逮捕と送致の違い|警察→検察への流れと送致の意味を解説!
逮捕と送致の違いについて解説します。
ポイント解説
- 逮捕と送致の意味を知って違いを理解する
- 警察に逮捕されたら必ず検察官に送致される?
- 逮捕・送致~起訴までの流れ
法律部分の解説は、刑事事件をあつかう弁護士にお願いしています。
逮捕されたとしたら、ご不安な日々を過ごされていると思います。
「逮捕されると送致されてしまうのか。」
「そもそも、送致とは何なのか。」
このような点について、分かりやすく解説していきたいと思います。
目次
【逮捕の意味】逮捕するのは警察だけではない?
逮捕とは捜査手段の一種
逮捕に関するニュースは、テレビやネットのなかでよく目にします。
もしかすると、逮捕について目にしない日はないというくらいかもしれません。
13歳未満の児童に性的暴行を加えたとして、三重県警鈴鹿署は21日(略)を強制性交等の疑いで逮捕し、発表した。(略)
出典:朝日新聞(2018年6月21日13時28分)
逮捕というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。
警察に手錠をかけられたり、パトカーに乗せられたりして、警察署に連れていかれるシーンが思い出されるかもしれませんね。
そもそも、逮捕とはどのような意味なのでしょうか。
手錠をかけられることや、パトカーに乗せられることが逮捕なのでしょうか。
逮捕の意味
犯罪を犯したと疑われるに足りる相当な理由がある場合、その人物の身体の自由をうばい行う捜査方法
逮捕は、捜査手段の一種としておこなわれます。
事件がおきると、どんな犯人も逮捕されてしまうと誤解されることがあります。
逮捕は、「逮捕する理由」と「逮捕する必要性」がそろってはじめて逮捕することができます。
逮捕する理由と必要性とは、つぎの表のとおりです。
逮捕する理由と必要性
理由 | 犯罪を犯したと疑われるに足りる相当な理由がある |
---|---|
必要性※ | 住居不定である / 逃亡のおそれがある / 証拠隠滅のおそれがある |
逮捕する理由があっても、必要性がなければ逮捕されることはありません。
そのような場合は、自宅にいながら事件が捜査されることになるでしょう。
逮捕の理由と必要性についてくわしくはこちら
多くの場合、逮捕は「警察官」によっておこなわれます。
逮捕は、逮捕状という逮捕を許可する令状にもとづいておこなわれます。
逮捕状にもとづいておこなわれるのが、逮捕の原則です。
逮捕の多くが警察によっておこなわれますが、逮捕状を請求できるのは警察だけではありません。
逮捕状を請求できる人
- 検察官
- 検察事務官
- 司法警察職員(警察官)
検察官や検察事務官も、逮捕状を請求することができます。
ちなみに…
逮捕は逮捕状にもとづいていることが原則ですが、例外的に逮捕状なしの逮捕も認められる場合があります。
通常逮捕 | 現行犯逮捕 | 緊急逮捕 | |
---|---|---|---|
逮捕状 | 必要 | 不要 | 必要※ |
逮捕の要件 | 事件発生から後日 | 犯罪が行われている最中、またはその直後 | 一定の犯罪において、犯行直後に犯人が逃走するなどの「急速を要する」場合 |
逮捕には、このように種類があります。
現行犯逮捕であれば、逮捕状をもたないどんな人も逮捕することができます。
逮捕についてくわしくはこちら
検察や検察事務官がおこなう逮捕とは
逮捕は、警察以外にも検察官や検察事務官もおこなうことがあると先ほどお伝えしました。
実際のニュースでも、検察官が逮捕をおこなっている事件を見つけることができました。
こちらをご覧ください。
東証1部上場の大手コイルメーカー(略)の未公表情報を基に株取引を行ったとして、東京地検特捜部は29日、金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で元同社社外取締役(略)を逮捕した。(略)
出典:時事通信社(2018/05/29-15:47)
インサイダー取引をおこない、逮捕されたという事件のニュースです。
注目していただきたいポイントは、「東京地検特捜部」が逮捕したということです。
特捜部(特別捜査部)という部門があることをご存知でしょうか。
特捜部(特別捜査部)
検察庁の部門の一つで、脱税事件・汚職事件・大型の企業犯罪などをあつかう
東京・大阪・名古屋の地方検察庁にだけに置かれる部門です。
事件の多くは警察が第一次的な捜査をおこなった後、検察官が事件をどのようにあつかうか判断することになります。
一方、特定の事件においては検察官だけが独自に捜査をすすめることがあります。
【参考】「検察に逮捕されるケース|警察の逮捕と流れに違いはある?時間制限の有無」
【送致の意味】検察に事件が送られる?
