【盗撮の取り調べ】警察から呼び出しを受けた後の取り調べの流れと内容を解説
2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
盗撮で取り調べを受けることになった!
急にそんな状況になったら焦ってしまいますよね。
そこで「警察」から取り調べを受ける際に知っておきたい全てをまとめてみました。
- 盗撮をした後日に呼び出しを受けた場合の対応。
- 逮捕されて取り調べを受ける場合の「流れや内容。
- 嘘をつくことや、期間の有無、2回目の取り調べで聞かれる内容
などについて、余すことなくお伝えしていきます!
法的部分に関する解説は、刑事事件の経験豊富なアトム法律事務所の弁護士にお願いしていきます。
よろしくお願いします。
取り調べにおける注意点をあらかじめ知ることで、過度に重い刑を回避できる可能性があります。
ご自分の権利を守るためにも、取り調べについてしっかり知っておくことが大切です。
そのため、基礎からしっかりと解説していきます。
目次
盗撮で警察から呼び出しを受けたらどうなる?
いつでも呼び出しを受ける可能性はある!盗撮で呼び出されたときのマナー・服装は?
盗撮をしてしまったが、見つかっていないようだ。
そんな風に思っている方も安心してはいけません。
かなり時間が経った後日に、呼び出しを受けることもあるんです。
現代は監視カメラも多く、後日検証することで犯人が判明する場合も多いんです。
盗撮でなくとも警察や検察から後日呼び出される可能性は常にあります。
いきなり呼び出された場合には、焦ってしまって対応に困ることも多いでしょう。
検察庁から呼び出された場合の流れや持ち物について知りたい方は『【盗撮】検察庁から呼び出し|どんな服装が良い?取り調べが理由はホント?』をご覧ください。
また、どんな服を着ていくべきかすら迷いますよね。
もし服装やマナーでお悩みの方は『検察庁からの呼び出し準備は万端に!服装・髪型、身だしなみを整える』をご覧ください。
呼び出された場合、警察で取り調べを受けることになります。
そこで…
ここからは警察による取り調べについて、しっかりとお伝えしていきます!
警察で盗撮の取り調べを受ける|その内容と流れは?
取り調べってそもそもなに?盗撮取り調べの内容に迫る!
そもそも取り調べとは何なのでしょう。
刑事ドラマでよくみるような「カツ丼!」のようなものなのでしょうか。
警察や検察は捜査のために情報を集めなければいけません。
当事者や事件の関係者の話を聞くことで、証拠をはじめとした各種情報を集めているのです。
因みに
現在カツ丼をおごってもらえることはありません。
利益を渡すことで自白させるなど、真実がねじまげられる可能性があり、不適切なためです。
ですが取り調べ室の雰囲気はドラマと近いものです。
そして取り調べを受ける対象には
被疑者
と
参考人
がいます。
2つの違いと意味については分かりにくい部分も多いです。
因みに、両者とも黙秘権はあります。
その先に違いがあるのですが、黙秘権の意味も含め、後でお話しします。
まずは被疑者と参考人の意味・内容についてみてみましょう。
盗撮の被疑者として警察から取り調べ…
まず被疑者とはどんな人を指すのでしょうか。
被疑者とは、犯罪の嫌疑を受け捜査の対象とされているが、まだ公訴を提起されていない者をいいます。
検察によって公訴は提起されていないけれど、犯罪を犯したと疑われて捜査されている者ということですね。
この被疑者への取り調べについては刑事訴訟法の198条1項に定めがあります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
警察や検察による被疑者の取り調べは、この条文が根拠です。
出頭を求められた被疑者は警察署や検察庁の取調室に向かい、取り調べを受けることになります。
一方
盗撮で逮捕された場合は、留置場に入れられ、そこから取り調べ室に移動して取り調べられることになります。
逮捕された場合と、それ以外の違いについては後でご説明します。
盗撮事件の参考人として警察から取り調べ…
続いて参考人についてみてみましょう。
参考人とは、犯罪捜査のため捜査機関から取調べを受ける被疑者以外の者をいいます。
犯罪の被害者や目撃者等が参考人として呼ばれることがあるでしょう。
刑事訴訟法では223条に参考人についての規定があります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
出典:刑事訴訟法223条1項
盗撮では現行犯逮捕される場合も多いですね。
その際、盗撮を目撃した人や、取り押さえた人が参考人として呼ばれる場合があります。
では被疑者や参考人として取り調べを受ける場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか。
盗撮事件における取り調べの流れは?その結果は後日どんな使われ方をする?
