盗撮で逮捕された後の流れ|逮捕されない書類送検と逮捕された場合の違いとは
盗撮で逮捕された後はいったいどこへ連れていかれるのか…
刑事からのきびしい取り調べを受けたら、その次はすぐに裁判になってしまうのか?
逮捕後はどのような流れですすんでいくのか分からないことが多いです。
盗撮で逮捕されたら疑問に思うポイントをまとめました。
- 盗撮の逮捕後の流れ
- 盗撮の現行犯逮捕と後日逮捕
- 盗撮は書類送検される?
盗撮の逮捕について気になる内容がそろっています。
解説者は、アトム法律事務所の弁護士です。
盗撮で逮捕されたその後の流れは、ニュースからは知ることがむずかしいと思います。
専門家の視点から、盗撮の逮捕について解説していきたいと思います。
よろしくお願いします。
目次
普段の生活からは、なかなか詳しいところまで知る機会が少ない話題だと思います。
徹底的に盗撮の逮捕後についてリサーチしたので、ぜひ最後までごらんください。
盗撮で逮捕されたら…逮捕後の流れをおさえる
盗撮で逮捕されたら「その後」はどうなる?
盗撮で逮捕されたら気になるのが、逮捕後の流れだと思います。
逮捕されたら警察に連れていかれて取り調べを受ける…
くらいまでは想像がつくと思いますが、その後の流れはどうでしょうか。
こちらの図をごらんください。

盗撮などで逮捕された場合の刑事手続きの流れです。
逮捕されたあとどうなるのか、流れをイメージすることはできましたか?
とはいえ、大枠になりますのでここからもっと詳しくみていきたいと思います。
逮捕
盗撮事件で警察官に逮捕されると、警察署で取り調べがおこなわれます。 取り調べのあと、「48時間以内」に検察官に送致されます。 |
検察官に送致されないときは、釈放されます。
↓
送致
検察官に送致されたあとは、検察官によって盗撮事件の取り調べがおこなわれます。 検察官に取り調べられた結果、 ・裁判官に勾留請求する ・起訴する ・釈放する いずれかの流れになります。 |
↓
勾留
勾留が決定されると「10日間」、留置場で生活することになります。 |
↓
勾留延長
さらに継続して盗撮事件を捜査する必要があれば「最長で10日間」勾留が延長されます。 |
↓
起訴
盗撮事件を捜査した結果、起訴されれば約1か月後に刑事裁判が開かれます。 |
保釈が認められなければ、盗撮事件についての裁判が終了するまで勾留されつづけます。
↓
刑事裁判
裁判官によって、盗撮事件の審理がおこなわれます。 |
↓
判決
裁判官によって、盗撮事件の有罪あるいは無罪の判決が言い渡されます。 |
盗撮事件での逮捕後から、裁判までの流れはこのようにすすんでいきます。
逮捕の流れをまとめた動画も用意しました。
あわせてご覧ください。
逮捕からの流れについて詳しくはこちら
盗撮で逮捕されたらどんな刑罰をうける?
では、盗撮事件で逮捕、起訴とつづき裁判で有罪判決がくだされることになったら…
いったいどんな刑罰をうけることになるのでしょうか。
まず、盗撮という行為はさまざまな法律にふれる可能性のある犯罪です。
- 各都道府県の迷惑防止条例違反
- 軽犯罪法違反
- 刑法の住居侵入罪(盗撮時の状況による)
盗撮行為の場所や内容、盗撮時の状況などによって処罰根拠となる法律はさまざまです。
それぞれの法律で規定されている刑罰を確認してみましょう。
まずは、東京都の条例違反の刑罰です。
東京都条例違反の刑罰
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
つぎに、軽犯罪法違反の刑罰です。
軽犯罪法違反の刑罰
拘留又は科料
さいごに、住居侵入罪の刑罰です。
住居侵入の刑罰
3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
適用される法律によって、規定されている刑罰はそれぞれちがうんですね。
このほかにも、18歳未満の児童の裸を盗撮したという事件の場合は、
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
に問われる可能性もあります。
盗撮の場所や行為の内容、被害者の年齢などによって適用される法律が変わってきます。
逮捕されたら、どの法律にふれる行為であったのか確認しておく必要があります。
ポイント
盗撮の刑罰
迷惑防止条例※ | 軽犯罪法 | 住居侵入罪 | |
---|---|---|---|
身体的な刑罰 | 1年以下の懲役 | 30日未満の拘留 | 3年以下の懲役 |
金銭面での刑罰 | 100万円以下の罰金 | 1万円未満の科料 | 10万円以下の罰金 |
※東京都の条例
盗撮の刑罰についてくわしくはこちら
盗撮で現行犯逮捕された?後日逮捕された場合とのちがいは?
ここまでは、盗撮で逮捕後の流れや刑罰をくわしくみてきました。
では、盗撮で逮捕されるタイミングってどんな時なんでしょうか。
- 盗撮の犯行中に逮捕?
- 盗撮の犯行直後に逮捕?
- 盗撮の犯行から後日に逮捕?
逮捕といっても、いくつか種類があります。
逮捕の種類
現行犯逮捕
- 後日逮捕(通常逮捕)
- 緊急逮捕
逮捕には、このように3つの種類に分けられます。
実際の逮捕では、緊急逮捕のケースはあまり多くはないようです。
多くの事件でおこなわれる後日逮捕と現行犯逮捕について解説していきたいと思います。
盗撮が現行犯逮捕されるワケとは
「盗撮で逮捕」でイメージされるのは…
- エスカレーターに立つ女性のスカートの中をスマホで撮影していた
- 電車内で女子高生を隠し撮りした
このような盗撮中に逮捕されるイメージが強いかもしれません。
いわゆる、「現行犯逮捕」です。
福岡県警中央署は30日、女性店員のスカート内にスマートフォンのカメラを向けたとして、県迷惑行為防止条例違反の疑いで、(略)現行犯逮捕した。(略)
出典:日刊スポーツ(2017年12月30日21時22分)
盗撮で現行犯逮捕されたというニュースでした。
現に、盗撮の盗撮の逮捕では現行犯逮捕のケースが多くあります。
ここからは、「現行犯逮捕」について解説します。
まずは、こちらの図をごらんください。

