【万引き】示談書の書き方や示談金の相場を解説! 被害届は取り下げてもらえる?
「万引きの示談をしたいんだけど…」
そう考えている方はいませんか?
実際にいざ示談を結ぶためのアクションを起こそうとしても、
- 「示談金の相場がわからない」
- 「示談書の書き方がわからない」
- 「そもそも示談ってなんなのかわからない…。被害届って何? 未成年の場合どうなる?」
こういった疑問に阻まれて、二の足を踏んでしまいますよね。
今回は、これらの疑問について徹底調査を行いました。
万引きの示談について悩んでいる方に向けて、まとめて解説し尽くします!
なお、専門的な解説は刑事事件を数多く取り扱い、万引きの事案にも詳しいアトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
刑事事件において示談を結ぶことは、非常に大きな意味を持ちます。
示談について知識を深めていただくため、実際の法令や事例などを元にしながら解説していきたいと思います。
目次
示談金や示談書について解説する前に~万引き、示談についての基礎知識~
示談金の相場や示談書の書き方を解説をする前に、まずは
- そもそも万引きとは何か
- そもそも示談とは何か
こういった点についてあらかじめ確認していきましょう。
そもそも万引きとは?
万引きは窃盗罪
万引きという言葉を辞書で引くと、「店頭の商品をかすめ取る行為、またかすめ取ったその人自体のこと」と記載されています。
ただ法的には、万引きという行為について厳密に定義されているわけではありません。
当然、万引き罪という罪が制定されているわけでもありません。
万引きを行ったとき、その罪名は「窃盗罪」となります。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
条文には、
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とあります。
本屋などに行くと、よく「万引きは犯罪です!」と書かれたポスターを目にする機会があります。
裏を返せば、「万引き程度犯罪ではない」と考えている人も相当数に上るということでもあります。
軽く見られがちがちな「万引き」ですが、こうして条文を見ると、その罪の重さがお分かりいただけるかと思います。
万引きで実刑を受けることはある?
窃盗事件の起訴率は4~5割程度です。
初犯であった場合、多くは実刑を免れて不起訴処分となりますが、犯行が悪質であったり常習性があったりした場合には起訴されることもあります。
また場合によっては罰金刑では済まず、執行猶予なしの懲役刑となってしまうこともあります。
実例としては、執行猶予あけ5年後に、ひとつの店舗において複数回万引きしたケースで懲役1年に処された例があります。
前科がある中での犯行であり常習性が明らかで、かつ捜査の過程で余罪が多数にのぼることがわかり、実刑となりました。
ここで表にまとめてみましょう。
法律 |
---|
刑法235条 |
刑罰 |
10年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
起訴の可能性 |
ほぼ不起訴・罰金刑となるが、場合によっては裁判にかけられることもあり得る |
万引きについて確認できたところで、続いては示談について確認していきます。
そもそも示談とは?
「示談を結ぶ」、とはよく聞く言い回しですが、そもそも示談とは一体なんなのでしょうか。
示談というのは、民事上の紛争について裁判手続きを踏まず、当事者間の話合いによって解決することを言います。
加害者が被害者に示談金を支払い、双方相談して交わされた取り決めを履行します。
示談というは、あくまで当事者の民事上の紛争を解決する手段です。
示談を締結したからといって、その後の刑事手続きがストップするということではない点には注意が必要です。
「刑事事件の手続きが終わらないなら、示談を結ぶメリットなんてないんじゃないの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、たとえ刑事罰に問われる犯罪を犯してしまっていた場合でも、被害者と示談を締結すれば加害者にとって有利な影響が見込まれます。
加害者が示談を結ぶメリットについて、詳しく解説していこうと思います。
万引きで示談を結ぶメリットとは? 被害届を取り下げてもらえる?