送致とは事件が検察に引き継がれること?
送致という言葉の意味は、あまりニュースなどで目にする機会がないかもしれません。
もしかすると、あまりなじみがない言葉かもしれませんね。
法律の用語辞典を調べてみます。
被疑者又は少年、書類又は証拠物、事件等を検察官、家庭裁判所、少年院等に送り届けること。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第4版
送致の意味は一般的な使い方として、ある機関が法令にもとづいて案件を処理する別の機関に移転する手続きをさすことがあります。
本記事では…
「刑事事件における送致」
について解説をしていきたいと思います。
それでは、刑事訴訟法を確認してみます。
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。(略)
出典:刑事訴訟法第246条
司法警察員は、事件を検察官に送致しなけらばならないとあります。
司法警察員とは警察のことです。
刑事手続きにおいて、逮捕につづいておこなわれるのが送致の一つということでした。
送致の意味
刑事事件の被疑者本人や、刑事事件の証拠や資料などを検察官に引き継ぐこと
送致書・送致書類や送致番号とは?
警察に事件を捜査されると、その内容は送致書類としてまとめられて検察官へ送致されます。
どのような事件なのかまとめられた書面は「送致書」と呼ばれています。
このような送致書・送致書類は、警察など捜査機関の内部資料であるため通常見ることはできません。
調査の結果、送致書に書かれている内容が少しだけ判明しました。
✔罪名・罰条 ✔被疑者の氏名・住居・年齢 ✔逮捕の日時 |
など、このような項目が記載されているようです。
事件は、送致番号で管理されています。
個別の番号が事件に振られ、これにより事件が特定できるようにされています。
逮捕されたら必ず送致される?送致されない?
逮捕されたら、
- 送致されることになるのか
- 送致されないことになるのか
どちらになるのか気になります。
必ず送致されてしまうものなのでしょうか。
逮捕されると基本的には、送致の段取りが組まれることになる
その根拠をみておきましょう。
送致について、もう一度、刑事訴訟法をおさらいしてみましょう。
法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
出典:刑事訴訟法第246条
犯罪の捜査をしたときは、検察官に送致しなけらばならないという根拠を見つけることができました。
ですが、「特別の定のある場合を除いて」という部分が気になります。
逮捕されても検察に送致されないというケースも中にはあるようです。
「微罪処分」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ここからは、逮捕されても送致されない微罪処分について解説していきたいと思います。
逮捕されても送致されない微罪処分とは
逮捕されても送致されないような事件があることをご存知でしょうか。
「微罪処分」という言葉があります。
はじめて聞いたという方も多いかもしれませんね。
微罪処分とはいったいどのような意味なのでしょうか。
微罪処分とは
あらかじめ検察官によって指定された犯罪事実が極めて軽微であるような事件は、送致の手続きがとられず事件が終了すること
初犯であったり、素行不良でないような事件では、微罪処分となることがあるようです。
微罪処分になると、送致はされません。
ただ、月に一度「微罪処分事件報告書」に事件がまとめられて、警察から検察官に報告がおこなわれます。
微罪処分となったという前歴が捜査機関の資料に残ることになります。
【参考】「微罪処分ならどうなる?|万引きで逮捕されたその後の流れは?逮捕と微罪処分の関係」
逮捕・送致・勾留・起訴…刑事事件の流れをチェック
