弁護士なしで示談は応じてもらえない?示談拒否のリスクヘッジ
示談に応じてもらえない理由は、「弁護士なし」だから…?
ご自身で示談交渉をしようとお考えの方は、弁護士なしによるリスクをきちんと理解しておく必要があると思います。
そこで本日は、弁護士なしと弁護士ありでの示談交渉の違いについて解説していきたいと思います。
- 示談は弁護士なしでも交渉できる?
- 示談なしでおこるリスクとは
- 示談するならまずは謝罪から
示談に応じてもらえないかもしれないと不安をお持ちの方は必見の内容になっています。
法律面の解説には、アトム法律事務所の弁護士にお願いしています。
目次
示談は弁護士なしでも可能?示談の意味から調査
示談交渉は弁護士なしでもおこなうことはできるのでしょうか。
示談の意味からおさえていきたいと思います。
【意味解説】示談は当事者同士の話し合い
刑事事件が起こると、「示談」という言葉はセットでよく耳にするのではないでしょうか。
示談についてあらためて考えてみると、よく知らないかもしれません。
示談の意味
争いの当事者同士による話し合いによって、民事上の争いを終結させる合意を結ぶこと
さまざまな事件で、示談はおこなわれています。
- 離婚
- 交通事故
- 盗撮
- 痴漢
- 万引き
など…
示談は、あらゆる事件でおこなわれます。
争いごとの解決方法というと、裁判をイメージされることも多いかもしれません。
もっとも、争いごとの解決方法は裁判以外にもあり、そのうちの一つが示談です。
あらゆる事件における民事上のトラブルの当事者同士が、話し合いで解決を図ろうとするのが示談です。
当事者同士の話し合いによるものなので、弁護士なしでも示談は可能です。
弁護士なしでも必要な示談の条件とは?
示談は、弁護士なしでもご自身でおこなうことはできます。
弁護士なしの場合でも、弁護士がいる場合でも、刑事事件においては必要となる示談の条件があります。
示談の条件とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
解説していきたいと思います。
示談の条件とは?
- 被害の回復またはその見込み
- 被害者の許し(宥恕)
- 清算条項
このような項目が示談の条件にふくまれていれば、刑事手続きに影響をおよぼすことができる可能性が高まります。
示談の条件について解説をくわえます。
「被害の回復またはその見込み」とは、被害回復を示談金によって実現しようとすることです。
「被害者の許し(宥恕)」とは、加害者への処罰はのぞまないという被害者の意思表示です。
「清算条項」とは、示談書に記載されている内容以外の請求はおこなわないことです。
どの刑事事件でも、基本的にはこれらの条件で示談内容が構成されることがほとんどだと思います。
事件によっては示談成立が影響して、
- 刑事事件化しない
- 逮捕されない
- 釈放される
- 不起訴になる
- 量刑が軽くなる
このような可能性が期待できます。
示談に応じてもらえない?弁護士なしでおこるリスク5選
弁護士なしでの示談交渉は、さまざまなリスクが考えられます。
おこりえるリスクを解説していきたいと思います。
弁護士なし示談①示談交渉にさえ応じてもらえない?
