逮捕から起訴までの期間|48時間→24時間→10日間の謎にせまる
逮捕から起訴までは、どのくらいの期間ですすんでいくのでしょうか。
刑事事件の流れに沿って解説をすすめていきたいと思います。
- 逮捕→起訴→裁判の基本の流れ
- 48時間・24時間・10日間の根拠とは
- 逮捕から起訴までの流れを模擬体験
本日は、逮捕や起訴といった刑事事件にくわしい法律の専門家にお越しいただいています。
アトム法律事務所の弁護士にお話をうかがっていきたいと思います。
目次
逮捕から起訴そして裁判…基本の流れを確認
逮捕がおこなわれるような刑事事件では、基本的な流れが決まっています。
こちらをご覧ください。
逮捕・勾留された場合の、刑事事件の手続きの流れです。
警察署の留置場に入れられています。
いつまで続くのかと考えると、不安になるかもしれませんね。
このような留置場での生活はいつまでおこなわれるのか、法律で期間が定められています。
刑事手続きの段階ごとに、期間がもうけられています。
逮捕から送致まで | 48時間以内 |
---|---|
送致から勾留請求まで | 24時間以内 |
勾留期間 | 10日間 |
勾留期間の延長 | 10日間以内 |
それぞれの期間についてくわしくみていきたいと思います。
逮捕から送致までの期間「48時間」
「48時間」という期間の根拠
逮捕されたあと、「48時間」がポイントになるということを聞いたことありませんか。
「48時間」とは、逮捕されてから送致されるまでの期間です。
逮捕~送致までの期間
48時間
では、この48時間という根拠はどこからきているのでしょうか。
法律を確認してみました。
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、(略)被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
出典:刑事訴訟法第203条1項
「四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」とあります。
48時間という期間の根拠が見つかりました。
テレビやネットのニュースでは、送致のことをしばしば「送検」と表現している場合があります。
こちらをご覧ください。
走行中の東海道新幹線内で9日夜、男女3人が刃物で襲われ男性が死亡した事件で、神奈川県警は、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した無職(略)について、容疑を殺人に切り替えて11日に送検した。(略)
出典:朝日新聞(2018年6月11日12時05分)
「送検した。」とありますね。
検察官に送致する略語だと考えられますが、これは俗称です。
法律上、正確には「送致」といいます。
逮捕からの期間は留置場で過ごす
警察に逮捕されてからの期間は、留置場での生活がはじまります。
警察署では、刑事からの厳しい取り調べが待ちうけています。
取り調べ
- ① どのような犯罪で逮捕されたのか
- ② 弁護士を選任する権利があること
- ③ 弁解の機会(言い分を話す機会)が与えられる
取り調べの際には、このような説明がおこなわれます。
留置場では、制限されることが多い生活になります。
ですが、最低限の生活を送ることはできるようです。
食事
✔栄養バランスの取れた食事が提供される |
入浴
✔施設によって運営は異なるが、5日に1回のこともある |
環境
✔冷暖房が整っている留置場も多い |
ある程度の生活をおくることはできそうです。
留置場生活についてくわしくはこちら
送致から勾留請求までの期間「24時間」
「24時間」という期間の根拠
送致されたあと、「24時間」が重要になってきます。
この期間は、送致されてから勾留請求されるまでの期間です。
送致~勾留請求までの期間
24時間
では、この24時間という根拠は根拠はどこにあるのでしょうか。
法律を確認してみました。
検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、(略)被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
出典:刑事訴訟法第205条1項
「二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」とあります。
24時間という期間の根拠が見つかりました。
事件の送致をうけた検察官によって、次のいずれかが決められます。
- 勾留請求される
- 起訴される
- 釈放される
検察官は24時間以内に、いずれかの処分を決定します。
検察官が処分を決定する期間が24時間ですが、このあいだは何をすることになるのでしょうか。
つづいては、勾留請求までの期間にすることについて解説していきます。
勾留請求までの期間は何をする?
勾留請求されるまでの期間である24時間は、検察官による取り調べがおこなわれます。
再度、検察官に対して弁解の機会が与えられます。
身体拘束をつづける「勾留」をしなければならないような事件なのかという点を、検察官によって検討されます。
勾留請求されるポイント
- 住居不定である
- 証拠隠滅のおそれがある
- 逃亡のおそれがある
犯罪をおこなったと疑うに足りる相当な理由があり、かつ、上記のいずれかに該当する必要が勾留にはあります。
このように、検察官によって勾留すべきであると検討されると勾留請求がおこなわれます。
検察官から勾留請求をうけた裁判官によって、勾留質問がおこなわれます。
あらためて、裁判官から事件に対する言い分などを聞かれます。
検察官の主張どおり勾留すべきと裁判官に判断されると、勾留決定となります。
勾留が決定すると、その事実を家族などに連絡することを依頼できます。
裁判所から、勾留したことの通知が家族などに送られます。
被疑者勾留の期間は「10日間」
「10日間」という勾留期間の根拠
勾留されることになると、その期間は「10日間」におよびます。
勾留期間
10日間
では、この10日間という根拠はどこからきているのでしょうか。
法律を確認してみました。
前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
出典:刑事訴訟法第208条1項
勾留期間は、逮捕期間につづいて警察署の留置場で生活を送ることになります。
勾留期間中には、検察官から取り調べを受けることになります。
ちなみに…
勾留といっても、ここでいう逮捕につづく勾留は「被疑者勾留」のことです。
