万引きは犯罪!警察に捕まらないと犯罪歴はつかない?逮捕後どうなる?
万引きは「犯罪」だという意識をお持ちの方は、世の中にどのくらいいらっしゃるでしょうか。
- 万引きは窃盗罪?
- 万引きで逮捕されるケースと逮捕されないケースとは?
- 未成年の犯罪歴は消える?
このような点をおさえて、万引きは犯罪であるということをしっかり理解できる記事をお届けしたいと思います。
法律面から解説していただくのは、アトム法律事務所の弁護士です。
目次
万引きは「窃盗罪」という犯罪!刑法から学ぶ万引きの意味
「万引きは犯罪である」
このような認識が薄れている、あるいはこのような認識さえないという方もいらっしゃるかもしれません。
今一度、万引きは犯罪であるということを理解するために、解説をすすめていきたいと思います。
万引きと窃盗の違いをおさえて犯罪の意味を知る
万引きは、窃盗罪という犯罪です。
「窃盗」が具体的にどう犯罪なのか、なんとなくしか分からないという方も多いのではないでしょうか。
万引きが窃盗罪だといわれても、まずそれぞれの言葉の意味が分かっていないと理解しきれません。
法律について勉強しないと、なかなか知る機会は少ないと思います。
万引きと窃盗罪の違いをおさえて、犯罪の意味を知っていきたいと思います。
まず、万引きというとどのような行為を思いつくでしょうか。
・コンビニでお菓子を万引きした ・本屋で漫画を万引きした ・電気屋でゲームを万引きした |
「商品の代金を払わずに、お店から持ち去る」ことが万引きと呼ばれています。
会社の同僚の財布からお金を抜き取るのは「泥棒」などといわれたりすると思います。
盗む対象が、お店からでも人からでも「盗む」という行為には変わりありません。
窃盗罪とは
刑法で規定される、他人の財物を盗む犯罪
万引きは、窃盗罪の一部としてふくまれます。
法律的には、モノを盗むことを「窃取」するといいます。
さらに厳密に解説するなら、
他人の占有する財物をその人の同意なしに、自己または第三者の占有下に移すこと
となります。
他人のモノを盗む犯罪は、基本的に窃盗罪に該当することになります。
万引きの刑罰…被害額で刑期が変わる?
万引きの基本的な意味が理解できたところで、つぎに気になるのは刑期や刑罰についてだと思います。
万引きというと被害額が数百円のものから数万円のものまで、事件によってさまざまだと思います。
数百円の被害でもちりと積もれば大金になります。
お店側の被害を考えると、たとえ数百円であっても窃盗事件の被害には変わりません。
被害額は、刑期や刑罰に影響するのでしょうか。
窃盗罪という犯罪について規定する、条文を確認してみましょう。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:刑法第235条
「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」とあります。
これは法定刑といって、犯罪それぞれに対する刑罰の種類や程度が厳格に決められています。
この法定刑のなかから、裁判官は刑を決めることになります。
「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」をもう少しくわしく解説したいと思います。
懲役
- 最短:1ヶ月
- 最長:10年
罰金
- 最低:1万円
- 最高:50万円
このような範囲で、窃盗罪は罰せられることになります。
窃盗罪の法定刑は分かりましたが…
何円のものを盗んだからどのくらいの刑罰になるとは、とくに規定されているわけではないようです。
万引き事件は被害額だけで刑罰や刑期が決められるわけではありません。
万引きするにいたった原因や状況などを総合して、判断されることになります。
- 初犯である
- 素直に犯罪をみとめて反省している
- 万引きした商品をお店に返している
このような場合は、被害額があまりにも高額でなければ、そもそも起訴されず不起訴で事件が終了することもあります。
万引きの被害者の処罰感情も、刑事処分において重要視されるポイントです。
大手コンビニやスーパーは万引きの被害が多いことから、厳しい処分をのぞまれる場合があるようです。
事件の内容によって、罰金か懲役の可能性があります。
万引き・窃盗罪についてくわしくはこちら
万引きで逮捕されるケースと逮捕されないケースのその後
万引き(窃盗罪)の意味や刑期につづいて解説するのは、逮捕についてです。
万引きをはじめとした犯罪は、かならず逮捕されるイメージがつきものだと思います。
犯罪を犯す=逮捕される
このようなイメージが浸透しているかもしれません。
【参考】逮捕の理由と必要性は「逮捕の要件」!どんな理由があると逮捕される?