弁護士なしだと、示談交渉にさえ応じてもらえないという可能性が考えられます。
- 暴行事件、傷害事件
- 性犯罪
- 殺人未遂
など、事件後も被害者は、肉体的・精神的な痛みに耐えておられることが多くあります。
このような場合、加害者が直接、被害者と連絡をとればさらに被害者を苦しめる事態になりかねません。
捜査機関は、被害者の連絡先などを加害者に教えることはないでしょう。
被害者が加害者との接触を一切拒否しており、そもそも示談交渉さえ申し込めないという状況になることがあります。
たとえ加害者が直接示談交渉できることになり、誠実に対応しているつもりでも、被害者は恐怖を感じてしまう可能性があります。
「示談しないと、また同じような目に合わされるのではないだろうか?」
被害者は、示談交渉についてこのような受け止め方をし、脅迫されていると感じてしまうことも考えられます。
はじめは示談交渉をするつもりでも、あとからやはり示談に応じてもらえないという事態に陥りかねません。
犯罪の内容にもよりますが、捜査機関は加害者による被害者への口封じにも注意しています。
被害者との直接の示談が、「罪証隠滅」や「証人威迫」などと受け取られ、逮捕されてしまう可能性が高まります。
このような事態を回避するには、弁護士の存在が大きいと思います。
第三者的な立場である弁護士にかぎっては、捜査機関から被害者の連絡先を入手できることがあります。
弁護士を介しての示談交渉はこのようにすすめられます。
示談交渉は、弁護士なしで被害者と示談すること自体は可能です。
事件の内容によっては、弁護士なしで示談交渉をすすめたほうが円滑なケースもあります。
たとえば…
・家族 ・恋人 ・友人 ・職場や取引先など仕事関係 |
などです。
このように示談が成立して事件が終了しても関係が継続するような場合は、弁護士なしのほうが円満に解決できることもあります。
弁護士が間に入ることで、より敵対してしまう事態に発展することもあるようです。
示談は、争いごとの双方が納得すれば成立します。
事件の内容ごとに弁護士なしの示談ですすめるかどうかの判断が求められます。
弁護士なし示談②逮捕・勾留中は物理的に不可能
逮捕や勾留されている場合、加害者本人が示談交渉することは物理的に不可能です。
こちらをごらんください。
逮捕の流れを示しています。
逮捕・勾留となれば、最長で23日間も留置場などの刑事施設で生活を送ることになります。
逮捕・勾留の流れについてくわしくはこちら
逮捕・勾留中は、被害者はもとより家族とも自由に会うことができません。
弁護士であれば、逮捕中も勾留中も時間の制限をうけずに面会することが可能です。
弁護士を選任すれば、弁護士を介して被害者との示談交渉を代理ですすめてもらえます。
示談交渉のことだけでなく、刑事手続き全般において弁護士は弁護活動によってサポートをおこないます。
事件をおこして困ったと思ったら、示談のこともふくめてすべての不安や疑問は弁護士に相談したほうがいいでしょう。
弁護士なし示談③示談書の書き方が分からない?
弁護士なしで示談をしようとすると、示談書の書き方が分からず困るというケースも多いです。
弁護士なしで示談書を作成するには、自分で調べたり勉強したりする必要がありそうです。
示談書の書式やテンプレートはインターネットや書籍で調べることができます。
このようなものを参考にして、ご自身で示談書を作成することは可能です。
ただ法律の専門知識がないと、法的なリスクがともなう示談書となってしまう可能性が考えられます。
ご自身が作成した示談書を、さいごに弁護士にチェックしてもらうことをおすすめします。
弁護士であれば法律の専門家としての視点から、示談書の意味内容や今後およぶ影響などを考慮して作成することができます。
示談書の書式についてはこちら
弁護士なし示談④妥当な示談金が導き出せない
弁護士なしの示談で困るポイントが、示談金の妥当性についてです。
たとえば、物を壊す器物損壊事件、物を盗む窃盗事件のような場合は、被害にあった物の値段(価値)が一つの指標になると思います。
でもその物が被害者にとって、お金では取り戻せない物だったらどのように考えたらいいのでしょうか。
人を殴って怪我を負わせるような傷害事件では、治療費だけを支払えばいいというわけにもいかないでしょう。
被害者は精神的な傷も負っています。
このような目に見えないものに対しては、算定がむずかしいと思います。
示談金の金額は、民事裁判で認められるような適正な金額が基準とされています。
弁護士であれば過去の判例にもとづいて、示談金の妥当な金額を導き出すことができるでしょう。
判例は一つの基準にはなりますが、事件の内容に沿って総合的に判断する必要があります。
- 被害者への謝罪の気持ちを表したお金
- 示談成立が刑事事件にあたえる影響
このような点もふくめて、示談金は決められることになります。
とはいえ、ご自分がお困りの事件ではどのくらいの示談金が支払われることになるのか気になっていると思います。