示談を結ぶメリットについて知るためには、まず万引きで逮捕される流れについて知っておく必要があります。
まずこの点について確認してから解説していきます。
万引きの逮捕後の流れを確認
こちらの画像をご覧ください。
万引きに限らず、刑事事件で逮捕されるとこのような流れを経ることになります。
逮捕後には勾留という言葉が確認できますね。
勾留というのは逮捕した容疑者が、
- 住居が定まっていなかったり
- 証拠隠滅のおそれがあったり
- 逃亡のおそれがあったり
した場合に、捜査段階で最大で20日間身体拘束される、という制度です。
多くは警察署内の留置場に収監されたままとなってしまいます。
勾留は、警察官から事件を引き継がれた検察官が裁判官に対して請求します。
裁判官は勾留の請求に対して内容を審査して、却下するか認容するかの判断をします。
勾留の後に控えるのは起訴です。
検察官が裁判所に裁判を求める申し立てを行うことを「公訴の提起」と言います。(起訴)
つまり起訴とは、検察官が「裁判を起こしたいです」と申し立てることを言います。
起訴された場合、日本では統計上99.9%有罪となりますから、ほぼ確実に何らかの刑罰を受ける、ということになります。
反対に起訴されなかった場合(不起訴)、刑事罰を受けることはありません。
このとき、前科がつかないことになります。
不起訴となるのは、被疑者が
- 犯人ではないとき(嫌疑なし)
- 犯人だという証拠が不十分なとき(嫌疑不十分)
ですが、さらに加えて
確実に犯人であるけれども、犯行の状況や反省の有無などに応じて「今回は勘弁してやろう」と検察官が判断したとき(起訴猶予)
にも不起訴になります。
ここで勾留と起訴、まとめて確認してみましょう。
まとめ
被疑者勾留の意味、起訴の意味
被疑者勾留 |
---|
逮捕後に被疑者を最大20日間拘束。 |
起訴 |
被疑者を裁判にかける。 |
また事件によっては、たとえ逮捕されても、事件が検察官に送致されないことがあります。
この、警察の段階で事件を終わらせる処分「微罪処分」についても触れておきましょう。
微罪処分について
警察は被疑者を逮捕したとき、事件を検察に送致します。
ですが警察官が微罪と判断した事件については、その後の刑事手続きを行わず、事件を終了させる場合もあります。
これを微罪処分と言います。
「警察署に連行されたけど、注意を受けただけで帰ってこれた」というような話を耳にしたことはないでしょうか?
このようなケースは、微罪処分として処理された可能性が高いです。
示談を結ぶメリット 被害届取り下げの効果
被害者と示談を締結すると、これらの刑事手続きに際して様々な点で有利に働きます。
まず、警察の介入より早くに示談を締結できたときには、事件が警察沙汰になる前に収束する可能性もあります。
事態が警察沙汰にならなければ、それ以上罪に問われることもありません。
また、たとえ警察の介入後であっても、示談の締結はその後の刑事手続きに大きな影響を与えます。
微罪処分の獲得が見込める
微罪処分についてはすでに解説した通りなのですが、実は警察官が微罪処分とするかどうかの判断について、その基準を示した本というのがあります。
立花書房から刊行されている、警察向け事件処理手引書『地域警察官のための簡易書式例対象事件処理の手引き』というのがそれです。
こちらの本から、万引きにおける微罪処分の基準について、要約して抜き出してみましょう。
万引きにおける微罪処分の基準
- 被害額が僅少であること (都道府県によって、上限額が定められている)
- 犯情が軽微であること
- 盗品の返還等、被害の回復が行われていること
- 被害者が処罰を希望しないこと
- 素行不良者でない者の偶発的犯行であること (都道府県によって、微罪歴があっても可能)
- 再犯のおそれがないことが明らかなこと
これらに該当するとき微罪処分となる可能性も上がるわけですが、示談の締結とその条件によっては
- 盗品の返還等、被害の回復が行われていること
- 被害者が処罰を希望しないこと
- 再犯のおそれがないことが明らかなこと
などについて根拠を持ってアピールすることが可能となります。
勾留の阻止、早期の釈放、不起訴処分の獲得が見込める
たとえ微罪処分が獲得できなかったとしても、検察や裁判所に
- 被害者へ反省の態度を示している
- 被害者の被った被害を弁償している
- 事実関係を素直に認めており、証拠の隠滅や逃亡のおそれがない
ことを根拠をもってアピールできます。
勾留の阻止や釈放、不起訴処分の判断は、検察官や裁判官によって為されます。
示談の締結の有無は、こうした判断に大いに影響を与えます。
被害届の取り消し
被害届というのは、犯罪の被害に遭った事実を捜査機関に申告する書類のことを言います。
被害者が捜査機関に被害届を提出すると、警察はそれをきっかけとして犯罪捜査を行い始めます。
示談の条件に被害届を取り下げる旨を盛り込むことができた場合、
被害者が今回の万引き事件について刑事事件として立件することを望んでいない
という証明になります。
窃盗は被害届が取り下げられたからといってそれで全てが終わるというわけではありません。
その後も警察の捜査や刑事手続きは進んでいきます。