万引きといった刑事事件の捜査は大きく、逮捕されるケースと逮捕されないケースに分けられます。
留置場などの刑事施設に入れられるか、自宅にいるかという違いはありますが、どちらも万引きの捜査をうけることになります。
身柄事件
警察署の留置場といった刑事施設に入れられて、万引き事件の捜査をうける
在宅事件
自宅にいながら、取り調べなど必要なときに警察や検察から都度、呼び出しされるなどして万引き事件の捜査をうける
逮捕されないからといって、なにもおとがめがないということではありません。
身柄事件も在宅事件も、事件の捜査をうけます。
ただ、逮捕されているかどうかでは刑事手続きにおける「時間制限」に違いがあります。
それぞれのケースについて、くわしく確認していきたいと思います。
万引き犯罪で逮捕されたその後|後日逮捕と現行犯逮捕
万引き犯罪で逮捕されたケースでは、大まかにつぎのように手続きがすすめられていきます。
逮捕には、いくつか種類があります。
その中から、後日逮捕と現行犯逮捕について簡単に解説したいと思います。
後日逮捕
事件発生の後日、「逮捕状」にもとづいて警察・検察といった捜査機関によっておこなわれる
現行犯逮捕
犯行中や犯行直後など事件発生の現場を目撃した人によって逮捕状なしにおこなわれる
万引き事件の場合は、現行犯逮捕されるケースが多いです。
- 商品をカバンのなかに入れた
- 購入済みの商品のなかに、未精算の商品を紛れ込ませて店をでた
このような状況を店員や警備員に目撃されて、逮捕されることがあります。
後日逮捕 | 現行犯逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 事件発生の後日 | 事件発生の現場 |
逮捕する人 | 警察や検察 | 誰でも |
逮捕状 | 必要 | 不要 |
現行犯逮捕のケースが多い万引き事件ですが…
店内の防犯カメラに犯行の様子がうつっていたなどとして後日逮捕されるケースもあります。
逮捕の原則は、裁判官が発付する「逮捕状」にもとづいている必要があります。
現行犯逮捕は、逮捕の例外です。
犯罪が明らかである場合のみ、現行犯逮捕が認められています。
後日でも現行犯でも、逮捕されたら、厳格な時間制限のなかで刑事手続きがすすめられていくことになります。
逮捕・勾留となれば、起訴されるまで原則的に最大で23日間ものあいだ、留置場で生活を送ることになります。
万引きの逮捕についてくわしくはこちら
万引き犯罪で逮捕されないその後|検察から呼び出し?
万引き犯罪で逮捕されないケースでは、大まかにつぎのように手続きがすすめられていきます。
このように自宅にいながら、万引きという犯罪事件の捜査がおこなわれます。
逮捕されずに、万引き事件が捜査されると聞いてもピンとこないかもしれませんが…
「書類送検」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
弁当などをスーパーで万引したとして、警視庁本所署が窃盗容疑で東京都中央区の女優(略)を4日にも書類送検する方針を固めたことが3日、同署への取材で分かった。(略)
出典:産経ニュース(2017.8.3 16:40)
某女優が万引き事件をおこし、書類送検されたというニュースです。
このニュースのような事件は、逮捕・勾留されず、あるいは、逮捕されてもすぐ釈放されたようなケースになります。
書類送検は、マスコミ用語の一種です。
逮捕されずに、万引き事件の捜査資料のみが検察に送り届けられる(送致される)ことを書類送検と言われています。
送致をうけた検察官は起訴するかどうかの判断をだすために、被疑者を検察庁に呼び出して取り調べなどの捜査をおこないます。
逮捕されないからといって、万引き事件が捜査されないわけではありません。
万引きの在宅事件についてくわしくはこちら
万引き犯罪は示談で被害届取り下げとなるか
万引き犯罪は、示談で解決できるというイメージがあるようです。
示談が成立すると、被害届が取り下げられることもあるという話も耳にしました。
示談は、どのような影響があるのでしょうか。
万引き犯罪で示談が必要な理由とは
万引きという犯罪に、なぜ示談が必要なのでしょうか。
その理由が気になります。
まずは、示談の意味をおさえておきたいと思います。
示談とは
裁判によらず事件の被害者と加害者が話し合いによって、民事上の問題を解決すること
ここまで、万引きは刑事罰を受ける犯罪であることを解説してきました。
万引きは刑事事件の話なのに、民事事件の話が出てきて疑問に思われるかもしれませんね。
万引きは、刑事と民事の両面で責任を負うことになります。
責任 | |
---|---|
刑事的 | 万引き行為について裁判によって有罪判決が言い渡されると、刑罰を受けることになる |
民事的 | 万引き行為によって被害者に与えた損害に対する責任をおうことになる |
被害者がいるような刑事事件の場合は、民事事件の側面でも責任が生じることになります。
万引き事件の被害者との示談成立は、検察官や裁判官の判断に影響を与えることになります。
示談を通して、
- 被害者への謝意
- 被害弁償
- 宥恕(被害者の許し)
- 被害届取り下げ
- 清算条項
このような項目を条件として、示談をおこないます。
清算条項とは、示談のかかれている条件以外に権利や義務が何らないことを合意することです。
参考:【万引き】被害届と捜査の関係|被害届の受理と取下げについて調査してみた。
万引き犯罪における示談の方法
示談はどのような方法でおこなわれるのでしょうか。
示談は「口約束」でも、お互いの合意が得られれば成立させることは可能です。
ただ、口約束の場合は、のちのち言った言わないのトラブルが発生する可能性が高いです。
法的にリスクの少ない示談書を作成することが、示談において重要になってきます。
弁護士なしで、示談をおこなうことは可能です。
示談書もご自身で作成することもできます。
ですが…
法律の知識がないままに示談をすすめてしまうと、のちのリスクやトラブルの可能性が発生します。
示談は、法律の専門家をとおしておこなう方法がおすすめ
法律にのっとった示談ができていないと、「争いごとの蒸し返し」がおこる可能性があります。
法律の専門家によるアドバイスを受けながら進めていきたいです。
では、弁護士がついた場合の示談交渉はどのようにおこなわれるのでしょうか。
示談交渉の流れと方法についてみていきたいと思います。
万引きは、事件現場で現行犯逮捕されることも多い犯罪です。
逮捕・勾留されてしまうと、物理的に被害者の方と接触して示談することができません。
弁護士を通すことで、示談交渉をおこなうことができます。
万引き事件における示談についてくわしくはこちら
万引きで犯罪歴がつくとどうなる?未成年なら消える?