現行犯逮捕は、事件発生のタイミングで逮捕されています。
現行犯逮捕とは、具体的にはどんな意味なのでしょうか。
現行犯逮捕
犯行中あるいは犯行直後、逮捕状なしで逮捕できる。
現行犯逮捕は、警察官といった捜査機関以外でも犯行を目撃したような一般市民でも逮捕できる。
原則として、逮捕は逮捕状にもとづいている必要があります。
例外的に、逮捕状なしで逮捕することができる現行犯逮捕が規定されています。
刑事訴訟法を確認してみます。
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
出典:刑事訴訟法第213条
「逮捕状なくして」と規定されています。
もう一つ、現行犯逮捕でおさえておきたいのが「何人でも」という点。
逮捕ってお巡りさんや刑事がすることというイメージが強いと思います。
ですが、現行犯逮捕では「一般人」でも逮捕することができます。

逮捕の原則である逮捕状を請求できるのは、警察官や検察官といった捜査機関のみです。
したがって、いわゆる逮捕は一般人はおこなえません。
しかし、例外的に…
- 犯行中
- 犯行直後
を目撃したような人であれば、どんな人でも逮捕状なしに犯人を逮捕することができます。
現行犯逮捕は、犯罪が明らかである場合のみ認められた逮捕です。
現行犯逮捕の例
- ビデオカメラで胸元を録画していた
- スマホで階段の下から下着を撮影した
このような場面を目撃したような人は、誰でもその場で犯人を逮捕することができます。
一般人が現行犯逮捕した場合は、義務としてすみやかに現行犯人を捜査機関に引き渡さなければなりません。
盗撮の検挙率について調査された記事も用意しています。
あわせてチェックしてみてください。
では、盗撮は現行犯逮捕だけでしか逮捕されることはないのでしょうか?
つぎからは、盗撮で後日逮捕されることはあるのか、みていきましょう。
盗撮の後日逮捕は逮捕状が必要
盗撮で後日逮捕されるケースは、件数としては少ないようです。
しかしながら、後日逮捕の可能性は十分にあるようです。
駅の女子トイレに侵入して盗撮用のカメラを設置したとして、警視庁八王子署は、建造物侵入と東京都迷惑防止条例違反の容疑で、(略)逮捕した。(略)
同署がカメラの画像を解析したところ、カツラで女装した(略)が写っていた。(略)
出典:産経ニュース(2017.2.21 19:57)
女子トイレに忍び込み、盗撮用のカメラを設置したとして逮捕されたというニュースです。
設置したカメラに女装した犯人が映りこんでいたことが事件捜査で発覚し、逮捕につながったようです。
このように犯行中や犯行直後でなくても、事件発生の後日に犯罪の証拠によって逮捕されることがあります。

