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盗撮のすべて|被害者に発見されたら事件?盗撮犯?逮捕される?

  • 盗撮

盗撮のすべて|被害者に発見されたら事件?盗撮犯?逮捕される?

2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。

よくある犯罪に焦点をあて、弁護士の監修のもと徹底調査したレポートを公開中の罪名ナビ。

今回は、盗撮についての調査結果をお届けします。

盗撮の意味刑期時効逮捕の流れ慰謝料、そして示談まで、徹底的に見ていきましょう。

盗撮とは、盗撮の構成要件

盗撮を処罰する根拠

盗撮は、原則として撮影罪が成立します。

撮影罪とは「性的姿態等撮影罪」の略称で、体の性的な部位や下着などを相手の同意なく撮影したり、盗撮したりする罪のことです。

撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」となります。

撮影罪が導入される前の盗撮事件に関しては、各都道府県が定めた条例に抵触する場合と、軽微な秩序違反行為を取り締まる軽犯罪法に抵触する場合があります。

例えば、大阪府の条例によれば、盗撮行為は公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(通称・迷惑行為防止条例)16条2号で「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。

一方で、軽犯罪法では第1条で盗撮行為を拘留又は科料に処すると定めています。

盗撮の構成要件とは

盗撮の構成要件とは、盗撮を処罰する各犯罪が成立するための要件のことです。

撮影罪が成立するのは、「正当な理由がないのに、ひそかに、性的姿態等を撮影すること」とされています(性的姿態撮影等処罰法2条)。性的姿態等とは、胸や臀部など性的な部位や着用中の下着、性交中の様子などを指しています。

条例違反の盗撮の構成要件は、人に恥ずかしい思いをさせたり、人を不安にさせたりする方法で、公共の場所や乗物で人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗り物における衣服等で覆われている人の身体又は下着を見、又は撮影すること(大阪府条例6条2号)とされています。

また、公衆浴場や公衆トイレなど、人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所で、その状態にある人の姿態を撮影すること(6条4号)も処罰対象の盗撮行為とされています。

盗撮(条例違反)の構成要件の判断方法は?

盗撮(条例違反)の構成要件の該当性は、

  1. ①盗撮の実行行為があるか、
  2. ②盗撮の結果があるか
  3. ③因果関係が認められるか
  4. ④盗撮の故意が認められるか、

によって判断されます。

なお、実際に因果関係が問題になることはそう多くはありません。

盗撮の構成要件のポイント

盗撮の保護法益は?

保護法益とは、法律で守られる利益のことをいいます。

盗撮の場合、公共の場所や乗り物での盗撮に限って処罰をすることとなっていますので、個人の性的自由のみならず社会的な性風俗や平穏も保護していると考えるのが有力的な考え方のようです。

盗撮の実行行為は?

盗撮の実行行為は通常衣服等で覆われている体の部分を盗み見ることまたは通常人が衣服等をつけないでいる場所をひそかにのぞき見ることです。

盗撮はその時の状況に応じて適用されるルールが異なります。

盗撮の故意は?

盗撮には、盗撮をする故意が必要です。

女性の下着を盗み見ようとカメラ付き携帯電話を女性のスカート内に差し入れることや、入浴中をのぞき見たいため浴室の窓から小型カメラを差し込む行為では、それぞれに盗撮の故意が認められるでしょう。

盗撮の罪だけでは済まない場合がある?

他人の家のトイレや浴室をひそかにのぞき見た場合には軽犯罪法に抵触することになりますが、このようなケースでは同時に住居侵入罪も成立することが多く、盗撮の罪だけでは済まないこともあります。

盗撮と刑期

盗撮と刑期の関係

撮影罪に問われる盗撮を犯した者は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科せられます。

各都道府県の条例違反になる場合、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められている自治体が多いです。

もっとも、刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、加害者側に有利な事情も考慮され執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。

執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。

これに対して、罰金とは、罰金刑のことで、盗撮で有罪判決を受けた人物から一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰をいいます。

盗撮の場合は、50万円を超える罰金を科すことができないため、悪質な盗撮事件に対しては、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになります。

盗撮の刑期に関するQA

盗撮の初犯の刑期は何年?