万引きで逮捕されたりすると、犯罪歴がつくのかどうか気になります。
未成年の場合は、犯罪歴が消えるという噂もあるようですが本当なのでしょうか。
犯罪歴についてみていきたいと思います。
犯罪歴の定義|犯罪歴と前科の関係
そもそも、犯罪歴とは何をさして犯罪歴といっているのでしょうか。
犯罪歴の定義
前科・前歴・逮捕歴など、犯罪を犯したことがあるというすべての履歴
犯罪歴は、一般用語として使われることが多いです。
そのため、人によって使われたときの言葉の意味や幅が広いと思います。
前科とは刑事裁判で有罪判決を受けた履歴のことをいうので、犯罪歴にふくまれると定義したいと思います。
小学生・中学生による万引きの犯罪歴は成人で消える?
万引きというと、小学生や中学生といった未成年による犯行が多いようなイメージがあるかもしれません。
未成年が万引き事件をおこした場合、その犯罪歴は一生ついて回ることになるのでしょうか。
警察に逮捕されたりした「前歴」や「逮捕歴」という点での犯罪歴は、事件記録として保管されることになります。
一方、未成年がおこした犯罪は、殺人などの重大事件をのぞいて刑事裁判はおこなわれません。
未成年の場合、前科という犯罪歴がつくことはありませんが、逮捕歴や前歴といった犯罪歴がつくことになります。
未成年の場合は、前科という犯罪歴はそもそもつくことが通常ありません。
万引きは依存症?高齢者の万引き、繰り返す再犯を犯罪白書で調査
増加中!高齢者による万引き犯罪
高齢者による万引き犯罪が増加傾向にあるようです。
こちらのニュースをごらんください。
大分県内で65歳以上の高齢者による犯罪が目立ってきていることが、県警のまとめでわかった。
犯罪発生数自体の減少が目立つ中、刑法犯全体の摘発者のうち高齢者が占める割合は4分の1を超えた。
さらに万引きに限ると、その割合は半数に迫る。
再犯者に占める高齢者の割合も増加。(略)
出典:朝日新聞(2018年4月8日23時51分)
再犯を起こしてしまう原因は人それぞれですが…
超高齢化社会といわれる日本において、高齢者による万引き犯罪は増加の一途をたどってしまうのでしょうか。
万引き犯罪の再犯率は高い?
万引きの再犯率について調査をおこないました。
総務省が刊行する、「犯罪白書」がまとめています。
こちらをご覧ください。
刑法犯全体 | 窃盗全体 | 万引き | |
---|---|---|---|
検挙人員 | 200,434人 | 100,832人 | 63,972人 |
再犯者総数 | 58,243人 | 28,424人 | 17,867人 |
再犯率 | 29.1% | 28.2% | 27.9% |
再犯率という点でみると30%弱という結果ではあります。
しかしながら、刑法犯全体の半分が窃盗事件であり、窃盗事件の半数以上が万引きとなっています。
万引き事件の数の多さを感じることができる資料です。
万引き依存症が疑われる犯罪心理とは?
万引き依存症という依存症をご存知でしょうか。
万引き依存症
万引きが犯罪行為であることを理解しているのに、万引き行動をおさえられない・コントロールできない精神障害
窃盗症、窃盗癖、クレプトマニアとも呼ばれています。
▼例1 |
---|
万引きによって、仕事のストレスが発散された |
▼例2 |
万引きのゲーム感覚が味わえるスリルがたまらなくて、やめられなくなった |
▼例3 |
摂食障害を患っており、吐くために食べる物にお金を使うのが惜しくなった |
- 商品を買えるお金がある
- その商品が特段ほしいわけでもない
このような考えをもっている場合も、依存症である可能性が考えられます。
万引きの依存症や再犯についてくわしくはこちら
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掲載中の弁護士は、弁護士費用がはっきりと分かりやすい弁護士ばかりです。
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最後に一言アドバイス
最後に一言、弁護士からアドバイスをいただきます。
万引き事件でお悩みの方は、まず弁護士に相談いただくことをおすすめします。
弁護士が間に入って示談交渉をおこなうことで、万引き事件が円満に解決することも多くあります。
早期のタイミングで弁護士にご相談ください。
逮捕されている場合は、早期の釈放にもつながります。
万引き事件で困ったら、一人で悩まず弁護士に相談することからはじめてみましょう。