下の罰金 | 1日以上30日未満の拘留 または 1000円以上10000円未満(科料) |
刑罰にかなり差がありますね。
自分がどの罪に問われる可能性があるか、知っておくのは重要そうです。
実際の刑罰の期間や、執行猶予がつくかなど、詳しいことについては以下のページを参照してください。
進化する盗撮の手口|無音、腕時計型、ペン型、超小型のカメラ
盗撮が増えている背景に、カメラの高性能化が挙げられます。
現在ではカメラやレンズが非常に小型になっているため、腕時計、ペン、靴の隙間にまでカメラを仕込むことが可能となっています。
さらにファイバースコープなど紐状のカメラを紙袋に仕込み、1~2㎜の小さな穴から撮影することもあるとか。
昔からあるケータイのカメラでの盗撮も、スマホケースのレンズの穴から、無音のカメラアプリで撮影するなど、手口は巧妙化しています。
こういった事情を知っておくことも、盗撮被害の防止には役立つでしょう。
盗撮で逮捕される行為とは?
それでは、実際にどのような行為が盗撮になるのか事例を見て考えていきましょう。
事例1:後ろ姿を撮っただけで逮捕される?
男性は細身のズボンをはいた女性に目を付け、スマホを腰辺りに構えて、5メートルほど後ろからついて回り、数十秒間にわたって動画撮影を行った(略)。
男性は、(略)県迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の現行犯で逮捕された
出典:https://www.sankei.com/premium/news/150110/prm1501100003-n1.html
男性は服の上から撮影しただけで、下着や裸を撮影したわけではありません。
ですがお尻をアップで撮るという行為が、迷惑防止条例に違反するとされました。
被害者に羞恥心を与える「卑わいな言動」として認定されています。
また、盗撮の目的でお店に入った場合、建造物等侵入罪に問われる可能性もあります。
事例2:海にいる女性を撮影するのは盗撮?
ペン型カメラを使い、海水浴場で水着姿の女性を盗撮したとして、(略)容疑者を逮捕した。
出典:https://www.sankei.com/west/news/180715/wst1807150043-n1.html
迷惑防止条例では、人を羞恥させたり不安にさせるような卑わいな言動を禁止している場合があります。
水着姿は「人の通常衣服で隠されている下着又は体」にはあたりませんが、
それを撮影することが「卑わいな言動」として迷惑防止条例違反に問われました。
事例3:陸上競技中の女性を動画撮影…盗撮になる?
ご説明したように着衣の上からの撮影でも迷惑防止条例に違反する可能性はあります。
ですが、女性が陸上競技をしている様を遠くから通常のカメラで動画撮影するだけでは卑わいな言動であるとは考えにくいです。
なお、撮影している部位や、撮影の態様などによっては盗撮にあたることもあります。
撮影行為が卑わいな言動ととられるかどうか、注意しなくてはいけませんね。
撮影の有無にかかわらず
「卑わいな言動」にあたるとされた例
内容 | |
---|---|
事例① | 電車で正面に座っていた女性のスカート内を盗撮するためにデジタルカメラを差し向ける行為(徳島県) |
事例② | 電車の車内で女性のお尻にスマホを押し当てる行為(東京都) |
事例③ | 女子脱衣所の棚に盗撮目的で小型カメラを設置する行為(和歌山県) |
盗撮事件の逮捕の種類|後日逮捕の可能性
盗撮の現行犯逮捕と後日逮捕の違い
実際、盗撮での逮捕ってどのような形でされるのでしょうか。
弁護士先生に概要を解説して頂きましょう。
盗撮の逮捕には、大きく、①盗撮の事件当日に逮捕される現行犯逮捕と、②盗撮からしばらくした後に逮捕される後日逮捕(法律的には「通常逮捕」といいます)の二つのパターンがあります。
盗撮の現行犯逮捕とは、盗撮の当日に盗撮事件の現場で逮捕されることを言います。盗撮事件が起こったその時その場所で被害者や目撃者によって逮捕されるのが一般的です。
現行犯逮捕された後は、盗撮の加害者はそのまま警察署に連行されることになります。
これに対して、盗撮の後日逮捕とは、盗撮の逮捕状にもとづいて逮捕されることを言います。盗撮事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されるのが一般的です。
盗撮の逮捕状がいつ発行されるかは、盗撮事件に対する捜査の進み具合によって異なります。
盗撮での逮捕にも2パターンあるんですね。
その場で取り押さえられる現行犯逮捕のイメージが強かったので勉強になりました。
まとめ
現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の違いは?
