盗撮で捕まった場合はどうなる?盗撮の証拠があっても捕まらない場合がある?
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
防犯カメラに写った盗撮行為をする息子の姿…
映像が証拠となって捕まるのでしょうか?
突然のことだと不安な気持ちが大きいと思います。
そこで、盗撮に関するギモンにおこたえしていきたいと思います。
盗撮のギモン
- ニュースから盗撮の傾向を調査
- 盗撮は現行犯以外では捕まらない?
- 盗撮の証拠がもとで捕まったケース
盗撮で捕まったケースをみながら、盗撮について理解を深めていきましょう。
多数の盗撮事件を対応してきた専門家をお招きしています。
解説は、アトム法律事務所の弁護士です。
目次
盗撮で捕まるケースとは?
エスカレーターでスカート内盗撮…捕まるケースを調査
駅といえば、交通手段として利用するだけでなく、複数の商業施設が入ることもあり、通勤・通学の方、買い物客や観光客でにぎわう場所です。
そのような場所、とくにエスカレーターでの盗撮が相次ぎ、犯人が捕まっているようです。
ここからは、実際にあったエスカレーターでの盗撮事件を紹介していきます。
まずはこちらの記事をごらんください。
女子高校生のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、京都府警下京署は29日、京都府迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為)の疑いで、(略)寺の職員、(略)を現行犯逮捕した。(略)
JR京都駅構内のエスカレーターで、私立高校2年の女子生徒(17)のスカート内をスマホで動画撮影したとしている。(略)
出典:産経WEST(2018.1.29 20:22)
京都駅構内のエスカレーターでの盗撮事件のニュースです。
女子高生のスカートの中をスマホで盗撮したという事件で、犯人は現行犯逮捕されたようです。
ではもう一つ、エスカレーターで起きた盗撮事件のニュースを紹介します。
大阪府岸和田市は7日、駅のエスカレーターなどで女性のスカート内を撮影したとして、府迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで書類送検された市立岸和田市民病院看護師の男性職員(25)を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。(略)
出典:産経WEST(2017.11.8 07:40)
こちらも駅のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮したという事件です。
記事の内容だけでは、逮捕の有無は不明ですが、いずれにせよ検挙され書類送検されています。
逮捕と書類送検の違いを知りたい方は『盗撮で逮捕された後の流れ|逮捕されない書類送検と逮捕された場合の違いとは』も併せてごらんください。
盗撮に該当する行為
紹介した盗撮のニュースは、いずれもエスカレーターで起きたものでした。
とはいえ、盗撮はエスカレーターだけで起こる犯罪ではありません。
そもそも、どのような行為をさして盗撮というのでしょうか。
盗撮に該当する行為
- 電車の中で女性のスカート内を盗撮した
- 盗撮目的で、病院のトイレに隠しカメラを設置した
- 学校のプールや更衣室をのぞいて盗撮した
このような盗撮行為によって捕まったというケースが考えられます。
盗撮という言葉自体はよく耳にしますが、「盗撮罪」とは聞いたことがありません。
盗撮は、何罪なのでしょうか?
実は、盗撮はさまざまな法律や条例などに違反する可能性のある行為になります。
盗撮は何罪になる?