盗撮を犯した者は、撮影罪であれば「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科せられ、各都道府県の条例違反であれば「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。

初犯の場合の刑期も、この法律の範囲内で言い渡されることになります。

実際に言い渡される刑期は、盗撮によって生じた結果の重大性や、盗撮の行為の悪質性の程度によって異なってきます。

もっとも、初犯であれば、略式裁判による罰金刑で終わることも多く、懲役刑の判決が下されることはそう多くありません。

盗撮でも執行猶予になる?執行猶予になるためには?

盗撮で起訴されて刑事裁判になっても、執行猶予になる場合があります。

刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、執行猶予になれば、直ちには刑務所に収監されないです。

執行猶予後は、社会で日常生活を送り、再び犯罪をした場合に限り、執行猶予が取り消されて刑務所に収監されることになります。

執行猶予になるためには、盗撮事件の被害者に謝罪賠償が尽くされ、示談が成立していることが大切です。

盗撮と時効

盗撮と時効の関係

盗撮の時効は、刑事の時効と民事の時効に分けることができます。

盗撮の刑事の時効とは、いわゆる公訴時効のことです。

公訴時効とは、検察官の公訴する権限を消滅させる時効のことです。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。

また相談者によっては告訴期間のことをさして「刑事の時効」と表現される方もいます。

告訴期間とは、親告罪の告訴をできる期間のことです。刑事訴訟法235条は「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない」と定めています。

盗撮の民事の時効とは、いわゆる損害賠償請求権の消滅時効のことです。

民法724条の規定により、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅するとされています。

盗撮の時効に関するQA

盗撮の公訴時効の時効期間は何年?いつから進行する?

盗撮の公訴時効は3年です。公訴時効は犯罪行為が終わった時から進行します。

盗撮が終わった時から3年が経過した後は、検察官は撮影罪や条例違反の盗撮事件を起訴することができないということになります。

盗撮の告訴期間は何年?いつから進行する?

親告罪の告訴期間は犯人を知った日から進行し、告訴ができる期間は6か月と定められています。

しかし、盗撮は親告罪ではないので、6か月の告訴期間の規定は適用されません。

盗撮の被害者は、犯人を知った日から6か月が経過した後も、盗撮の加害者を告訴することができます

盗撮の民事の時効期間は何年?いつから進行する?

盗撮の民事の賠償請求権の時効期間は3年です。

損害賠償請求権の消滅時効は損害および加害者を知った時から進行します。

盗撮の被害者は、損害および加害者を知った時から3年以内であれば、盗撮の加害者に対して損害賠償を請求できるということになります。

これに対して、盗撮の加害者は、盗撮の被害者が損害および加害者を知ったのち3年が経過すれば、損害賠償の請求を受けないということになります。

盗撮の慰謝料の時効期間は何年?いつから進行する?

盗撮の慰謝料請求権の時効期間は3年です。

慰謝料請求権の消滅時効は、被害者が損害および加害者を知った時から進行します。

盗撮と逮捕

盗撮と逮捕の関係

現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)の違いは?

盗撮の逮捕には、大きく、①盗撮の事件当日に逮捕される現行犯逮捕と、②盗撮からしばらくした後に逮捕される後日逮捕(法律的には「通常逮捕」といいます)の二つのパターンがあります。

盗撮の現行犯逮捕とは、盗撮の当日に盗撮事件の現場で逮捕されることをいいます。盗撮事件が起こったその時その場所で被害者や目撃者によって逮捕されるのが一般的です。

現行犯逮捕された後は、盗撮の加害者はそのまま警察署に連行されることになります。

これに対して、盗撮の後日逮捕とは、盗撮の逮捕状にもとづいて逮捕されることをいいます。盗撮事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されるのが一般的です。

盗撮の逮捕状がいつ発行されるかは、盗撮事件に対する捜査の進み具合によって異なります。

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

盗撮で現行犯逮捕されるケースは?