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
---|---|---|
逮捕の時期 | 犯行中、犯行直後 | 後日 |
逮捕状の要否 | 必要なし | 絶対に必要 |
逮捕者 | 主に被害者、目撃者 | 主に警察官 |
逮捕後 | 警察署に連行される | 警察署に連行される |
盗撮で現行犯逮捕される場合とは
では、盗撮事件の「現行犯逮捕」についてくわしく教えてもらいましょう!
どんなケースが現行犯逮捕されるのでしょうか?
盗撮で現行犯逮捕されるケースは、盗撮事件の被害者または周囲の目撃者が盗撮行為を現場で確認している点に特徴があります。
頻繁に盗撮事件が起こっている現場周辺では、特に捜査機関が警戒していることもあり巡回中の警察官によって現行犯逮捕されることが少なくありません。
また、盗撮の手段として悪質な小型カメラなどの盗撮機器を用いた場合も、現行犯逮捕されるケースが多いです。
具体例その1
加害者Aは被害者Bに対して、携帯電話のカメラ機能を用いて被害者のスカート内を撮影したことで現行犯逮捕された。
具体例その2
加害者Aは被害者Bに対して、被害者の住むマンションのベランダに侵入して、浴室の窓の鍵を壊して浴室内をビデオカメラで撮影したことで現行犯逮捕された。
ありがとうございます。こういった場合が現行犯逮捕になるんですね。
まとめ
盗撮で現行犯逮捕されるケースは?
現行犯逮捕されやすい | 現行犯逮捕されにくい | |
---|---|---|
犯行 | 犯行が目撃されている | 犯行が目撃されていない |
結果 | 犯人は現場から警察署に連行される | 犯人は現場からそのまま帰宅する |
現行犯について、さらに詳しく知りたい方はこちらを参照にしてください。
盗撮で後日逮捕される場合とは
では続いて後日逮捕について解説して頂きましょう。
先生、これも事例を交えて説明してください。
盗撮で後日に通常逮捕されるケースはそう多くありません。
そもそも逮捕するためには、被疑者に一定の嫌疑が必要となりますが、嫌疑を立証できる程度の証拠を確保できないことが盗撮では多いです。
逆に、十分な証拠があれば、逮捕の可能性は高くなります。
具体的な証拠としては、次のようなものが考えられます。
- 防犯カメラに盗撮する姿が映っていた
- 盗撮行為の目撃者がいた
- 盗撮用の設置カメラが発見された
- ICカードの入場記録で身元が確認できた
証拠が十分あることを前提に、盗撮で後日逮捕されるケースは、盗撮の加害者が盗撮事件に関する証拠を隠滅する可能性が高い場合や逃亡する可能性が高いと判断される点に特徴があります。
警察としても、軽微な盗撮事件で、証拠隠滅の可能性が低いケースでは、わざわざ裁判所に対して逮捕状を請求しないのが一般的です。
この点、盗撮の容疑を不合理に否認している場合には、「証拠を隠滅する可能性が高い」として後日逮捕されるリスクが高まります。
具体例その1
加害者Aは被害者Bのスカート内を盗撮した。しかしその後、多数の目撃者や明確な証拠があるにも関わらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。
具体例その2
加害者Aは被害者Bのスカート内を盗撮した。しかしその後、防犯カメラに犯行現場が映っているにもかかわらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。
まとめ
盗撮で後日逮捕(通常逮捕)されるケースは?
後日逮捕されやすい | 後日逮捕されにくい | |
---|---|---|
証拠隠滅 | 証拠隠滅の可能性が高い | 隠滅の可能性が低い |
逃亡 | 逃亡の可能性が高い | 逃亡の可能性が低い |
なるほど、数は多くはないけど、こういったケースがあるってことですね。
盗撮事件の逮捕は、現行犯逮捕ばかりでないことがよくわかりました。
後日逮捕の具体的な流れ|ある日突然警察から電話が…
盗撮は現行犯逮捕が基本であり、後日逮捕の件数はまだまだ少ないです。
ですが近年では防犯カメラの精度があがり、証拠を集めることは以前ほど困難でなくなってきています。
では実際に後日逮捕される場合、どういったことが起きるのでしょうか?
