【事件別】刑事事件の示談の意味を大特集。詐欺・傷害・窃盗・恐喝・強姦の示談とは
刑事事件の中で、「示談」という言葉をよく耳にします。
今回は、「示談とは何か」をテーマに専門家の先生に根掘り葉掘り聞いていきたいと思います!
では先生、よろしくお願いします。
目次
刑事事件の示談の意味
刑事事件の示談ってなに?
先生、そもそも、刑事事件の「示談」って、一体何なんでしょうか?
基本的なところから教えてください!
刑事事件の示談とは、当事者間の合意で刑事事件の賠償問題を解決することをいいます。
世の中にはさまざまな刑事トラブルがありますが、警察や裁判所が介入しなくても、当事者間の話し合いで解決する刑事事件も多いです。
このように、公的な機関の介入を受けずに、当事者同士が話し合って刑事事件の賠償問題を解決することを、刑事事件の示談といいます。
なるほど、そうすると、当事者が話し合いで納得して解決できるから、示談はお互いにとって望ましいゴールだと言えますね。
反対に、お互いの納得が得られなければ示談が決裂してしまうっていうことでもあるので、すごくデリケートな問題ですよね。
示談と和解の違いは?
先生、和解っていう言葉も聞いたことがあるんですが、示談とどう違うんでしょうか?
それとも、同じですか?
示談とは、一般的に、裁判などの公的な手続きを使わずに、当事者間の話し合いでトラブルを解決することをいいます。
これに対して、和解とは、一般的に、裁判などの公的な手続きを使って、その過程で当事者間が合意し、トラブルを解決することをいいます。
ただ、文脈によっては、示談と和解は同じ意味で用いられることもあります。
そうなんですね。なるほど。
和解は民事裁判とかに出てくる言葉っていうイメージですね。
色々ある刑事事件の示談の種類
刑事事件一般の示談とは?
刑事事件の中で、示談がどんな位置づけなのか、もう少しくわしく教えてください。
刑事処分とは何か関係あるんでしょうか?
刑事事件の示談とは、警察が介入した刑事事件の賠償問題を、当事者間の合意で解決することをいいます。
警察が介入した後も、事件の賠償問題は当事者間で解決可能です。
もっとも、事件に対する刑事処分は、示談が成立したからといって必ずなくなるわけではありません。
刑事事件においては、当事者間で示談が成立しても、刑事処罰が科せられるケースがあります。
賠償の問題(民事の問題)と刑罰の問題(刑事の問題)は別の問題だからです。
少し難しい話になってきましたが…
ようは、ひとつの事件には、民事の問題と刑事の問題、ふたつの側面があるっていうことですね。
詐欺事件の示談とは?
では、もっと具体的な事件にそって「示談」を見ていきたいと思います。
最初は詐欺事件です。
先生、詐欺事件の示談というのは、どんなものなんですか?
詐欺の示談とは、詐欺事件の賠償問題を当事者間の合意で解決することをいいます。
詐欺事件では、詐欺の被害者は詐欺の加害者に一定の金額を支払っていることが多いです。詐欺の示談では、この被害金を全額弁償して、その上で示談が成立するケースが多いです。
振り込め詐欺などの場合は、詐欺未遂でお金の授受がなかったケースでも、加害者から被害者に一定の示談金が支払われることはよくあります。
被害者としては、加害者側の弁護士から示談の申し入れがあった場合は、その機会を利用して、十分な示談金を得たいところです。
この機会を逃すと、加害者から賠償金を回収するためには、民事裁判を起こすなど面倒な手続きを取らないといけないからです。
被害者側からしても、早く被害回復ができる点で、示談の意味合いは大きいですね。
民事裁判をするより手間もかかりませんし、メリット大きいですね。
傷害事件の示談とは?
次に、傷害事件について教えてください。
傷害事件の示談はどのようなものなんでしょうか?