そこで、こちらをご利用ください。
こちらは、実際の事件で支払われた示談金例を、事件ごとにまとめています。
示談金が気になるという方は、こちらをご活用ください。
弁護士なし示談⑤精神的に負担がかかる
弁護士なしの示談は、精神的な負担がかかると思います。
事件解決の見通しがたたなければ、日々の生活や仕事にも支障がでることもあるでしょう。
示談交渉は、非常に神経をつかいます。
連絡先の交換から、実際に会ったときのふるまいなど一挙手一投足が注目されることになるでしょう。
弁護士を選任すれば、弁護活動の経験にもとづいたアドバイスをしながら示談交渉をすすめることができます。
代理人として弁護士が示談交渉をおこなう場合は、基本的には弁護士に任せておけば日々の生活や仕事に集中することができます。
弁護士は、心強い存在となってくれるでしょう。
学生時代に法律の勉強をしていて自身があるという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、一度も法律にふれたことがない場合はたくさんご自身で調べて慎重に示談をおこなう必要があり、不安なことが多くなると思います。
精神的な支えという意味でも、弁護士なしの示談より、弁護士をつけた示談をおすすめします。
気になる示談の弁護士費用については『示談交渉を頼むと弁護士費用はいくらかかる?費目ごとに相場を解説』で解説しています。
弁護士なし | 弁護士あり | |
---|---|---|
示談交渉を拒否される | 可能性が高くなる | 可能性が低くなる |
逮捕・勾留中の示談 | できない | できる |
示談書の書き方 | 自分で調べて作成する必要がある | 弁護士に任せられる |
示談金 | 妥当性に欠ける示談金となるリスクがある | 妥当な示談金になる |
精神的な支え | なし | 弁護士に不安なことも相談できる |
弁護士なしでもありでも示談の前は「謝罪」から
示談交渉前にすべき謝罪
弁護士なしでも、弁護士ありでも、示談交渉を申し出る前には「謝罪」することからはじめることが大切です。
示談をとおして被害弁償などを誠実に対応していきたいという思いから、いきなり「示談したい」と言ってしまう方がいらっしゃいます。
このようにいきなり示談を申し出ると、被害者の方の感情を逆なでしてしまったり、誤解を与えるような事態を引き起こしかねません。
示談というと、「お金」で事件をもみ消すといったイメージを持たれていることも少なくありません。
まずは、被害を与えてしまったことに対する真摯な謝罪からはじめましょう。
謝罪をおこなったあとに、具体的にどのように被害を弁償していくのかという点を申し出ることをおすすめします。
被害者の方にとっては直接会いたくないという方もいらっしゃいますし、いきなり訪ねてこられるのも困るという方もいらっしゃると思います。
そこで、謝罪文の作成が重要になってきます。
つぎは、謝罪文について解説をすすめます。
謝罪文を紹介
一度も謝罪文を書いたことがなければ、雰囲気が分からないと書きにくいと思います。
謝罪文の例を紹介します。
参考にごらんください。
謝罪文の例文はこちら
謝罪文の例文の紹介でした。
謝罪文のイメージはつかめたでしょうか。
しかし…
例文は、あくまで参考程度にとどめるようにしてください。
注意ポイント
謝罪文は自分の言葉で、誠実な謝罪の気持ちをつづることが大切
丸写しなどは絶対にせず、ご自分の言葉で書くようにしてください。
示談に応じてもらえないなら弁護士に相談
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最後に一言アドバイス
最後に一言、弁護士からアドバイスをいただきます。
弁護士なしの示談交渉は、被害者との関係性によっては円満にすすむこともあります。
多くのケースでは、弁護士なしで加害者が被害者と直接、接触すること自体、拒否されることになるでしょう。
弁護士を介しての示談となれば、法的なリスクを回避しつつスムーズに交渉をおこなうことができます。
事件化している場合の示談は、起訴前までにおこなうことが第一のポイントとなります。
無理にお一人で示談をしようとするのではなく、困った時は弁護士にご相談ください。
弁護士はあなたのお悩みのサポートに尽力します。
まとめ
示談なしですすめる示談交渉のリスクや注意点を中心に解説してきました。
示談に応じてもらえないとお悩みの方は、弁護士に今すぐ相談してみましょう。
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なお、示談交渉に応じてもらったものの、示談交渉がうまくいっていない場合は『【示談決裂】示談に応じない被害者への対応は?刑事処分に影響する?』をご覧ください。
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