【逮捕・送検の流れ】送検まで48時間?書類送検でも起訴される?逮捕と送検の違いは?
- 「逮捕・送検された後の流れはどうなるのだろうか?」
- 「そもそも『送検』って何だろう・・・。」
このような疑問をお持ちの方もおられるかもしれません。
そこで、今回は「逮捕・送検の流れ」と題して、
- 「送検」の意味
- 「逮捕」と「送検」の違い
- 「送検」の種類(身柄送致・書類送検)
- 「送検されない」ケース
などをレポートします。
「逮捕・送検の流れ」に関する図解や、Q&Aも用意しました。
この記事を通じて「逮捕・送検の流れ」をバッチリ押さえてくださいね!
手続きの流れや、実務上の問題については、刑事事件の弁護を得意とするアトム法律事務所の弁護士にお願いします。
よろしくお願いします。
刑事事件といえば「逮捕」が、いちばんに思いつくのではないでしょうか。
ですが、逮捕された後には「送検」という手続きが待っています。
送検された後の流れや、書類送検という手続きについて関心のある方も多いことでしょう。
今回は、実務に即して、みなさまの疑問にお答えしていきたいと思います。
目次
「送検」とは…起訴が近い?逮捕との違い・送検の種類について
(1)「送検」は、起訴の一歩手前?意味は?
「送検」は、警察によって捜査されたり逮捕されたあと問題になります。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/nagare.png
この図では、「送致」と表現されています。
送検と、ほぼ同じ意味で使われています。
では、「送検」の意味について確認しておきましょう。
刑事手続きのなかで「送致」というと、通常の送検に加え、「家庭裁判所への送致」や「少年事件の逆送致」などもあります。
・検察官への送致(送検) ・家庭裁判所への送致 ・少年事件の逆送致 |
「送検」と表現される場合は、検察官への送致をあらわしています。
(2)「逮捕」と「送検」の違いとは?
逮捕と送検の違いについてご存じでしょうか。
わかっているようで、わからない「逮捕」の定義について確認しておきます。
「逮捕」は、刑事手続き上、あやしい犯人を捕まえる手続です。
これに対して、「送検」は、事件捜査の主導権が警察から検察へバトンタッチされる手続です。
流れ
- ① 警察に「あやしい」と思われる
- ② 警察に捕まる=逮捕
- ③ 警察から検察へ移動=送検
このような「送検」ですが、実は2種類あります。
ここでは、逮捕された場合の送検を見てきました。
ですが、逮捕されなくても送検されるケースもあります。
次の項目では、送検の種類について確認していきましょう。
(3)「送検」は2種類…身柄送致と書類送検の違い
送検には、身柄送致と書類送検の2種類があります。
まずは、捜査の流れについて、確認しておきましょう。
下の図は、事件発生から有罪・無罪までの流れを示したものです。
この図からも分かるとおり、刑事事件では、逮捕される事件と、逮捕されない事件があります。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/keijinonagare_3.png
警察に逮捕された場合、多くのケースで、送検されるときも捕まったままです。
事件の捜査書類とともに、自分も送検されてしまいます。
このような送検のされ方を「身柄送致」と呼びます。
一方、逮捕されなかった事件(在宅事件)では、「書類送検」されることになります。
逮捕されなかった事件では、自宅で、今までどおり生活できます。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/keijinonagare_2.png
検察から呼び出しされたときに出頭するだけで済みます。
検察官のもとへ、身柄送致はされません。
書類送検は、その名のとおり、事件の捜査書類だけが移動します。
2種類の送検について、違いをまとめました。
送検の種類* | ||
---|---|---|
①身柄送致 | ②書類送検 | |
逮捕の有無 | あり** | なし |
内容 | 逮捕された後、身体を拘束されたまま検察官のもとへ移動。 事件の証拠書類も、同時に送付される。 |
事件の証拠書類だけ、検察官のもとに送付される。 |
* 刑事訴訟法第246条参照。 ** 警察に逮捕された後、留置の必要性がないと判断され、まれに釈放されることがある。その場合には、身柄送致ではなく、書類送検される。
このように、警察に捜査された事件は、原則として検察官へ送致されることになります。
ただ、例外的に送致されない事件もあるとのこと。
次の項目では、その例外ケースについて見ていきましょう。
【コラム】例外的に「送検されない」ケース~微罪処分について~
まずは、原則の確認からです。
そもそも
「警察に捜査された事件は、送検される」
といったルールが法律にあります。
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、‥‥‥書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
出典:刑事訴訟法第246条本文
ですが、この条文には続きがあります。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
出典:刑事訴訟法第246条ただし書
つまり、検察官が指定した事件については、送検されないということ。
このような手続きは、「微罪処分」と呼ばれています。
微罪処分とは、そのような内容なのでしょうか。
「微罪処分の内容」について、簡単にいうと、
犯罪について厳重注意を受ける
というものです。
- ① 本人が厳重注意を受けることは、もちろんですが、
- ② 親や雇用主など呼び出された身元引受人も、「二度と犯罪をさせないよう監督する」旨、誓約することになります。
そして、
③ 被害者に対して、被害弁償や謝罪といった措置も講じなければなりません。
さて、さきほど「検察官が指定した事件」は、微罪処分になるとのことでした。
これは、どのような事件なのでしょうか?