傷害の示談とは、傷害事件の賠償問題を当事者間の合意で解決することをいいます。
傷害事件で被ったけがについて、通院費や治療費などの損害実費を弁済し、精神的損害についても慰謝料を支払うことで示談が成立するケースが多いです。
傷害事件の示談金は、入院期間や休業日数、事故時の年齢や事故前の年収によって金額が異なってきます。
当然ですが、軽微なけがほど示談金が安く、重大なけがほど示談金が高くなる傾向にあります。
交通事故の示談と傷害事件の示談は、相手方にけがを負わせたという点で似ていますが、保険の有無が大きくことなります。
傷害事件の被害者は、保険会社ではなく加害者本人から賠償金を回収する必要があるので、示談の機会を有効に利用することが大切です。
※被害者であっても、民事裁判を起こす場合は、自らの費用と労力を使って裁判を起こす必要があります。加害者から示談の申し入れがあった場合は、示談金の金額にもよりますが、その機会を上手に利用して話し合いをまとめたいところです。
詐欺事件と比べると、違う点、共通していえること、それぞれあるってことですね。
事件が違うと示談の中身も少し変わるのかも。
窃盗事件の示談とは?
窃盗事件はどうでしょう?
これもまた詐欺事件や傷害事件と少し毛並みが違いますね。
窃盗の示談とは、窃盗事件の賠償問題を当事者間の合意で解決することをいいます。
万引きなどの比較的軽微なケースだと、品物を返却するだけで示談が成立するケースもあります。特に、個人商店の場合はその傾向が顕著です。
もっとも、大型の家電量販店やディスカウントショップでは、会社の方針として一切の示談を拒否しているケースも多いです。
フランチャイズ店であれば、店長やオーナーの意向次第で示談できるケースもありますが、会社として示談を拒否しているところでは難しいです。
会社が被害を受けた側だと、示談に応じてもらえないこともあるんですね。
話し合いができないとなると、円満解決は難しくなるなぁ。
恐喝事件の示談とは?
次に、恐喝事件について考えてみたいと思います。
先生、解説をお願いします!
恐喝の示談とは、恐喝事件の賠償問題を当事者間の合意で解決することをいいます。
恐喝事件の加害者が、恐喝で奪った金銭を全額弁償し、その上でプラスαの示談金を支払って解決するケースが多いです。
恐喝事件の場合、被害者の側としても加害者の逆恨みを避けたいので、比較的スムーズに示談が成立するケースが多いです。
※加害者の側が被害者に対して「示談しないと✕✕するぞ!」と脅した場合は、さらに恐喝罪が成立するリスクがあります。そのため、恐喝の場合は、事件の性質上、加害者自身で示談をするよりも、弁護士に依頼した方が無難です。
このような事件で示談がまとまるケースは、やっぱり弁護士が間に入っている場合かなぁ。
なかなか個人間で恐喝事件の示談をまとめるのは難しそう。
強姦事件の示談とは?
次に性犯罪。強姦事件について考えてみたいと思います。
強姦事件でも示談はあり得るの?
強姦の示談とは、強姦事件の賠償問題を当事者間の合意で解決することをいいます。
強姦事件の加害者が強姦事件の被害者に一定の示談金を支払うことで、示談が成立するケースが多いです。
示談金の金額は、強姦が既遂だったか、未遂だったかで大きく異なります。
既遂の場合は、被害者側の怒りや悲しみも大きいので、ある程度しっかりとした示談金を支払わなければ解決しないケースが多いです。
また、そもそも示談の話し合い自体を拒否されることも多いです。
これに対して、未遂の場合は、既遂の場合と比べると、示談が成立しやすいといえます。
強姦事件では、示談が成立して告訴が取り消されれば、不起訴になる可能性が高まり、不起訴になると前科がつかない点に特徴があります。
※告訴の取り消しは、事件が起訴される前しかできません。事件が起訴された後は、もう告訴を取り消すことはできないため、注意が必要です。
事件の内容によっては、示談金にかなり幅がでてきそうですね。
それに、告訴が取り消されれば、裁判を回避することができるっていうのは、大きいことですね。
刑事事件の示談に関するQA
刑事事件で示談をすると前科がつかない?
ところで、示談が成立すると、加害者にとって前科がつかないっていうのはホントですか?
これは関心の集まるところですよね。
示談が成立した場合に前科がつかないケースと前科がつくケースの両方があります。
示談が成立したからといって、必ずしも前科がつかないわけではないので、その点は注意が必要です。
それでは、いろいろなケースを見ていきましょう。
そもそも前科とは…
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことをいいます。
そのため、前科がつかないということは、別の言い方をすれば、刑事裁判で有罪判決を受けないということを意味します。
罰金でも前科になる一方で、不起訴だと前科にならないという点がポイントです。
前科がつかないケースは?