逮捕された場合
逮捕された被疑者の場合には、写真撮影と指紋の採取があります。
それから取調室に連れていかれることになります。
それ以外の者は
参考人や逮捕されていない被疑者は、これらの手続きは踏みません。
直接取調室に向かい、取り調べを受けることになります。
取り調べ室では知っていることを聞かれます。
盗撮の被疑者であれば、
- いつ、どこで、どのような方法で盗撮をしたのか。
- 他にも盗撮をしたことがあるのか。
などということが聞かれるでしょう。
参考人も、
- 目撃したときの状況
- 被害にあったときの状況
などを聞かれることになると思われます。
参考人の中には「忙しいのに…」と思う方もいるようですね。
ですが、このような取り調べの結果が後に大きな影響力を持つことをご存知でしょうか。
取り調べで供述した内容は、供述調書という書面になります。
その書面に署名をすると、後日裁判で証拠として使われることになるのです。
被疑者の場合は、供述内容によって刑が重くなる可能性もあります。
また参考人でも、自分が供述した内容が裁判で証拠となれば責任重大です。
この流れをみると、とても安易に取り調べに臨むことはできません。
様々な点に注意をしながら取り調べを受ける必要があるでしょう。
これらの注意点については次の章で詳しくお伝えします。
盗撮について2回目の取り調べ。警察に何を聞かれる?逮捕は?
逮捕されていない場合、同じ事件について時間をおいて何度か呼び出されることもあるようです。
特に被疑者の場合は、
刑事さんにいきなり逮捕されないかな…。
と不安になってくるもの。
2回目の取り調べでは何を聞かれるのでしょうか。
明日、2回目の取り調べがあるのですが、正直、どう挑んだらよいかわかりません。その日に逮捕されてしまったらどうしようとか、警察の捜査に対して、一回目に混乱の為に言えなかった事や違う事が出てきてしまったらどうしようとかです。
2回目の取り調べでは、
1回目の取り調べで聞けなかった点
や
1回目の取り調べを受けて捜査した結果出てきた疑問点
などが聞かれることが多いようです。
盗撮場所や方法の再確認などがされる可能性があります。
とはいえ
場合によっては逮捕されることもあります。
それは事案によって異なりますから、不安な場合は弁護士に相談しましょう。
盗撮事件について、後日警察から逮捕されることもある?
2回目で逮捕されなくとも、後日逮捕されることももちろん考えられます。
捜査機関が取り調べ結果に基づき証拠を集め、逮捕状を発付してもらうことがあるためです。
これも事案によって可能性が異なりますから、不安なときはあらかじめ弁護士に相談しましょう。
盗撮事件の逮捕の可能性については『盗撮しても逮捕されないって本当?最新ニュースでわかる盗撮での逮捕、その後の人生』を、盗撮で逮捕された後の流れは『盗撮で逮捕された…その後どうなる?拘留(勾留)期間・刑罰・示談・仕事や退学など』で解説しています。
また、盗撮事件の裁判の可能性については『盗撮すると裁判になる?裁判官の盗撮事件や美人キャスター盗撮事件から検証』で解説しているので、続けて見てみると理解が深まるかと思います。
次に…
ではこのような取り調べでは、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
具体的な注意点についてみていきましょう!
警察で盗撮事件の取り調べを受けるときに気を付けるべきポイント
盗撮について黙秘することもできる!
盗撮したよね?認めなさい!
盗撮について否認している場合、こんな風に言われることもあるかもしれません。
ですがこの取り調べ、実は供述するかどうか自由って知ってましたか?
被疑者の場合、刑事訴訟法198条2項によれば、取り調べは「自己の意思に反して供述をする必要」がありません。
取調官の言われるがままに供述する必要はないということですね。
これと似た概念として、黙秘権というものがあります。
不利益な供述とは、自分が刑事責任を負う可能性がある内容の供述です。
「盗撮をしたか否か」という内容は、まさにこの不利益な内容に当たります。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
出典:憲法38条1項
どちらも供述を拒めるという点では同じですね。
もっとも、刑事訴訟法では供述を拒める範囲には限定がありません。
どんな内容の供述でも拒否することができます。
これを「供述拒否権」といいます。
黙秘権 | 供述拒否権 | |
---|---|---|
対象 | 自己に不利益な供述 | あらゆる供述 |
根拠条文 | 憲法38条 | 刑訴法198条2項 |
どちらにせよ、供述を拒否することができるということです。
なお、刑事訴訟法で供述拒否権について記載のある198条2項は「被疑者」を対象にしています。
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
出典:刑事訴訟法198条2項
ただし、これはあくまで供述拒否権を「告知する義務」を捜査機関に課しているにすぎません。
参考人にも憲法上黙秘権がありますし、それ以上に不利益でない供述も拒否できる点にご注意ください。
後で詳しく述べますが、厳密には参考人は呼び出しに応える義務がそもそもありません。
取り調べを受けなくても良いのですから、供述を強要されることも当然ないということになります。
まとめ
被疑者も参考人も、供述を拒否することができる!
もっとも、参考人については刑事訴訟法226条の規定に注意が必要です。
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
出典:刑事訴訟法226条
捜査に欠かせない知識を持っている場合は、証人尋問に呼ばれる可能性があるということです。
証人として出廷した場合、正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだときは刑罰が科されてしまいます。(刑事訴訟法160条1項)。
さらに宣誓をしたうえで、嘘をついた場合には、刑法の偽証罪に問われる可能性すらあります。
もし証人として呼ばれ、どう対応すべきか不安な場合は、専門家の弁護士に相談しましょう。
盗撮事件で、供述調書に安易に署名をしてはいけない!?