しかし、検察官による起訴を行うかどうかの判断に影響をあたえることができ、不起訴処分を獲得できる可能性は大いに高まります。
加害者も、示談の締結によって刑事手続き上有利になりえるということがご理解いただけたかと思います。
では実際、示談の締結を目指そうと思い立ったとき、気になるのは示談金の相場ですよね。
続いては、実際の事例なども取り上げながら、示談金の相場について解説していきます。
万引きの示談金相場はいくら? 実際の事例から学ぶ
万引きの示談金の事例
当サイトでは手軽に示談金の知ることができる機能を用意しています。
こちらで万引きの示談金について参照してみましょう。
万引きにおいては、示談金は被害品の金額とほぼ同額となるケースが多いです。
ただ場合によっては、被害品の金額を大きく上回る金額で示談金が支払われることもあります。
先ほどの事例一覧の中で、被害品の金額約1万円の事件において示談金12万円が支払われた事例がありますね。
この事件では1か月のうちに同じ店に対して4回にわたって万引きが行われており、強い常習性がうかがわれます。
常習性のうかがわれる事件については、量刑上より重い処罰が下される可能性が高く、それを避けるために高額の示談金を支払ったものと推察されます。
万引き行為の態様や、示談しない場合に想定される処罰の重さによっては、示談金が被害品の金額より高額となる場合もあります。
先ほど挙げた事例の他、被害金額よりも示談金が高額となった事例を紹介します。
被害品金額1万円弱に対し、示談金12万円が支払われたケース |
---|
トレーディングカード100枚程度とおにぎり、グラタンなど計1万円弱を4回にわたり万引きした事例。 加害者の父が国立大学教授、加害者本人も有名国立大学に通っており、不起訴処分の獲得を強く望んでいた。 数回にわたり交渉が行われ、12万円で示談成立となった。 |
被害品金額315円に対し、示談金379万円が支払われたケース |
コンビニで雑誌1冊(315円)を万引きした上、防犯カメラから犯行を察知し呼び止めに来た店長を転倒させ、怪我を負わせたという事例。 被害者は、当初万引きのほか暴行でも被害届を出す意向であったが、示談締結に際して暴行の件は被害届を出さない取り決めとなった。 怪我の治療費や慰謝料も含め、計379万円の示談金を支払うということで示談成立となった。 |
万引きの示談金の相場はいくらなのか
「万引きにおける示談金の相場はいくらなのか」
結論から言ってしまうと、事件によりケースバイケースとなります。
ただ、民事裁判上の判例などでは、物に対する慰謝料請求は認められにくく、賠償金額の多くは被害品の金額内に留まります。
示談における示談金の金額は、民事裁判を起こしたときに想定される損害賠償金と全く同じというわけではありません。
しかし示談金の金額を決める際の目安にはなり、民事上想定される賠償金を大きく超える示談金は簡単には払われにくいものと考えられます。
ですから、万引き事件の多くは、被害品の弁償をもって示談締結となる例が多いです。
万引きにおける示談書の書き方を解説! 雛形も紹介! 示談締結の注意点とは
ここからは、実際に示談を締結する際の注意点や、示談の締結に必要不可欠な示談書の作成について解説していきます。
示談締結の流れ
①交渉
まず、万引き事件で示談を締結する際には、被害者の方と交渉を行う必要があります。
交渉の際、被害品が手元にあるならばそのまま返却を行います。
ただ、一度盗まれた被害品はすでに商品価値を無くしていることがほとんどで、商品の買い取りや金額分の弁償を行う必要が出てきます。
この被害品の弁償をもって示談金とするケースが多いですが、被害者の方がそれ以上の金額でないと示談しないと主張する場合もあります。
そういったとき、加害者は示談するメリットを考慮した上で、被害者の方の提示した示談金に応じるか検討することとなります。
交渉の場においては、示談金の金額以外にも、双方様々な取り決めを行います。
具体的には、
- 被害者が加害者を許すこと(宥恕)
- 被害者が加害者に対して、これ以上事件に関する一切の賠償を請求しないこと(清算条項)
- 加害者の、被害店舗の今後の利用を禁止すること
などの取り決めを結ぶことが多いです。
ただ、これらは当事者の話し合いによってそれぞれ決められるものなので、被害者や加害者の意向によっては、これらの条件が盛り込まれないこともあります。
宥恕の有無は、刑事手続きの上でも大きな意味を持ちます。
宥恕は、被害者が加害者の犯行を許し、加害者に対する刑事処罰を望まないということを意味し、被害弁償のみの場合と比べ不起訴となる可能性が高くなります。
加害者側からすると、この条件はぜひ取り付けたいところですが、被害者側の処罰感情や状況によっては困難となる場合もあります。
②示談金の支払い
示談金の金額や示談の条件が確定したら、次は示談金の支払いが行われます。
万引きにおいては、振込ではなく、直接現金で支払われるケースが多いようです。
刑事手続きの中で、通常警察や検察は、被害者に示談の成立の有無や示談金の受領を確認します。
その場で示談金を支払う場合には、受領証や領収証を作成することを忘れないようにしてください。
③示談書への署名、押印
示談金を支払うと同時に示談書への署名や押印も行います。