- 撮影罪
- 各都道府県の迷惑防止条例違反
- 軽犯罪法違反
このほかにも…
- 盗撮時の状況によっては刑法の「住居侵入罪」
- 盗撮の対象が18歳未満の児童なら「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」
に該当する可能性もあります。
盗撮の定義や刑罰についてくわしくはこちら
盗撮は現行犯以外では捕まらないのか?現行犯逮捕について
盗撮逮捕のニュースから現行犯逮捕を知る
盗撮で捕まったときくと、現行犯逮捕が多いというイメージがあるようです。
盗撮は、現行犯以外では捕まらないのでしょうか。
実際にあった、盗撮で捕まったというニュースをチェックしてみましょう。
こちらをごらんください。
宇都宮東署は2日、県迷惑防止条例違反の疑いで、自称宇都宮市、大学生の男(20)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日夜、同市東簗瀬1丁目の書店内で、県央在住、女子高校生(17)のスカートの中を盗撮しようとスマートフォンを差し入れた疑い。
出典:下野新聞(2月3日 08:39)
書店内で女子高生のスカートの中を盗撮しようとして、「現行犯逮捕」されたというニュースです。
盗撮事件では、現行犯で捕まることが実際にあるようです。
そもそも現行犯逮捕とは、どのような逮捕のことなのでしょうか。
現行犯逮捕の特徴
・犯行中あるいは犯行直後であれば、逮捕状なしで逮捕できる。
・犯行を目撃したような一般市民であっても逮捕できる。
犯行中や犯行直後に捕まるのが現行犯逮捕です。
テレビドラマなどで、警察が「現行犯で逮捕する!」というシーンをみたことがあると思います。
でも、盗撮行為の瞬間を目撃されると一般人にも捕まる可能性があります。
現行犯逮捕の基本がお分かりいただけたと思います。
盗撮に関して、現行犯以外では捕まらないのでしょうか。
盗撮事件の特徴としては、盗撮をした現場で現行犯として捕まることが多い点があります。
現行犯以外での逮捕が少ないのは、そもそも盗撮の被害が発覚していない場合があることと、証拠を集めにくいことが理由です。
しかし、被害届が出されて、犯人を特定できる十分な証拠があれば、盗撮であっても後日逮捕されることもあります。
盗撮は、現行犯で捕まるケースが多いということでした。
でも、多いというだけで現行犯以外がないということではありません。
盗撮の証拠によって逮捕される可能性が十分にあります。
つぎの章では、盗撮の証拠にもとづいて捕まるケースをみていきたいと思います。
盗撮の現行犯逮捕についてくわしくはこちら
盗撮の証拠がカギとなって捕まるケースとは?後日逮捕について
小型カメラをトイレに盗撮目的で設置して後日逮捕
盗撮事件は、現行犯で捕まるケースが多いとのことでした。
ですが…
すべての盗撮事件が現行犯で捕まるということではないようです。
盗撮行為のうごかぬ証拠によって、捕まるケースもあります。
こちらの記事をごらんください。
男子中学生(13)の裸をスマートフォンで撮影したとして、警視庁東京空港署は20日までに、児童買春・ポルノ禁止法違反(盗撮製造)容疑で、(略)を逮捕した。(略)
7月に羽田空港の男性トイレで男子中学生(14)が盗撮される事件があり、防犯カメラの映像から同容疑者が浮上。
自宅のパソコンから少年の写真が約100枚見つかったという。(略)
出典:時事通信社(2017/09/20 12:41)
男子中学生を盗撮したとして捕まったというニュースです。
別件の盗撮事件の捜査で、防犯カメラの映像が証拠となり被疑者が浮上したとのことです。
所有していた盗撮データも証拠となったようです。
このように、盗撮事件は事件の後日でも捕まる可能性が十分あります。
後日逮捕
事件発生から後日、逮捕状にもとづいて逮捕される。
後日逮捕は、警察官といった捜査機関によって捕まる。
事件の発生後日に逮捕されることから、後日逮捕と呼ばれてます。
法律用語としては、「通常逮捕」といいます。
後日逮捕は、逮捕状なしでは逮捕されません。
逮捕状は、証拠にもとづいて発付されます。
さきほどのニュースでは、
- 盗撮したデータ
- 盗撮の様子が防犯カメラに写っていた
このように多面的な角度からの証拠がそろっていました。
ですが…
たとえば、防犯カメラに盗撮する様子が写っていたとして、撮影データが保存されていなかったとしたらどうでしょうか。
「盗撮のように見えるだけで、盗撮していない!」
という言い訳も通りそうなものです。
その場合、「カメラを差し向ける行為」自体が違反行為として規定されていれば、盗撮データが残っていなくても盗撮とみなされます。
たとえば、「東京都」の迷惑防止条例ではつぎのように規定されています。
二 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
出典:(東京都)公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条1項2号
盗撮目的で、カメラなどの機械を「差し向ける」行為そのものが盗撮と規定されています。
そのため、盗撮データが残っていなくても、防犯カメラの映像に残っていた映像が証拠となり、盗撮の容疑で捕まることもあり得ます。
盗撮の後日逮捕についてくわしくはこちら
ここまで、現行犯逮捕と後日逮捕について解説をしてきました。
まとめとして動画を用意しましたので、こちらもごらんください。
盗撮で捕まったケースと捕まらないケースの事件の流れ
盗撮事件では、
- 捕まった状態で盗撮事件が捜査される
- 捕まらない状態で盗撮事件が捜査される
この2通りのケースが考えられます。
それぞれのケースを次のように呼ぶことが多いです。
盗撮事件
- 捕まったケース:逮捕事件
- 捕まらないケース:在宅事件
捕まったケースは意味が分かりますが、捕まらないケースとはどういうことでしょうか?