犯人が事件現場から逃げたのちに逮捕されています。
事件発生の後日に逮捕されることから、このような逮捕を「後日逮捕」と呼んでいます。
法律の用語としては、「通常逮捕」といいます。
後日逮捕
事件発生から後日、逮捕状にもとづいておこなう逮捕のこと。
後日逮捕は、警察官といった捜査機関によっておこなわれる。
逮捕の原則としておかれているのが、この後日逮捕(通常逮捕)になります。
「人を拘束してもよい権限」を認める令状(許可状)である逮捕状がなければ、人を逮捕することはできません。
刑事訴訟法を確認してみます。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
出典:刑事訴訟法第199条1項
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とあります。
さきほど紹介したニュースでは、盗撮目的で設置したカメラに犯人が映っていたということでした。
このように盗撮をしたことが明らかな証拠にもとづいて、逮捕状は発付されます。

捜査の中で見つかった証拠にもとづいて、警察官や検察官が裁判官に請求します。
逮捕状は、捜査機関から請求を受けた裁判官が発付します。
逮捕状の請求には、犯人を特定できるだけの一定の証拠がそろっている必要があります。
このような証拠を入手するため、事件の内容によって必要な期間はさまざまです。
- 事件後、1週間程度を経たケース
- 事件後、数年を経たケース
事件によって長短はあれど、証拠にもとづいて逮捕状が発付されます。
スマホやデジカメなど、電子媒体が普及した現代です。
盗撮で現行犯逮捕されたのちに、所持していたカメラが押収され…
半年前に盗撮した事件が発覚して、後日逮捕されるということもあります。
盗撮の余罪については、こちらの記事もチェックしてみてください。
さいごに、現行犯逮捕と後日逮捕のちがいについておさえておきましょう。
ポイント
現行犯逮捕と後日逮捕のちがい
現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
---|---|---|
逮捕のタイミング | 犯行中、犯行直後 | 事件発生から後日 |
逮捕する人 | だれでも | 捜査機関 |
逮捕状 | 不要 | 必要 |
盗撮で書類送検される場合|逮捕と異なる流れ?
盗撮にかぎらず、逮捕のニュースで「書類送検」という言葉が登場することがままあると思います。
- 芸人が道路交通法違反で書類送検
- 元横綱が傷害の容疑で書類送検
- 警察官が脱衣所をのぞいて書類送検
などなど、書類送検という言葉はテレビや雑誌にあふれています。
では、「盗撮で書類送検」という可能性はあるのでしょうか。
ここからは、書類送検の基本と盗撮で書類送検されたその後の流れまでを解説していきます。
書類送検のキホンを知る!
書類送検はマスコミ用語?
盗撮事件における書類送検についてこんなニュースを見つけました。
こちらの記事をごらんください。
北九州市を走行中の列車内で女性を盗撮したとして、福岡県警は21日、北九州市警部機動警察隊の巡査部長の男(38)を県迷惑行為防止条例違反(盗撮)容疑で書類送検し停職3月の懲戒処分とした。(略)
出典:毎日新聞(2017年12月21日 18時55分)
電車の中で女性を盗撮した警察官が書類送検されたというニュースです。
書類送検ってよく耳にしますが、実際にどのような処分、手続となったのかよく分からないかもしれません。
字面からも、なにかの書類をどこかへ送ることだとは推測することができます。
書類送検とは、いったいどこに何を送り届けることなのでしょうか。
書類送検とは、事件の捜査書類のみを検察官に送る(送致する)ことをいいます。
被疑者が身体拘束されていない、いわゆる在宅事件の場合に行われる送致方法です。
逮捕後の流れを解説した時に、「送致」という言葉が出てきたと思います。
逮捕後の流れの図をもう一度確認しておきましょう。