示談は口頭だけでも成立しますが、示談書は示談が成立したことを証明する証拠として大きな意味を持ちます。
後日、示談の成否をめぐってトラブルが発生したとき、当事者の供述だけでは水掛け論に終わってしまう可能性もあります。
そういったトラブルを回避するためにも、示談書は重要と言えるでしょう。
流れ | 内容 | |
---|---|---|
① | 謝罪・交渉 | 示談金の金額や示談の条件を取り決める |
② | 示談金支払い | 多くは現金で示談金を支払う |
③ | 示談書への署名、押印 | 将来的なトラブルの回避のため、示談書を作成する |
示談締結が拒否される場合
場合によっては示談の締結が拒否されてしまうこともあります。
大型のスーパーや量販店、コンビニ等のチェーン店では、本部の意向で示談には一切応じないという姿勢をとっていることも多いです。
そうした場合、そもそも示談の交渉を行うこと自体が困難となります。
チェーン店等の本部と直接交渉を行うといった手段も考えられなくはないですが、残念ながら成功率は低いと言わざるを得ません。
ただし、示談に一切応じない店舗であっても、被害品の買取りや被害弁償に限ってであれば応じても良いと言ってくれる場合は多いです。
示談締結に至らなくても、被害品の買取りや被害品相当額の被害弁償をしたという事実は、刑事手続きにおいて有利に働く効果があります。
また、謝罪文を作成するのも有効でしょう。
当初は示談交渉に応じない意思を明確にしていた被害者でも、謝罪文を見て示談交渉に応じてもらえたケースもあります。
謝罪文は「お詫びをした」という証拠にもなります。
コピーを検察官や裁判官に提出すれば、反省の状況を知ってもらうことができ、刑事手続きに有利に働くことも考えられます。
一度示談を拒否されてしまっても、相手に対する謝罪と反省の気持ちを持ち続けることが重要です。
謝罪の気持ちが受け入れられて、後から示談交渉に応じてくれる可能性もあります。
また謝罪や弁償等の行動は、たとえ示談に繋がらなくとも刑事処分に影響を与えます。
続いては、具体的にどう示談書を作成すればよいのか、解説していきます。
示談書の書き方
示談書作成においては、
- ① 示談の対象となる事件の内容
- ② 被害者の宥恕(許し)
- ③ 示談金の金額や示談条件
- ④ 清算条項
- ⑤ 日付
⑥両当事者のサイン
が正しく盛り込まれているかどうかという点に気をつけるべきでしょう。
①示談の対象となる事件の内容 |
---|
数年後に示談書を見ても、何のどの事件か特定できるようにします。 「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」を意識してわかりやすく具体的に記します。 |
被害者の宥恕 |
被害者の宥恕があったときには、その旨を記しましょう。 宥恕の有無はその後の刑事手続きに大きな影響を与えます。 |
示談金の金額や示談条件 |
示談金の金額や支払い方法、その他示談の条件を忘れずに記します。 示談書の作成と同時に示談金の支払いを行う場合には、示談書の中に「本日、示談金を受領した」といった文言を入れるのも良いでしょう。 店舗への入店禁止等の条件があれば、具体的に記します。 |
清算条項 |
示談書に記載されたもの以外の賠償義務がないことを記載します。 清算条項が盛り込まれれば、今後民事上の損害賠償の請求をされることはなくなります。 これを入れ忘れると、民事上の紛争を解決したという示談書の最も大きい効果がなくなってしまう恐れがあるので必ず入れるようにします。 |
日付 |
時系列が争点になったとき、この示談書作成日付が重要な証拠になります。 後から何らかのトラブルが起こってしまった時に備え、書いていたほうが無難です。 |
両当事者のサイン |
サインは手書きで行います。 押印は必須ではありませんが、慣例上押したほうが無難と言えるでしょう。 |
⑥の補足として、サインする際の注意点も確認しておきます。
幼児や子供など、法律上、行為能力に制限がある人にサインをしてもらう際には注意が必要です。
また、未成年にサインさせても、その示談書は取り消される可能性があります。
未成年者との示談を有効にしたい場合には、法定代理人(通常は両親)と示談する必要があります。
また、詐欺や脅迫によってサインをした場合にも示談は取り消されることになります。
刑事事件において示談書を有効なものとするときには、両当事者のサインがきちんと有効なものであるか確認するべきでしょう。
さらに詳しく示談書の書き方について知りたい方はこちらの記事も参照してください。
示談書の雛形
気をつけるべき点、盛り込むべき内容等を知識として身につけたとしても、いざ示談書を作成するとなると戸惑ってしまうかと思います。
当サイトでは、万引き事件における示談書の雛形を用意しています。
こちらの雛形は弁護士の監修のもとで作成されました。
ご自身の事件に合わせて一部文言を適宜改変するだけで、有用性の高い示談書を作成することができます。
「自分の子供が万引きしてしまった…」 未成年の万引きにおける示談
万引きには、未成年の子供も軽い気持ちで手を染めてしまう犯罪、というイメージもあります。
子供の万引きにおいては、逮捕の流れや示談の締結について、大人と違う部分はあるのでしょうか?