可能性としては、約1カ月ほどの内に警察から電話が来ることが考えられます。
盗撮しているところを他の職員に見つかりました(略)先ほど警察のほうから「聴きたいことがあるので、明日警察署まで来てください」と言われました。
出典:https://www.bengo4.com/c_1009/c_1197/b_44073/
滅多にないことではありますが、その場合「ちょっとお話を聞かせてもらえませんか」と、取り調べのため警察署に呼び出しをされることが多いです。
電話を無視した場合、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがあると考えられ、逮捕の可能性が高くなることがあります。
取り調べだからといって、何もかも話さなければいけないわけではありません。
また、取り調べを受けたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
そうは言っても、実際は初めてのシチュエーションにパニックになり、冷静な行動がとれないものです。
電話が来た時点で、弁護士に相談することが肝心です。
以下の記事も参考にしてください。
では実際に逮捕された場合はその後どうなるんでしょう?
順を追ってみていきましょう。
逮捕後の流れ|エスカレーターでスカートの中を盗撮して逮捕されたら
続いて逮捕後の流れを見ていきましょう。
ここでは、駅のエスカレーターで前に立つ女性のスカートの中を盗撮していたら、現行犯逮捕されてしまった場合について考えてみましょう。
上でも見た通り現行犯人の場合、発見されて駅員室などに連れていかれた時点で逮捕となります。
まず、先生に逮捕後の流れを簡単に解説して頂きましょう。
逮捕の期間
盗撮の逮捕の期間は、72時間です。
盗撮で逮捕されてから48時間以内に検察官に事件が送致され、24時間以内に勾留が請求されなければ、基本的に釈放されます。
盗撮での勾留が認められない限り、留置場で2~3泊して釈放されるというイメージになります。
拘留(勾留)の期間
盗撮での勾留の期間は、最初は10日間、さらに10日間延長される可能性があり、盗撮事件が条例違反として起訴されればさらに長引くことになります。
一度勾留が決定されれば、弁護士が介入し途中で示談が成立するなどの特段の事情がない限り、最低でも10日間は警察署の留置場で生活しなければなりません。
その後、さらに10日間ほど勾留が延長される可能性があります。
さらに、盗撮(条例違反)で起訴(公判請求)された場合は、その後に保釈が認められるか執行猶予判決が言い渡されるまで、ずっと留置場または拘置所で生活しなければなりません。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/keijinonagare_9.png
逮捕後の流れがよくわかりました。このように聞くと釈放の機会がかなりあるようですね…
まず考えるのは、職場などに知られたくないということ、今後のために前科をつけたくないということですよね。
釈放の機会にあわせて、順に見ていきましょう。
勾留されない方法はある?|盗撮での逮捕を職場に知られたくない場合
通常、逮捕されると72時間以内に勾留請求されるかが決定されます。
勾留とは
逮捕の後に最大で20日間、被疑者を刑事施設に拘束しておく処分のこと
逮捕で3日間だけ、というならまだしも最大20日間も警察署に留まるだなんて職場などにも怪しまれるのは必至。
スカートの中を盗撮して逮捕されただなんて絶対知られたくない!
勾留を避けるためにはどうしたらよいのでしょうか?
勾留ってどういう時にされるの?
勾留は、罪を犯したと疑うに足りる相当の理由があり、なおかつ
- 住所が定まっていない
- 証拠隠滅の恐れがある
- 逃亡の恐れがある
のいずれかに該当する必要があります。
平成28年における(略)勾留請求率(身柄事件の被疑者人員に占める検察官が勾留請求した人員の比率)は,92.3%であった。(略)勾留請求却下率(検察官が勾留請求した被疑者人員に占める裁判官が勾留請求を却下した人員の比率)は3.4%であり,15年以降上昇傾向にある(略)。
出典:http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_2_2_2_0.html
勾留が請求される確率は高いですが、必ず請求されるわけでも、またすべての請求が認められるわけでもありません。
勾留請求が認められると、いわゆる留置場に入ることになります。
留置場に入らないために、何ができるでしょうか。
勾留されないためにできることは?
まずは弁護士に相談し、検察官や裁判官に対して勾留を避けるために適切な働きかけをしてもらう
ことが重要です。
具体的には
- 扶養家族がいる・定職に就いているなど、逃亡しない事情
- 勾留が続くと失職してしまうこと
- 犯行の確たる証拠が警察の手元にあり、既に証拠隠滅はできなくなっていること
などを主張することが考えられます。
逮捕されたら起訴されて裁判になる?|盗撮の前科はつくのか
残念ながら勾留されてしまった場合、次に不安になるのは前科はつくのかということでしょう。
結論から言いますと、逮捕されただけでは前科はつきません。
そもそも前科ってどのタイミングでつくの?