刑事事件が、捜査機関に発覚して捜査が開始されることになったら…
どのような流れで刑事手続きはすすんでいくのでしょうか。
刑事手続きの流れをチェックしていきたいと思います。
身柄事件と在宅事件
刑事事件は、大きく二つの流れに分かれて進んでいくことになります。
逮捕されるような事件は身柄事件、逮捕されないような事件は在宅事件と呼ばれています。
身柄事件 | 留置場などの刑事施設に入れられた状態で、事件の捜査をうける |
---|---|
在宅事件 | 非拘束の状態で、事件の捜査をうける |
どちらの事件も、起訴された後のながれは同じようにすすめられていきます。
ただ、起訴されるまでの流れは身柄事件と在宅事件では「時間制限」という点に違いがあります。
在宅事件は、時間制限は特になく事件の捜査がおこなわれます。
一方、身柄事件は厳しい時間制限のなかで刑事手続きがすすめられていきます。
身柄事件の流れでは、送致という検察官に引き渡す手続きがあるかどうかで少し期間が変わってきます。
- 警察による逮捕・送致・勾留・起訴の流れ
- 検察による逮捕・送致・勾留・起訴の流れ
警察と検察それぞれの逮捕後の流れを解説していきたいと思います。
警察による逮捕・送致・勾留・起訴の流れ
警察による逮捕・送致・勾留・起訴の流れはつぎのとおりです。
警察に逮捕されたあとは、検察官へ「48時間」以内に事件が引き継がれます。
送致をうけた検察官によって「24時間」以内に
- 起訴される
- 釈放される
- 勾留請求される
いずれかが決められます。
勾留が決定すると「10日間」、勾留延長が決定するとさらに「10日間以内」の期間、勾留されることになります。
警察による逮捕から勾留延長までおよぶことになれば、起訴されるまで原則として最大で23日間、自由がうばわれることになります。
社会生活への影響をすこしでもおさえるためにも、早期から釈放にむけた活動をおこなうことが充康です。
検察や検察事務官による逮捕・送致・勾留・起訴の流れ
検察による逮捕・送致・勾留・起訴の流れはつぎのとおりです。
検察官に引き継ぐ送致の手続きがないのが、検察官による逮捕の特徴です。
検察による逮捕から勾留延長までおよぶことになれば、起訴されるまで原則として最大22日間、自由がうばわれることになります。
警察からの引き継がれる送致がないので、手続きの期間は24時間短くなっています。
逮捕・送致されてお困りの場合は弁護士に相談
息子が逮捕されたらスマホを使って弁護士とつながる
「息子さんを逮捕しました。」
突然、警察からこのような電話がかかってきたら不安でたまらないと思います。
弁護士に話を聞いてもらいたいと思っても…
「時間がない」
「家を留守にできない」
このようなさまざまな理由から、今すぐ弁護士に相談できないとお悩みの方も多いです。
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夫が送致されることになってしまったら、
「会社に出社できずこのままクビになる?」
「起訴されてしまったら前科がついてしまうのか?」
不安なことがたくさんあると思います。
大切な家族のことだから、しっかりと相談できる弁護士に相談したいと思います。
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最後に一言アドバイス
最後に一言、弁護士からアドバイスをいただきます。
逮捕されると、一定の犯罪をのぞいては基本的に送致されることになります。
送致をうけた検察官によって勾留請求されると、起訴されるまで原則として最大23日間も留置場での生活を余儀なくされます。
影響を最小限におさえるためにも、早め早めの対策が重要です。
弁護士による活動が早ければ早いほど、釈放に向けた様々な活動が期待できます。
一日も早い社会復帰を目指していきましょう。