ここで解説していきます。
子供の万引きにおける示談。大人の場合とどう違う?
まず20歳未満の未成年が犯罪行為を行ったとき、少年法によって大人とは違う逮捕の流れを経ることになります。
少年が逮捕された場合には、警察官や検察官は事件を家庭裁判所に送ります。(家裁送致)
その後家庭裁判所で調査や審判が行われ、上記イラストのような処分が下されます。
処分の内容についてひとつずつ見ていきましょう。
保護観察 |
---|
保護観察官や保護司の指導・監督を受けさせながら社会生活の中で更生に努めさせる。 |
少年院送致 |
少年院に送致して矯正教育を行う。 |
児童自立支援施設等送致 |
比較的低年齢の少年について、開放的な自立支援施設に入所させ、生活指導を行う。 |
検察官送致 |
少年が14歳以上で、かつ刑罰を科するのが相当だと判断されたとき、事件を検察官に送致。 |
都道府県知事または児童相談所長送致 |
都道府県知事または児童相談所長に事件を送致し、児童福祉機関の指導にゆだねる。 |
不処分 |
裁判官や調査官による訓戒や指導等を行ったうえで、少年を保護処分に付さない。 |
審判不開始 |
裁判官や調査官による訓戒や指導等を行ったうえで、審判を開始せずに調査のみ行って手続きを終える。 |
重要なのは、未成年の犯罪は基本的にその全てが家庭裁判所に送致されるという点です。
これを全件送致主義と言い、少年法の41条、42条に定められています。
(司法警察員の送致)
第四十一条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
(検察官の送致)
第四十二条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
2 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。
出典:少年法41条、42条
このように家庭裁判所への送致は法律で義務付けられています。
たとえ被害者と示談が取り交わされていたのだとしても、子供の万引きは大人の万引きにおける微罪処分のように、警察の中だけで事件が終わるといった展開にはなり得ないということです。
この規定は、少年法が非行少年の更生や矯正、環境の調整を目的に制定された法律であることに由来しています。
捜査機関は捜査のプロでありますが、少年の非行についてのプロではありません。
少年法の理念である青少年の健全化には、少年の問題性を調査、判断するスタッフが必要であり、家庭裁判所はそういった専門的なスタッフを擁する機関となります。
全件送致主義は、子供の犯罪行為に対してはこうした専門家の判断を仰ぐことが適当であるという考え方により、採用されているのです。
ただ示談の締結が全く無駄かと言えば、そのようなことはありません。
例えば、事件が警察沙汰になる前に示談を締結すれば、事件を大事にせず収束させることができるかもしれないという点については大人の万引きと変わりません。
また逮捕された後であっても、示談の締結の有無は家庭裁判所の判断に影響を与えます。
反省の態度や弁償、謝罪が尽くされていれば、より軽い処分となる可能性は上がります。
ただ、示談金の金額については注意が必要です。
学校や警察に連絡してほしくないという意向が強ければ、被害金額を大きく上回る金額で示談することになる場合も考えられます。
万引きの示談についてのお悩みは弁護士に相談!
ここまで、弁護士の解説とともにお送りしました。
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最後に弁護士からメッセージ
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万引きの示談についてお悩みの皆さん。
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まとめ
今回は万引きの示談について解説してきました。
万引きの示談についてのまとめ
- 万引きは窃盗罪。不起訴となる場合は多いが、事件の性質によっては起訴、実刑もあり得る。
- 刑事事件であっても、示談を締結することによって、加害者の刑事処分に有利な影響を与えることができる。
- 示談金の相場は被害品の金額と同額となることが多いが、事件の様態によって例外もある。
- 示談書の作成においては、気をつけるべきポイントを見落とさないよう注意が必要である。
- 未成年の万引きでは、基本的に全事件が家庭裁判所に送致される。
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