①警察介入前
警察介入前に示談が成立し、警察に被害届が提出されなければ、トラブルが刑事事件化することはありません。
そのため、警察介入前に示談が成立し、被害届の不提出が確定すれば、前科がつかないことになります。
被害届が提出されず、警察が介入しない以上は、刑事裁判を受けることもないからです。
たとえ事件それ自体が重大な場合でも、警察が介入せず刑事裁判が開かれない以上、前科がつくことはありません。
②親告罪
警察に被害届が出されたケースでも、名誉毀損罪や器物損壊罪などの親告罪では、捜査期間中に示談が成立したら不起訴になるケースがほとんどです。
示談が成立し、告訴が取り消されたら、検察官は事件を起訴することができず、刑事裁判を受けることもないからです。
この点、告訴の取り消しが可能なのは、事件が起訴される前までという点に注意する必要があります。
一度事件が起訴され、刑事裁判が開かれることが決まった後は、仮に示談が成立したとしても有罪判決を受けることになるので、前科がつくことになります。
③軽微な事件
軽微な事件の場合は、示談が成立したら罰金ではなく不起訴になるケースが多いです。
不起訴になれば、刑事裁判になることはないので、前科がつくこともないです。
これに対して、罰金の場合は、裁判自体は略式裁判のケースがほとんどですが、有罪判決を受けることになるので前科がつくことになります。
痴漢や盗撮、軽い傷害事件の場合は、初犯であれば、示談が成立して不起訴になるケースが多いです。
前科がつくケースは?
これに対して、警察介入後の親告罪でない、被害重大な事件の場合は、示談が成立しても前科がつくケースが多いです。
例えば、殺人罪や強盗罪などの被害が重大な事件の場合は、仮に相手方と示談が成立しても、捜査の結果十分な証拠が集まれば、事件は起訴され刑事裁判を受けることになります。
示談ができたからといって、絶対不起訴になるとは言えないんですね。
ここは注意しておかないと!
刑事事件で決裂しない示談をするためには?
では先生、ズバリ、示談のポイントって、なんでしょうか?
初めて示談をする人にもわかりやすいように教えてください。
示談が成立するためには、両当事者が納得していることが大切です。
決裂しない示談をするためには、何度も話し合いの機会をもって、示談書の作成までこぎつけることが大切です。
示談書が作成されていない段階であれば、口約束で示談が成立していたとしても、相手の気まぐれで紛争が蒸し返されるリスクがあります。
これに対して、示談書の作成が完了していれば、その後に相手の気が変わっても、紛争の蒸し返しは不可能なので安心です。
しっかりと話し合いの機会をもって、示談書の完成までこぎつけましょう。
なるほど!
示談書を作成するところまで、しっかりしておくことが大切なんですね。
刑事事件の示談を成立させるための注意点とは?
示談を成立させるために気を付けなければいけないことって、何かありますか?
初心者だと全然ピンとこないんですが。
示談は口約束でも成立します。
ただ、示談の成立を客観的にも確定させるためには、示談書を作成することが大切になってきます。
口約束での示談成立では、後日、示談の条件が曖昧になったり、示談の内容に思い違いが生じたり、トラブルが再発するリスクがあります。
これに対して、示談書の作成が完了した示談成立では、示談書の文言を見れば、示談の条件や内容を用意に確認することができ、トラブルは再発しないので安心です。
口約束だけでなく、示談書を作成する点に注意して、示談の話し合いを進めてください。
口頭でも示談は成立するんですね。
でも、書面をしっかり作っておいたほうが安心ってわけですね。
なお、示談金の相場はこちらからかんたんに確認できるようにしておきました!
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ここまで、刑事事件の示談について、弁護士の解説と共にお送りしました。
これで一般的なことはカバーできました。
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では先生、最後にひとことメッセージをお願いします。
刑事事件の示談でお困りの皆さん。
今後のことを考えると、不安な気持ちになるでしょう。
しかし、刑事事件の解決はスピードとタイミングが勝負です。
落ち込んでいる暇はありません。
早い段階でご相談いただくことで、弁護士としてもやれることが増えます。
まずはとにかく、弁護士に積極的にご相談ください。
まとめ
総まとめ
示談成立 | 示談不成立 | |
民事の効果 | 賠償問題が解決する | 賠償問題が解決しない |
刑事の効果 | 前科つかない可能性が高まる | 前科つく可能性が高まる |
今回は専門家の先生に示談の「いろは」を教えてもらいました。
いかがでしたか?刑事事件の示談について、編集部の徹底調査の結果をお届けしてまいりました。
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