前科とは
逮捕、起訴されて裁判で有罪判決を受けた経歴があること。
つまり、逮捕されても裁判で有罪にならなければ前科はつかないということですね。
ただし逮捕された場合前歴はつきます。
通常、一般人が前歴を調べることは出来ず、住民票や戸籍にも載りません。
ですが警察内部に情報は残るため、また新たに容疑がかかったとき不利にはたらく可能性があります。
前歴の詳しい情報については以下の記事を参照してください。
逮捕されたら必ず裁判になるの?
裁判で有罪判決を受けると、前科がつく…。
となると次に不安になるのは、裁判になるのかということでしょう。
日本の刑事裁判では、裁判になった場合ほぼ確実に有罪となってしまいます。
ではほぼ確実に前科がつくかと不安になるかもしれませんが、必ず裁判になるとは限りません。
平成28年における検察庁終局処理人員総数(過失運転致死傷等及び道交違反によるものを含む。)の起訴率は33.4%
出典:http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_2_2_3_0.html
逮捕されても、3人に2人は不起訴処分となって裁判にはなっていません。
それは、起訴を避けるための活動がなされたからでもあります。
その具体的方法についても考えていきましょう。
不起訴処分ってどういうこと?
では、不起訴処分になるためにはどうしたらいいんでしょう?
実際にやってしまった盗撮での逮捕の場合は、基本的には起訴猶予を目指すべきです。
起訴猶予とは
犯罪を犯したのは事実だけれども、犯罪の内容や容疑者の態度などを考慮して、起訴を見送ること
起訴猶予以外の不起訴処分について詳しく知りたいときは、こちらのページを参照してください。
起訴猶予の重大な判断要素となるのが、被害者と示談しているかどうかです。
盗撮で被害者と示談する方法|不起訴を目指す
そもそも示談って何?
示談とは
被害者に相応の金銭を払ったうえで、「これで事件を解決する」と当事者の間で合意すること。
示談があれば起訴猶予になりやすい。
なぜなら、当事者間で争いが解決したのならば、わざわざ裁判を起こす必要性が無いと不起訴処分の判断がされやすいのです。
今回であれば、盗撮した相手の女性にお金を払って、示談の合意をすれば起訴されにくくなるということですね。
示談の内容ってどんなものがあるの?
示談の内容は様々ですが、一般的には被害の金銭賠償、被害者の許しが重要な要素となってきます。
単に事件を解決する、という合意に加えて
- (加害者の処罰を望んでいないという)宥恕条項
- (加害者を許してほしいという)嘆願書
- (刑事事件として立件されることを望まないことを示す)被害届取下書
などが成立した場合、起訴猶予に大きく動くことでしょう。
でも実際に示談に応じてもらえるものなの……?
ですが実際に示談って、してもらえるんでしょうか。
実は、盗撮事件の場合は、逮捕された容疑者と被害者が直接示談することは困難です。
多くの場合、被害者は盗撮を行った相手と直接会うことを望まないからです。
そのような時は、弁護士に示談を依頼することが効果的です。
弁護士が間に入ることで、相手方も示談に応じてくれることがあります。
また示談交渉を全て弁護士に一任できますので、安心して日常生活を送れることが出来ます。
ところで盗撮の示談金っていくらくらいが相場なの?