盗撮で現行犯逮捕されるケースは、盗撮事件の被害者または周囲の目撃者が盗撮行為を現場で確認している点に特徴があります。

頻繁に盗撮事件が起こっている現場周辺では、特に捜査機関が警戒していることもあり巡回中の警察官によって現行犯逮捕されることが少なくありません。

また、盗撮の手段として悪質な小型カメラなどの盗撮機器を用いた場合も、現行犯逮捕されるケースが多いです。

具体例その1

加害者Aは被害者Bに対して、携帯電話のカメラ機能を用いて被害者のスカート内を撮影したことで現行犯逮捕された。

具体例その2

加害者Aは被害者Bに対して、被害者の住むマンションのベランダに侵入して、浴室の窓の鍵を壊して浴室内をビデオカメラで撮影したことで現行犯逮捕された。

盗撮で後日逮捕(通常逮捕)されるケースは?

盗撮で後日に通常逮捕されるケースはそう多くありません。

その中で、盗撮で後日逮捕されるケースは、盗撮の加害者が盗撮事件に関する証拠を隠滅する可能性が高い場合や逃亡する可能性が高いと判断される点に特徴があります。

警察としても、軽微な盗撮事件で、証拠隠滅の可能性が低いケースでは、わざわざ裁判所に対して逮捕状を請求しないのが一般的です。

この点、盗撮の容疑を不合理に否認している場合には、「証拠を隠滅する可能性が高い」として後日逮捕されるリスクが高まります。

具体例その1

加害者Aは被害者Bのスカート内を盗撮した。しかしその後、多数の目撃者明確な証拠があるにも関わらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。

具体例その2

加害者Aは被害者Bのスカート内を盗撮した。しかしその後、防犯カメラに犯行現場が映っているにもかかわらず、容疑を不合理に否認したため後日逮捕された。

なお、証拠隠滅が与える影響については『盗撮犯が証拠隠滅をしたら?|証拠隠滅が与える影響・証拠隠滅罪で逮捕される可能性など』で解説しているので、興味がある方はご覧ください。

盗撮の逮捕に関するQA

逮捕されない盗撮はある?

あります。すべての盗撮の加害者が逮捕されるわけではありません。

盗撮を犯してしまっても、盗撮の犯行態様が悪質でない場合は、逮捕されないケースも多いです。

もっとも、逮捕されない盗撮の場合でも、被害届が受理されれば、在宅(ざいたく)のまま捜査や取り調べが行われることになります。

在宅事件の場合は、警察署の留置場で生活する必要はありません。自宅で生活することができます。

しかし、警察から呼び出しがあった場合は、その呼び出しに応じて自宅から警察署に出向き、盗撮事件の捜査や取り調べに協力することが求められます。

盗撮の逮捕条件は?

盗撮の逮捕条件は、現行犯逮捕の場合と、後日逮捕(通常逮捕)の場合とで異なります。

現行犯逮捕の要件

盗撮の現行犯逮捕は、基本的に、盗撮事件を現に確認した者によってその現場で行われる必要があります。

現行犯逮捕できるのは、基本的にその時その場限りです。

盗撮事件の現行犯逮捕は、目撃者や被害者側の関係者、現場に駆けつけた警察官によって行われることが多いです。

後日逮捕の要件

盗撮の後日逮捕は、裁判官が発行する逮捕状にもとづいて行われる必要があります。

逮捕状の発行を請求するのは、一般的に警察官です。

逮捕状の発行は、逮捕の理由逮捕の必要性が認められる場合に限られます。

逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。

逮捕の必要性とは、「被疑者が逃亡するおそれ」や「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」があることです。

盗撮の逮捕の流れは?逮捕までの流れは?