微罪処分の対象となる犯罪は、限定されています。
軽微な事案でなければならず、罪名も限られています。
微罪処分の対象
窃盗・詐欺・横領・盗品譲り受けなど盗品等に関する罪・賭博・暴行
また、例外もあります。
対象となる犯罪に該当する場合でも、一定の事由があるとき、微罪処分にはなりません。
以下の事由があるとき↓↓↓ |
---|
通常逮捕・緊急逮捕された |
告訴・告発・自首があった |
法令上、絶対に起訴しないといけない |
被疑者本人・共犯者が公務員 |
事案の性質、被疑者の性格、境遇等から微罪処分が相当でないと考えられるもの |
※「送致手続の特例における微罪処分手続について(通達)」(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/242132.pdf)参照。
ちなみに、微罪処分の場合、前科はつくのでしょうか?
前科は、起訴されて有罪判決が確定したことを意味します。
微罪処分の場合、起訴されないので、前科がつくことはありません。
【図解】逮捕・送検・起訴の流れをチェック!48時間の期間制限とは?
【図解】逮捕から送検まで48時間?起訴まで72時間?
この図は冒頭でも登場しましたが、あらためて「警察逮捕からの流れ」を確認していきましょう。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/nagare.png
逮捕には、48時間以内という時間制限があります。
この期間内に送致されます。
そして、勾留(こうりゅう)までの流れは、
- 送致を受けた検察官によって、勾留請求(24時間以内)
- 裁判官による審査を経て、勾留決定
といった流れです。
勾留は、原則10日間以内です。
さらに10日間の範囲で延長されることもあります。
このようにしてみると、逮捕されてから起訴されるまで最長で23日間留置されることになります。
起訴された後は、いよいよ刑事裁判です。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/keijinonagare_5.png
このようにして、有罪・無罪が決まることになります。
「逮捕の流れ」をもっと詳しく知りたいという方は、以下の特集記事も読んでみてください。
「逮捕の流れ」については、こちらもご覧ください。
次の項目では、「勾留」という用語の解説をしておきます。
【コラム】勾留(こうりゅう)とは?
さて、さきほど「勾留」(こうりゅう)という用語が出てきました。
勾留について、意味を確認しておきます。
「勾留」とは、刑事手続き上、身体拘束される手続きのひとつです。
勾留中は、留置場や拘置所で生活します。
そして、時間になったら、検察官から取り調べを受けることになります。
勾留される条件は、次のとおりです。
勾留の条件
- ① 犯罪の嫌疑があること
- ② 次の事由のうち、いずれか一つあること
↓↓↓
住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのうち
簡単にいうと、
- 「犯罪をしていそう」と合理的に判断できるくらいの証拠があって、
- 住居がなかったり、証拠隠滅や逃亡しそうというとき
に勾留が決定されることになります。
【コラム】釈放のタイミングはいつ?
こんどは、釈放されるタイミングについて確認していきましょう。
以下の図を見てみてください。
出典:https://atomfirm.com/wp-content/uploads/keijinonagare_9.png
多くのケースでは、「勾留されないこと」が重要になります。
勾留が決定されず釈放というのは、2通りあって、
- ① 送検後、勾留請求されなかった場合
- ② 勾留請求されたが勾留決定されなかった場合
の2通りです。
【Q&A】書類送検のその後…逮捕される可能性は?前科はつく?罰金刑?