また、供述を拒否しなかった場合も気を付けるべき点があります。
上でも述べましたが、供述調書への署名です。
供述調書は自分が話した言葉通りではなく、取調官が読みやすくまとめることがほとんどです。
そのためニュアンスが異なったり、場合によっては供述していない内容が盛り込まれる可能性もあります。
ですが安易に署名してしまえば、その内容を実際に供述した証拠として後の裁判で使われる場合があります。
そのため、供述をしたとしても最後まで気を付けなければなりません。
調書完成後、取調官が読み上げますので、その際に訂正・削除すべきと感じた場合はすぐに申し出る必要があります。
また修正が満足にされない場合は、署名を拒否することも大切ですよ。
盗撮事件の取り調べは拒否できるのか!?
では、そもそも取り調べ自体を拒否することはできるのでしょうか。
取り調べは時間をとられるため、仕事の都合などで拒否したい場合もあるでしょう。
警察から呼び出しを受けた場合に、拒否するのは心理的には抵抗がありますよね。
ですが、法律上しっかりと拒否できると記載されています。
まずは被疑者の場合についてみてみましょう。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法198条1項
逮捕されていない被疑者は出頭を拒み、また取り調べ中いつでも退去ができるとされていますね。
一方
この文言からすれば、逮捕されると取り調べを拒否できないとも思えます。
ですが供述を拒むこと自体はできますので、逮捕された場合は供述拒否で対応することになるでしょう。
次に
参考人についても同様の規定があります。
- 第百九十八条第一項但書及び第三項乃至第五項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
- 出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出典:刑事訴訟法223条2項、198条1項但書
参考人の場合は常に出頭を拒み、またはいつでも退去できます。
もっとも先ほど述べたように、捜査に欠かせない知識を持っている参考人の場合、証人尋問に呼ばれる可能性がある点にはご注意ください。
盗撮事件の取り調べ、その期間や時間は決まっている?
続いて、取り調べに期間や時間の制限はあるのでしょうか。
実は逮捕された被疑者を除き、具体的に制限があるわけではありません。
ですが、不必要に長時間行った場合は、任意の取り調べでも違法とされる可能性があります。
最高裁判所がその旨の判断を示しています。
任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容されるものである
出典:最高裁昭和五七年(あ)第三〇一号同五九年二月二九日第二小法廷決定
任意の取り調べでも、「一般の感覚から外れた態様は許されないよ」ということですね。
そのため、現実でも日中に最高8時間程度で運用されることが多いようです。
とはいえ真夜中に事件が起きたような場合には、引き続き真夜中に取り調べが行われることもあります。
一方
逮捕された被疑者の取り調べについては厳格な期間制限があります。
盗撮で逮捕された場合、身柄を拘束されたまま警察や検察から取り調べられるのは最長で23日間です。
逮捕や時間制限についての詳細を下の記事でまとめています。
詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
もっとも、この期間制限は「身柄を拘束されたまま」取り調べられる場合です。
起訴するかの決定を保留したまま釈放された場合、その後も任意での取り調べが続く可能性もあります。
この場合は期間制限はありませんのでご注意ください。
盗撮の取り調べで嘘をついたらどうなる!?
では最後に、取り調べで嘘をついた場合についてお伝えしていきましょう。
このように思っている方も多いようですね。
特に偽証罪が成立すると思われている方も多いようですね。
ですが、取り調べで嘘をついても偽証罪にはなりません。
偽証罪とは、宣誓をした証人が嘘をついた場合に成立する犯罪だからです。
つまり、裁判に証人として出廷した場合に問題となることです。
ただし
参考人の場合には注意が必要です。
たとえば、警察が探している犯人の所在について嘘をついた場合などは、犯人隠避罪に問われる場合もあります。
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
出典:刑法103条
ですが、どんな発言が、どんな結果を生むか、具体的には分からないですよね。
不安なときはぜひ弁護士に相談しましょう。
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対面相談では、盗撮にいたるまでの経緯や現在おかれている状況を弁護士に話します。
そして、今後の取り調べにおける注意点をあらかじめ聞いて準備をすることになります。
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特に盗撮事件の解決実績を掲げる弁護士事務所を選べばより安心ですね。
ぜひご活用ください!
最後に一言アドバイス
いかがでしたでしょうか。
最後にアトム法律事務所の弁護士からひと言アドバイスをお願いします。
最近では、盗撮カメラを解析し、被疑者が後日取り調べを受けるケースも増えています。
監視カメラの高画質化、増加によっても、後日発覚する事件が増加する可能性があります。
いきなり取り調べを受けても、供述拒否権や署名拒否について知っておけば過度に重い刑を回避できることもあります。
そのため、取り調べが始まる前から注意点を知っておくことが何よりも大切。
具体的事案に適した対応がありますので、不安な場合はとにかくすぐ弁護士にご相談ください。