盗撮の逮捕の流れは、大きく現行犯逮捕の場合と後日逮捕(通常逮捕)の場合に分けられます。

現行犯逮捕の流れ

盗撮の現行犯逮捕の流れは、盗撮事件の現場で盗撮事件の直後に逮捕される点に特徴があります。

盗撮事件の被害者目撃者が加害者を直接逮捕するのが、盗撮の現行犯逮捕です。

現行犯逮捕された後は、その場に通報を受けた警察官がやって来て、そのまま警察署に連行されることになります。

①盗撮事件の発生
  ↓
②被害者や第三者による現行犯逮捕
  ↓
③警察署への連行

後日逮捕の流れ

盗撮の後日逮捕の流れは、逮捕状をもった警察官に逮捕される点に特徴があります。

盗撮事件の加害者を後日逮捕するためには、裁判所が発行する逮捕状にもとづく必要があります。

実際の後日逮捕の現場では、警察官が盗撮事件の加害者に逮捕状を示して、逮捕が執行されることになります。

①盗撮事件の発生
  ↓
②警察官による逮捕状の請求
  ↓
③裁判官による逮捕状の発行
  ↓
④警察官による後日逮捕
  ↓
⑤警察署への連行

盗撮から後日逮捕されるまでの期間は?

後日逮捕されるまでの期間に、法律上の決まりはありません。

盗撮を犯してから後日逮捕されるまでの期間は、捜査の進み具合によるところが多いです。

単純な盗撮事件の場合

単純な盗撮事件で捜査がスムーズに進む場合は、盗撮事件から一か月以内に後日逮捕されるケースが多いです。

複雑な盗撮事件の場合

複雑な盗撮事件で捜査が困難な場合は、後日逮捕までの期間が長引く傾向にあります。

特に、盗撮事件の犯行現場が複数にわたるなどして捜査が難航しているケースでは、すぐに逮捕状を請求することができないので、後日逮捕までの期間が長引くことがあります。

盗撮で逮捕された後の拘留期間は?

逮捕の期間

盗撮の逮捕の期間は、72時間です。

盗撮で逮捕されてから48時間以内に検察官に事件が送致され、24時間以内に勾留が請求されなければ、基本的に釈放されます。

盗撮での勾留が認められない限り、留置場で2,3泊して釈放されるというイメージになります。

拘留(勾留)の期間

盗撮での勾留の期間は、最初は10日間、さらに10日間延長される可能性があり、盗撮事件が条例違反として起訴されればさらに長引くことになります。

一度勾留が決定されれば、弁護士が介入し途中で示談が成立するなどの特段の事情がない限り、最低でも10日間は警察署の留置場で生活しなければなりません。

その後、さらに10日間ほど勾留が延長される可能性があります。

さらに、盗撮で起訴(公判請求)された場合は、その後に保釈が認められるか執行猶予判決が言い渡されるまで、ずっと留置場または拘置所で生活しなければなりません。

もし早期の釈放が必要な場合は、弁護士に積極的に動いてもらった方がよいでしょう。

弁護士が示談を成立させたり、保釈を請求することで、比較的早く留置場から釈放されるケースも多いからです。

盗撮と懲役

盗撮と懲役の関係

条例違反の盗撮には、法定刑として罰金刑懲役刑が定められています。

盗撮が初犯の場合は、略式裁判で罰金刑になる可能性があります。

これに対して、繰り返し盗撮を行っているような常習的な盗撮行為では、正式裁判で懲役刑が下される可能性が高いです。

そもそも懲役刑とは?

懲役刑とは、刑務所で刑務作業を負う刑罰をいいます。

盗撮で懲役実刑となった場合は、刑務所に収監されて刑務作業を行わなければなりません。

これに対して、盗撮で懲役刑になっても、判決で執行猶予がついた場合は、直ちには刑務所に収監されないので、刑務作業を行う必要もありません。

盗撮の懲役に関するQA

盗撮の懲役の相場は?

盗撮(条例違反)の懲役刑の相場は、事件によってさまざまです。

盗撮(条例違反)の懲役の法定刑は、懲役6月以下と定められているため、盗撮の懲役刑が盗撮事件単体で懲役6月を超えることないと言えます。

盗撮の懲役の年数は?懲役は何年?

盗撮の懲役の年数は、各都道府県が制定する条例によって6月以下と定められていることが多いです。

盗撮で懲役実刑になるとしても、盗撮単独であれば、刑務所に収監されるのは6月以下です。

初犯の盗撮でも懲役実刑になる?