でも、「罰金より示談金の方がずっと高いなら罰金を払った方がマシ」と考える人もいるかもしれません。
実際のところ、示談金っていくらくらいが相場なんでしょう。
前科をつけないで生活できることを考えると、やや高額だと感じても示談金を支払うのも一つの選択肢です。
さらに示談は当事者の争いを解決する合意なので、その後民事裁判で訴えられるリスクが無くなることも大きなメリットです。
実際にいくら払うかの目安が知りたい方は、こちらの示談金計算機も活用してみてください。
また、こちらの記事にも盗撮事件における具体的な示談金が掲載されています。
御覧になってください。
釈放される方法|刑務所行きを回避
残念ながら勾留・裁判共に逃れられなかった場合でも、何カ月も刑務所に行くのは避けたいところです。
そこで、以下の方法により釈放されることができます。
略式罰金を払って釈放されよう。
起訴が決定された場合も、一般に想像される裁判官と弁護士と検察官…という裁判ではなく書類上の裁判がなされて略式罰金を払えば済むことがあります。
略式罰金とは
書類上の裁判の判決(略式命令)にしたがって支払う罰金
あまり聞きなれない言葉ですが、盗撮では正式な裁判が行われるよりも、より簡易な略式命令請求がなされる確率の方が圧倒的に高いです。
勾留満期の日に釈放されることが多いですが、前科はつくのでお気をつけください。
まとめ
不起訴と罰金の比較
不起訴処分 | 略式罰金 | |
---|---|---|
制裁(刑罰) | なし | あり |
前科 | つかない | つく |
保釈金を払って保釈されよう。
相当まれなことではありますが、略式命令請求ではなく公判請求がなされて刑事裁判となってしまった場合。
その場合も保釈金を払って保釈されれば留置場から出ることができます。
保釈とは
起訴された後、弁護士が裁判官に保釈を請求し、認められた場合に裁判所に保証金を納付することで釈放される制度。
保釈金の相場は150万から200万と言われています。
納付は弁護士が代理で行ってくれます。
それでも駄目なら執行猶予がつくのを期待しよう。
保釈が認められなくても、判決で執行猶予がつけば留置場に戻る必要はありません。
執行猶予とは
刑罰は課すけれども、刑の執行を一時猶予するという判断
初犯の場合はよほど盗撮の態様が悪質でない限り、執行猶予がつくことも多いようです。
盗撮での逮捕の相談は弁護士に!
ここまで、逮捕の流れについて簡単に解説してきました。
理解したつもりでも、実際に逮捕されると思うように動けなくなってしまうのも事実です。
勾留、起訴、刑罰を避けるためには、やはり弁護士についてもらうのが一番心強い手段だと言えるでしょう。
周囲に知られないため、前科をつけないためには、なるべく早い段階で弁護士に連絡するのが一番です。
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こちらの弁護士事務所は、刑事事件の容疑者となってしまった方を対象に無料相談予約を24時間365日受け付けています。
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まとめ
今回は盗撮事件の逮捕について、逮捕後の流れを含めて解説しました。
盗撮は今や最も身近な犯罪と言ってもよく、ご友人やご家族がある日突然罪に問われることも十分考えられます。
そのような時は落ち着いて、
をぜひご活用してください。
早めのご相談が早期解決につながります。まずはご連絡を!
盗撮しても逮捕されないって本当?最新ニュースでわかる盗撮での逮捕、その後の人生
盗撮罪はないのですか?
「盗撮罪」という刑法はありません。盗撮行為は、①各都道府県がそれぞれ規定している迷惑防止条例違反、②住居侵入罪・建造物等侵入罪が認められた場合は刑法130条違反、③住居、浴場、更衣室など公共の場所以外で、通常人が服を脱いでいるような場所で盗撮の場合は軽犯罪法違反に当てはまります。 「盗撮罪」なんてない!そもそも盗撮ってどういう罪なの?
盗撮行為は逮捕されるのですか?
逮捕される可能性はあります。実際、まさに今盗撮を行っているところを見つかった場合や、盗撮を終えたばかりの場合だと、現行犯逮捕されうるということです。また、被害者が盗撮されたことに気づいていて、警察に被害届を提出した場合、後日逮捕される可能性があります。 盗撮現行犯でなくても逮捕されることも!その場に残る証拠とは?
盗撮の前科はどのタイミングでつくの?
逮捕されただけでは前科はつきません。前科とは、逮捕後起訴されて裁判で有罪判決を受けた経歴があることです。しかし、逮捕された場合『前歴』はつきます。戸籍上には載りませんが、警察内部に情報は残るため、また新たに容疑がかかったとき不利にはたらく可能性があります。 「盗撮の前科がつくなんて嫌だ!」逮捕されたら起訴されて裁判になるの?
盗撮事件で示談に応じてもらえる?
実は、盗撮事件の場合は、逮捕された容疑者と被害者が直接示談することは困難です。多くの場合、被害者は盗撮を行った相手と直接会うことを望まないからです。そのような時は、弁護士に示談を依頼することが効果的となります。 「不起訴になりたい!」盗撮で被害者と示談するためには?
刑務所から釈放されるには?
釈放されるには、主に2つ方法があります。①略式罰金を払う。これは正式裁判ではなく、書類上の裁判の判決(略式命令)にしたがって支払う罰金のことです。②保釈金を払う。保釈とは、起訴された後、弁護士が裁判官に保釈を請求し、認められた場合に裁判所に保証金を納付することで釈放される制度です。この方法が認められない場合執行猶予を期待するしかありません。 「刑務所になんて行きたくない!」釈放されるには?