一方、起訴されると被疑者の立場から被告人になります。
被告人の段階で勾留されつづけることになると「被告人勾留」といいます。
言葉が似ていて勘違いされやすいです。
保釈請求できるのは、被告人勾留の段階です。
被告人勾留は、10日間ではなく「1ヶ月ごと」に勾留期間が延長される可能性があります。
- 被疑者勾留は、逮捕につづく身体拘束の期間
- 被告人勾留は、起訴されたあとにおこなわれる身体拘束の期間
被疑者勾留と被告人勾留の違いをおさえておきましょう。
勾留期間におこなわれる取り調べ
勾留期間中には、警察でおこなわれた取り調べをもとに検察官によって再度の取り調べがおこなわれます。
起訴するかどうかの判断をくだすための、重要な取り調べです。
検察官は、警察官によっておこなわれた取り調べが適正なものであったかどうかを確認するという役割も担っています。
「警察でも同じことを話したのに、また話さないといけないの…?」
「なんども同じことを聞かれて面倒だな…」
このように感じられることもあると思いますが、警察と検察での取り調べに食い違いのないように話すようにしましょう。
検察官の取り調べに対しては、事件の記憶を正確に話すようにしましょう。
特別な事情がないかぎり、検察官の誘導にのせられたり、記憶とはちがう内容を話さないように注意してください。
場合によっては、黙秘権を有効に活用することも大切です。
黙秘権とは、話したくないことは話さなくてもいいという権利です。
「話したくないです。」
「言いたくないです。」
このように、回答を拒絶することもできます。
そもそも、記憶にないということもあると思います。
そのようなときはあいまいな答え方をせず、「覚えていません。」と答えることもよいでしょう。
勾留期間の延長から起訴まで「10日間以内」
「10日間以内」という延長期間の根拠
勾留期間が延長されることになると、その期間は「10日間以内」におよびます。
勾留期間の延長
10日間以内
では、この10日間以内という根拠はどこにあるのでしょうか。
法律を確認してみました。
裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。
この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
出典:刑事訴訟法第208条2項
「期間の延長は、通じて十日を超えることができない。」との根拠を見つけることができました。
勾留延長の期間は何をする?
勾留期間が延長されたら、その期間は何をするのでしょうか。
勾留が延長された期間には、捜査が引き続きおこなわれます。
勾留期間の延長は、「やむを得ない事由」がある場合にのみ認められています。
やむを得ない事由とは、いったいどのような事由なのでしょうか。
やむを得ない事由とは
- 共犯者がいるなど、事件が複雑
- 被害者の数が多く、事情聴取が終わってない
- 被害者が遠方に住んでいて事情聴取が終わっていない
勾留期間中におえられなかった事件の捜査や証拠集めが、延長期間におこなわれることになります。
逮捕から起訴までの期間を模擬体験
ここまでは、逮捕から起訴されるまでの期間に焦点をあてて解説してきました。
期間の根拠などもあわせて確認することができたと思います。
でも…
いまいちイメージがわかないという方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは刑事事件を想定して、手続きの流れをみていきたいと思います。
盗撮の後日逮捕ケースで期間を知る
電車や街中でおきる盗撮事件…
逮捕されたとしたら、どのような期間を経て刑事手続きがすすめられていくのでしょうか。
盗撮事件で逮捕されたというニュースを発見しました。
こちらをご覧ください。
草加署は6日、県迷惑防止条例違反の疑いで、東京都国立市中3丁目、自営業の男(46)を逮捕した。
逮捕容疑は5月18日午後0時半ごろ、草加市内の商業施設店舗で40代女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮した疑い。(略)
被害の届け出を受けた同署が調べていたところ、施設の防犯カメラなどから男が浮上した。(略)
出典:埼玉新聞(2018年6月6日)
盗撮というと現行犯逮捕のイメージが強かったですが、事件から後日に逮捕されることもあるのですね。
防犯カメラの映像が決め手となって逮捕されたようです。
こちらの実際にあった盗撮事件を参考に、逮捕からの期間について考えていきたいと思います。
まず、参考にする盗撮事件の概要を簡単にまとめておきます。
事件の概要 |
---|
5月中旬、ショッピングセンターで女性のスカートの中を盗撮した。 防犯カメラの映像に盗撮中の様子が写っており、逮捕状をもった警察官が6月6日にやってきた。 |
では、逮捕から起訴までの期間を模擬体験してみたいと思います。
日時 | 出来事 | |
---|---|---|
6/6 | PM13:00 | 逮捕される |
6/8 | AM09:00 | 送致される |
PM12:00 | 勾留請求される | |
PM14:00 | 勾留質問をうける | |
PM17:00 | 勾留が決定される | |
6/17 | – | 勾留が延長される |
6/27 | – | 起訴される |
逮捕から起訴までの期間を模擬体験していただきました。
最大で23日間も拘束される可能性があることがお分かりいただけたと思います。
被疑者勾留の状態で起訴されると、被告人勾留に切り替わります。
そうなると保釈申請が認められないかぎり、裁判まで勾留されつづけることになるでしょう。
保釈についてくわしくはこちら
逮捕から起訴までの期間で不安な方は弁護士に相談
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最後に一言アドバイス
最後に一言、弁護士からアドバイスをいただきます。
逮捕・被疑者勾留となれば、原則的に最大で23日間も自由がうばわれることになります。
くわえて、起訴されてしまったらさらに被告人勾留がつづくことになります。
長期間、仕事や学校に行けなくなってしまったら、解雇や退学という可能性も高くなります。
このような事態を回避するためにも、弁護士に相談いただくことは重要なポイントとなります。
弁護士がついていれば、勾留期間が短くなるよう弁護活動に取り組みます。
刑事事件でお悩みの場合は、弁護士を今すぐ探すことからはじめてみましょう。