初犯で懲役実刑になる可能性はそう高くはありません。

もっとも、盗撮のが複数回に及ぶ常習的な場合や、特殊機器を使うなど行為が悪質な場合は、初犯でも懲役刑になる可能性があります。

特に、同じ被害者に対する複数回の盗撮により、被害者が甚大な精神的被害を被っているなどの場合、盗撮の加害者と被害者の間で示談が成立していないときには、初犯でも懲役実刑になる可能性がより高まります。

懲役実刑を避ける方法は?

盗撮事件は被害者がいる刑事事件なので、被害者と示談を成立させることがもっとも大切です。

盗撮の被害者と示談が成立し、相手から許してもらうことができれば、初犯である点が考慮され、懲役実刑になる可能性が低くなります。

初犯の盗撮だと執行猶予になる?

初犯の盗撮だからといって、起訴されてしまった場合、必ずしも執行猶予になるとは限りません

盗撮の初犯であることは、刑事裁判において有利に考慮されますが、盗撮事件の被害が甚大または行為が悪質な場合は、初犯でも懲役実刑になる可能性があります、

盗撮で刑事裁判になった場合、執行猶予の可能性を高めたければ、被害者と示談を成立させることが大切です。

盗撮の懲役と罰金の量刑判断は?

盗撮の懲役と罰金の量刑判断では、①盗撮事件の結果の重大性、②盗撮事件の行為の悪質性、③盗撮事件の加害者と被害者との間で示談が成立しているか、などが考慮されます。

結果の重大性

盗撮事件の結果が重大な場合は、罰金ではなく懲役になる可能性が高まります。

行為の悪質性

盗撮事件の行為が悪質な場合は、罰金ではなく懲役になる可能性が高まります。

例えば、特殊機器などの盗撮専用機材を用いた盗撮事件は、行為が悪質と判断されることになります。

示談の有無

盗撮事件の示談が不成立な場合は、罰金ではなく懲役になる可能性が高まります。

示談が成立しているか否かは、被害者が存在する盗撮事件の刑事裁判としては、重要な量刑事情となるからです。

略式裁判と正式裁判の違い

盗撮で罰金刑が言い渡される場合は、略式裁判で法廷には出ずに終わるケースが多いです。

これに対して、盗撮で懲役刑が言い渡される場合は、必ず裁判所の法廷で正式裁判が行われることになります。

盗撮と慰謝料

盗撮の慰謝料とは

盗撮の慰謝料とは、盗撮によって被害者に与えた被害者の精神的損害に対する賠償金のことをいいます。

盗撮の慰謝料の金額は、盗撮によって引き起こされた精神的損害の程度によって異なってきます。

基本的には、損害が甚大であるほど慰謝料の金額が高額になります。

盗撮の慰謝料に関するQA

盗撮の慰謝料の相場は?

盗撮の慰謝料の相場は、通常の事件の場合30万円程度が目安となってきます。

もっとも、悪質なケースや常習的に盗撮が行われていた場合には、それ以上の額となることもあります。

事例その1

エスカレーターでカメラ付き携帯電話を用いて、前に立つ被害者のスカート内を写真撮影しようと携帯電話をスカートに差し入れようとしたが、撮影には成功しなかった場合、被害者は慰謝料として20万円程度を受け取れる可能性があります。

事例その2

ピンホールカメラを靴先に装着し、被害者の下着を盗撮した場合、被害者は慰謝料として30万円程度を受け取れる可能性があります。

盗撮の慰謝料請求権の時効は?

盗撮の慰謝料請求権の時効は、盗撮の損害および盗撮の加害者を知った時から3年です。

慰謝料請求権は、3年間行使しない時は、時効によって消滅するので注意が必要です。

盗撮の慰謝料請求権の時効の進行は、請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認によって中断します。

盗撮の慰謝料と示談の関係は?

慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金のことをいいます。

実際のケースでは、慰謝料を支払うことで示談が成立するケースが多いです。

しかし、慰謝料の支払いはただの義務の履行なので、慰謝料を支払ったからといって必ず示談が成立するわけではない点を理解する必要があります。

盗撮の被害者は、盗撮の加害者から慰謝料を受け取る権利を有します。

慰謝料の受け取りは権利の行使なので、慰謝料を受け取ったからといって必ず示談を締結しなければならないというわけではないのです。

盗撮慰謝料と未成年者の関係は?

未成年者であっても、盗撮の慰謝料の支払い義務を負うというのが、法律の判断です。

慰謝料の支払い義務を負わない若年者は、民法上、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者に限られます。

一般論としては、12歳から13歳程度と言われています。

したがって、未成年者であっても、原則としては、盗撮の慰謝料を支払う義務を負うことになります。

未成年者に弁済の資力がない場合でも、慰謝料の支払い義務自体は負うことになるのです。

盗撮と示談

盗撮の示談とは

盗撮の示談とは、盗撮によって生じた賠償金をめぐるトラブルを、盗撮の加害者と被害者の合意をもって解決することをいいます。

示談書の作成は、示談の成立の必要条件ではありません。

しかし、その後のトラブル(示談が成立した、しないの言い合い)を防ぐためにも、示談書を作成するが大切です。

示談成立の効果は?

盗撮の示談が成立したということは、盗撮によって生じた賠償金のトラブルが当事者間の合意によって解決したということを意味します。

示談が成立すれば、盗撮の加害者は、被害者に対して、示談金を支払い、その他の示談の条件を履行する義務を負います

盗撮の被害者は、加害者が示談の条件を履行しない場合は、成立した示談書を証拠として、その後の民事手続きを有利に進めることができます。

加害者側の示談のメリットは?

盗撮の示談が成立すれば、盗撮の加害者は、その後の刑事手続きにおいて、示談が成立しなかった場合と比べて有利に取り扱われます。

具体的には、刑事裁判にならない可能性や、不起訴で前科がつかない可能性が高まります。

示談が成立したことで、初犯の盗撮事件であれば不起訴になることも多く、盗撮の前科がつかないメリットは大きいです。

被害者側の示談のメリットは?

盗撮の示談が成立すれば、盗撮の被害者は、民事裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を受け取ることができます。

もっとも、示談の成立と同時に賠償金を受け取らなければ、その後に加害者に逃げられてしまうリスクもあるため、注意が必要です。

加害者に逃げられてしまった場合は、賠償金を受け取るためには、示談書を証拠として民事裁判などの手続きを取る必要が出てきます。

盗撮の示談に関するQA

盗撮の示談金の相場は?初犯の場合の相場は?

盗撮の示談金は、イコール慰謝料だと考えることができます。そのため示談金の相場は、ケースによってさまざまです。

初犯の盗撮だからといって示談金が安くなることはあまりなく、10万〜30万円程度の示談金でまとまるケースが多いです。

盗撮の被害者の側としても、一定の慰謝料を貰えれば、誠意が伝わったとして満足するケースが多いからです。

これに対して、もっと悪質なケースの場合には示談金が30万円を超えることも珍しくありません。

刑事事件としての盗撮の場合は、加害者が刑務所に入ってしまえば、いくら民事裁判で損害賠償が認められたとしても、実際に賠償金を回収するのは困難です。

賠償金の回収を重視する被害者の方は、民事裁判で認定される可能性がある賠償金の金額よりも安い金額で示談してしまうのも一つです。

示談であれば、「示談金を実際に受け取ってから示談書を作成する」という前払いの方式を取ることが可能で、お金が回収できないリスクを回避することができるからです。

示談拒否で、盗撮の示談に応じない場合は?