さて、ここから一問一答形式でよくある疑問を解決していきましょう。
【Q1】書類送検のあと逮捕されることはある?
書類送検されたあと、やっぱり逮捕されるということはあるのでしょうか。
書類送検された後に逮捕される可能性は、きわめて低いです。
書類送検の時点で、そもそも逮捕の必要性がなかったからです。
ただ、後日、事情が変わるということもあるでしょう。
したがって、逮捕の可能性がまったくないとは言い切れません。
当初、逮捕の必要性がないと思われていた事案でも、後日
- 証拠隠滅をはかった
- 逃亡のおそれが出てきた
といった事案では、あとから逮捕される可能性もあります。
もう起訴目前というところで、身柄拘束の必要が生じる場合もあるでしょう。
そういったケースでは、起訴された後で、「起訴後勾留」という手続きがとられることもあります。
書類送検だからといって、その後「一切、身体を拘束されない」とは断言できません。
【Q2】書類送検だと起訴されない?
書類送検のケースだと、起訴されないイメージがあります。
実際に、書類送検されたケースで、起訴されることはあるのでしょうか。
不起訴になるのは、
- 事案が悪質でなく軽微
- 示談が成立している
- 「被害者のゆるし」が得られている
といったケースです。
書類送検されるケースは、このようなケースが多い傾向にあります。
なので、結果的にみて「書類送検なら不起訴」というイメージがついたのだと思われます。
【Q3】書類送検されたら前科・前歴はつく?
書類送検だけで前科がつくことはあるのでしょうか?
書類送検と「前科」の関係を確認したいです。
「前科」とは、確定判決で刑の言渡しを受けたことをいいます。
一定の場合に、執行猶予の欠格事由、累犯加重の事由、各種資格制限の事由となることもあります。
書類送検だけでは、前科はつきません。
前科と類似するものとして、「前歴」があります。
「前歴」とは、捜査された履歴です。
書類送検されている時点で、捜査対象者なので、前歴はつきます。
前科 | 前歴 | |
---|---|---|
意味 | 有罪の確定判決 | 捜査の履歴 |
書類送検では? | ✖ | 〇 |
ちなみに、前歴は、前科と違って、まだ犯罪者と決まったわけではありません。
そのため、前科のときのような不利益は少ないです。
【Q4】書類送検から起訴までの期間は?流れは?
身柄送致されたケースだと、送検から起訴されるまで時間制限がありました。
書類送検の場合も、起訴されるまでの期間は決まっているのでしょうか。
書類送検の場合、期間制限はありません。
いつ起訴されるのかは、捜査の進展しだいです。
期間制限がないので、一般的にみて起訴されるまで長期にわたる傾向があります。
書類送検から起訴されるまでは、どのような流れなのでしょうか。
在宅事件として、捜査が進められることになります。
取り調べを受けることもありますが、その場合、家から出頭します。
起訴される場合には、指定した連絡先に通知が来ます。
起訴後勾留がなければ、裁判にも、家から出廷します。
書類送検から起訴されるまでの期間は、長丁場になりそうです。
しっかりサポートしてくれる弁護士さんを見つけたいところです。
【Q5】書類送検だと罰金刑?刑罰は軽くなる?
「書類送検だと、罰金刑になりそう…」といったイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ですが、必ず罰金刑になるとは限りません。
ただ、書類送検される事案は、軽微なものが多いです。
そのため、結果的に「刑罰が軽くなる」傾向はあると思われます。
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さいごに
今回は、「逮捕・送検の流れ」をまとめました。
とくに送検の意味・種類・流れについて理解いただけたと思います。
- 逮捕されれば、48時間以内に身柄送致された後、起訴・不起訴が決まる
- 在宅事件ならば、書類送検された後、起訴・不起訴が決まる
といった流れでした。
とくに身柄送致される事件では、スピード感をもって、捜査が進んでいきます。
取り調べも、短期間に集中します。
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のちに重要な証拠になることもあるので、早いうちに弁護士から助言をもらっておきましょう。
逮捕・送検でお悩みの方は、今すぐ弁護士にご相談いただければと思います。