罪に問われないということなのでしょうか?
捕まらないケースでも、盗撮行為が検挙されれば事件の捜査はすすめられます。
ここからは、それぞれのパターンで事件はどのような流れとなるのか解説していきたいと思います。
逮捕事件:盗撮で捕まったケース
まずは、盗撮で捕まった状態で事件捜査が進められるケースを解説していきたいと思います。
こちらをごらんください。
鉄格子の中に収監されていますね。
逮捕は事件捜査の一環としておこなわれます。
人の行動の自由がうばわれ、留置場などの刑事施設のなかで継続的に拘束されます。
盗撮事件の「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があるなどと裁判官に判断されると逮捕されます。
こちらの図は、逮捕後の流れになります。
逮捕に引きつづき勾留されることとなれば10日間、留置場で生活することになります。
さらに継続して盗撮事件の捜査の必要があるなど、やむを得ない事由があれば最長で10日勾留が延長されます。
勾留期間中に、盗撮事件が起訴されなければ留置場から釈放されます。
身柄が釈放されるとほとんどの場合は、不起訴処分で終了することになります。
実情として、初犯の盗撮事件では被害者と示談を締結することで不起訴処分となるケースが多いです。
とはいえ…
- 被害者の処罰感情が強くある
- 盗撮の前科がある
- 住居侵入をともなうような盗撮
- 特殊な機器をつかった盗撮
といった事情があると、示談が成立したとしても厳しい処分が予想されることもあります。
在宅事件:盗撮で捕まらないケース
つぎは、盗撮で捕まらない状態で事件捜査が進められるケースを解説していきたいと思います。
こちらをごらんください。
捕まったケースとちがって、留置場ではなく自宅にいますね。
盗撮事件が捜査機関に判明しても、捕まらないこともあります。
- 住居が決まっている
- 証拠を隠滅するおそれがない
- 逃亡のおそれがない
このような場合は、捕まらないことがあります。
とはいえ、盗撮事件の捜査はすすめられています。
捜査段階で身柄を拘束されず、在宅の状態で起訴されることを「在宅起訴」といいます。
在宅起訴の種類としては、2通りあります。
- 略式起訴
- 公判請求
略式起訴の場合、起訴されたあとも捕まる(身柄拘束される)ことはありません。
略式起訴
被疑者の異議がなければ、公判を開かずに書面上の審理のみでおこなわれる刑事裁判における手続きの一種。
100万円以下の罰金または科料を科するような場合におこなわれる。
罰金の命令が送達され、罰金を納付すると事件は終結します。
公判請求の場合も、在宅起訴であれば起訴されたあとも捕まる(身柄拘束される)ことがないのが通常です。
公判請求
公開の裁判で、証拠調べをして判決を出すことを求める刑事裁判における手続きの一種。
テレビドラマでみるような、法廷で裁判官によって有罪か無罪かの判決が言い渡されます。
盗撮で捕まったあとの流れについてくわしくは、こちらの記事をごらんください。
盗撮で捕まった場合も捕まらない場合も弁護士に相談
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最後に一言アドバイス
それでは、最後に一言アドバイスをいただきたいと思います。
盗撮で捕まったら、今すぐ弁護士に相談することがポイントです。
早期の対応は、のちの刑事処分の結果に影響をあたえます。
とくに盗撮の場合、被害者との示談が刑事手続きのうえで大きな意味をもちます。
盗撮のような刑事事件の示談交渉に長けた弁護士に依頼することが重要です。
不安の気持ちでいっぱいだと思います。
弁護士がついていれば、心強くて安心できると思います。
一人で悩まずに、頼れる弁護士を探して相談しましょう。