盗撮の加害者が示談に応じない場合、被害者としては、自らが盗撮で被った損害を取り戻すためには、自らで法的な手段を取る必要があります。

まずは、盗撮の加害者に対して、内容証明郵便で盗撮にもとづく損害賠償を請求してみるなど、何らかのアクションを起こしてみましょう。

もし加害者がそれでも示談を拒否する場合は、盗撮で被害を被ったことを理由とした民事裁判民事調停を起こすことも可能です。

ただし、たとえ盗撮で被害を被った場合であっても、民事の手続きで弁護士を立てる場合は、自らで弁護士費用の大半を負担する必要が出てきます。

これに対して、盗撮の被害者が示談に応じない場合、加害者としては、刑事手続において刑罰が重たくなるリスクを負います。

具体的には、示談が成立すれば不起訴になったのに示談が不成立だったから罰金や刑事裁判になるリスクがあります。

また、示談が成立すれば執行猶予になったのに示談が不成立だったから実刑になるリスクを負うことになります。

また、盗撮の被害者が示談に応じない場合、加害者は、刑事手続が終わった後も、盗撮により損害を与えたことを理由とする民事の損害賠償責任を負い続けることになります。

盗撮で示談しない場合は?

盗撮の示談をしない場合、盗撮の加害者は、その後の刑事手続において、示談が成立した場合と比べて重たい処罰を受けるリスクを負います。

また、盗撮の示談をせずに刑事処罰を受けたとしても、盗撮の加害者は、盗撮によって相手に与えた損害につき、引き続き損害賠償責任を負い続けることになります。

これに対して、盗撮の被害者としては、盗撮の示談をしないで刑事手続きが終わった場合でも、引き続き、加害者に対して損害賠償を請求し続けることができます。

示談金の金額や示談の条件に納得がいかない場合は、盗撮によって被った損害につき、民事裁判や民事調停などの法的な手続きをとって、盗撮の加害者に賠償を求めるのも一つです。

ただし、盗撮の加害者が刑務所に入ってしまった場合は、賠償金の回収が困難なので注意が必要です。

盗撮の示談書の書き方は?

盗撮の示談書の書き方は、通常の示談書の書き方と同様です。

示談書の冒頭で、盗撮事件が起こった日時・場所、盗撮の加害者と被害者の氏名などを記載して、事件の内容を特定することになります。

また、盗撮の示談書には、示談金の金額やその支払い方法を記載します。

示談書の作成は、加害者と被害者の双方がサインをすることで完了します。

示談金の一括払いが難しい場合は、示談金の分割払いの合意を結ぶことも可能です。

盗撮の示談書に、「被害者は加害者のことを許す」旨の宥恕条項(ゆうじょじょうこう)を設けた場合は、その後の刑事手続きで、加害者に有利に考慮されます。

盗撮の示談の流れや示談の方法は?

盗撮の示談の流れは、通常の事件の示談の流れと同様です。

盗撮の加害者が被害者の連絡先を知っている場合は、当事者同士で示談の話し合いを進めることができます。

示談成立の流れとしては、

①話し合い
  ↓
②示談条件の確定
  ↓
③示談書の作成
  ↓
④示談金の支払い
  ↓
⑤示談書にサイン

という流れを経ることが多いです。

これに対して、盗撮の加害者が被害者の連絡先を知らない場合は、盗撮の示談を進めるためには、弁護士を選任する必要があります。

弁護士を選任すれば、警察官や検察官から被害者の連絡先を聞くことができるケースが多いからです。

弁護士を選任した後の示談の流れとしては、弁護士が被害者と話し合って、示談が成立することになります。

盗撮は示談すれば不起訴になる?示談しても起訴される?

盗撮は親告罪ではないので、盗撮の示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではないという点をまず理解する必要があります。

もっとも、盗撮の被害がそれほど重たくない場合は、盗撮の被害者と示談が成立すれば、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります

被害者と示談が成立すれば、加害者を起訴する必要性が低くなるからです。

これに対して、示談しても起訴されるケースというは、盗撮の被害が重たい場合や、特殊機器などを使っていて行為が悪質な場合などです。

盗撮の示談が不成立だった場合はどうなる?