すべての犯罪事件で、逮捕がおこなわれるわけではありません。
逮捕されず、自宅にいながら捜査がすすめられ検察官に送致されることがあります。
これが「書類送検」です。
捜査書類のみが検察官に送られるため、書類送検といわれています。
これは、マスコミ用語であって法律の専門用語ではありません。
盗撮で逮捕されなくても書類送検?その後の流れは?
書類送検の意味が分かったところで、逮捕された場合とその後の流れにちがいはあるのでしょうか。
こちらをごらんください。

逮捕・勾留された場合と、書類送検の場合で大きくことなる点は、
- 留置場にいながら捜査がつづく
- 自宅にいながら捜査がつづく
このような差になります。
起訴後にとられる手続きの流れは、逮捕された場合も書類送検の場合もほぼ同じです。
逮捕されなくても、刑事事件は刑事事件です。
事件の捜査は続けられています。
逮捕されないケースとしては、
- 逃亡のおそれがない
- 証拠隠滅のおそれがない
このような場合であれば、逮捕されず捜査がすすめられるケースが多いです。
書類送検は逮捕の要件を満たさなかっただけにすぎません。
起訴され刑事裁判となれば、罰金刑にも懲役刑にもなる可能性があります。
書類送検についてまとめた動画を用意しました。
あわせてご覧ください。
盗撮「逮捕後の流れ」について弁護士に相談
家族が盗撮で逮捕されたらスマホから相談
「息子が盗撮の疑いで、現行犯逮捕された!」
息子の人生がどうなってしまうのか、とても心配されていることでしょう。
- 逮捕後の流れはどうなるのか?
- 盗撮で後日逮捕される可能性は?
- 書類送検されることになった
相談したいこと、不安なことがたくさんあると思います。
そんなときは、無料相談からはじめてみませんか?
なんでも弁護士に聞いてみましょう。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
24時間365日いつでも全国対応
※無料相談の対象は警察が介入した刑事事件加害者側のみです。警察未介入のご相談は有料となります。
広告主:アトム法律事務所弁護士法人
代表岡野武志(第二東京弁護士会)
こちらの相談窓口を運営する法律事務所では、
- 24時間
- 365日
いつでも相談の受付を順次おこなっています。
専属スタッフが対応してくれるので、安心して利用できます。
あなたのご都合の良い時間帯に問い合わせてみましょう。
盗撮事件で逮捕されたら、スマホから弁護士に相談してみましょう。
盗撮の逮捕後、相談できる弁護士を全国から探す
家族が盗撮で逮捕された場合、弁護士に相談するにしても注意深く話をすすめていきたいという方が多いと思います。
デリケートな問題ですし、信頼のおける弁護士でなければ依頼できません。
それなら、対面相談してみるのはいかがでしょうか。
実際に会ってみないと分からないこともあるでしょう。
弁護士を探してみたいという方は、こちらをお使いください。

全国47都道府県ごとに厳選基準で弁護士をピックアップしました。
厳選基準
- 盗撮など刑事事件に注力する法律事務所
- 弁護士費用がはっきりしている法律事務所
盗撮の逮捕後でもあきらめず、地元の弁護士に今後の方針を相談してみましょう。
最後に一言アドバイス
それでは、最後に一言アドバイスをいただきたいと思います。
盗撮で逮捕されたら、最大で23日間も留置場での生活を強いられることになります。
逮捕後のきびしい取り調べを一人で乗り越えるのは精神的・肉体的にもつらいでしょう。
そんなときこそ弁護士に相談ください。
- 取り調べを乗り切るアドバイスをくれる
- 被害者との示談交渉を進めてくれる
特に被害者交渉の結果は刑事処分の行方に大きく影響します。
不起訴になれば前科を回避することもできます。
一日も早く弁護士に相談して、不起訴処分獲得への対策をたててください。