盗撮の示談が不成立の場合は、盗撮の加害者は、その後の刑事手続において、重たい処罰に課されるリスクを負います。

示談が不成立だった事実は、示談が成立している場合と比べて、盗撮の加害者側に不利な事情として取り扱われるからです。

なお、示談が不成立だったとしても、盗撮によって負わせた損害の賠償を完了している場合は、その限りにおいて、盗撮の加害者側に有利な事情として取り扱われます。

これに対して、盗撮の被害者は、盗撮の示談が不成立である以上、刑事手続きが終わった後も引き続き、加害者側に対して、盗撮によって負った損害の賠償を請求し続けることができます。

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掲載されているのは、当サイトの編集部が厳選した頼りになる弁護士たちです。

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まとめ

いかがでしたか?

ここでは盗撮事件について、弁護士の監修のもと、キニナル全情報を徹底調査してきました。

本記事以外で、盗撮に関して知っておきたい情報は『盗撮がバレた時の正しい対処法|示談で刑事処分を避け平穏な解決を』にまとめているので、興味がある方はご覧ください!

当サイト「刑事事件弁護士カタログ」には、他にもお役立ちコンテンツが満載です。

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盗撮における逮捕についてのQ&A

盗撮で処罰される条件とは?

盗撮は、①盗撮の実行行為があるか、②盗撮の結果があるか③因果関係が認められるか④盗撮の故意が認められるかによって判断されます。実際に因果関係が問題になることは多くありませんが、盗撮はその時の状況に応じて適用されるルールが異なります。また、他人の家のトイレや浴室をのぞき見た場合、住居侵入罪も成立することが多く、盗撮だけでは済まないこともあります。 盗撮で処罰される条件

盗撮をした場合はどんな処罰になるの?

盗撮をした場合、多くの各都道府県の条例では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と処罰が定められています。初犯の場合でも、この処分になることもあります。また、盗撮で刑事裁判となっても、被害者と示談が成立していれば、執行猶予になるケースもあります。再び犯罪をしない場合に限り、執行猶予後は社会生活を送ることができます。 盗撮をした場合の刑期

盗撮に時効はあるの?

盗撮の時効は、刑事の時効(公訴時効)と民事の時効(損害賠償請求権の消滅時効)に分けられています。公訴時効が成立すれば、検察官は事件を起訴することができなくなります。損害賠償請求権の消滅時効では、「損害および加害者を知った時」から3年間権利を行使しないときには、その権利は消滅する、と民法724条の規定で定められています。 盗撮での時効の条件

盗撮による逮捕のケースは?

盗撮の逮捕には、①事件当日に逮捕される現行犯逮捕②事件後しばらく経ってから逮捕される後日逮捕(通常逮捕)の二つのパターンがあります。現行犯逮捕では、加害者は犯行後そのまま警察署に連行されます。後日逮捕では、盗撮の逮捕状にもとづいて逮捕され、盗撮事件が起こった翌日以降に逮捕状をもった警察官によって逮捕されます。 盗撮における逮捕のケース

盗撮による懲役の期間は?

盗撮(条例違反)の懲役の法定刑は、懲役6月以下と定められています。懲役刑が盗撮のみだった場合、懲役6月を超えることないでしょう。また、初犯で懲役刑になる可能性はそう高くはありませんが、常習的な場合や、特殊機器を使っていたなどの悪質なケースである場合は、初犯でも懲役刑になる可能性があります。もし、示談が不成立の場合は、罰金ではなく懲役刑になる可能性が高まります。 盗撮における懲役期間について

盗撮における慰謝料の相場と時効は?

盗撮の慰謝料とは、盗撮によって被害者に精神的損害を与えたことに対する賠償金のことです。盗撮の慰謝料の相場は、30万円程度が目安となってきます。損害が大きいほど、慰謝料の金額も高額になります。盗撮での慰謝料請求権の時効は、盗撮の損害・盗撮の加害者を知った時から3年であり、それを過ぎると請求権は消滅します。 盗撮に対する慰謝料請求について

盗撮における示談の効果とは?

示談が成立すれば、加害者は、被害者に対して示談金を払い、その他の示談の条件を履行する義務があります。もし、加害者が示談の条件を履行しない場合は、被害者は示談書を証拠として、その後の手続きを有利に進められます。示談が成立すれば、加害者はその後の刑事手続きにおいて、有利に取り扱われます。 盗撮における示談の効果