逮捕後の流れを図解|起訴後の流れまで網羅!警察署での面会方法やその後の生活も解説
逮捕後は、警察署で取調べを受けた後、48時間以内に検察庁に事件が送られ、24時間以内に10日間の勾留をすべきかが決定される流れになります。逮捕されたからと言って必ず前科がつくわけではありません。また、必ず解雇されるとも限りません。前科や解雇を防ぐには、逮捕後早急に弁護士に依頼することが重要です。
逮捕後は48時間以内に送検され、勾留か決められます。住所不定、証拠隠滅の恐れ、逃亡の恐れのどれかが認められると勾留されます。軽微な犯罪では釈放される事も多いですが、態様によっては身柄拘束が続く恐れもあります。弁護士に家族の支援体制を整える等の勾留を防ぐ活動を依頼することで、早期釈放の可能性が高まります。
逮捕後の流れで重要なのは、弁護士に初回接見を依頼し、警察署の留置場で面会を受けることです。逮捕後72時間の間は家族も面会できず、弁護士しか会えません。できるだけ早く接見してもらい、取調べ対応や黙秘権の行使方法についてアドバイスを受けることが、その後の刑事事件の流れや最終処分に大きく影響します。
目次
逮捕後の流れ|勾留とは?起訴とは?逮捕後どうなるかを図解
逮捕には、現行犯逮捕、通常逮捕(後日逮捕)、緊急逮捕といった種類があります。
いずれにせよ、逮捕が行われると被疑者は警察署に連行され、警察署内の留置場に収監されてしまいます。
逮捕の行われる要件や、逮捕の種類などについてくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
それでは、逮捕後はどういった流れとなっているのかについて解説していきましょう。
逮捕後の警察による送致とは|48時間の時間制限
逮捕後の流れを図解すると以下のイラストのようになります。
この流れに沿い、ひとつずつ解説していきましょう。
まず、逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察官に「送致」します。
送致とは?
犯罪の被疑者を特定し留置場へ収監した警察ですが、実は彼らはこのまま裁判にまで関われるわけではありません。
刑事事件における警察の仕事は、あくまで被疑者の検挙や捜査なのです。
被疑者について裁判にかけ、刑事責任を追及することができるのは原則「検察官」のみです。
つまり、被疑者の刑事責任を追及するためには、警察官だけでなく検察官にも事件の内容を知らせる必要があるわけです。
そこで刑事訴訟法では、警察官は原則的に検察官に事件を「送致しなければならない」と定められています。
送致とは
警察が事件の証拠物や被疑者の身柄などを検察官に引き継ぐこと
送致が行われることにより、検察官が事件を認知するにいたります。
送致が行われると被疑者の身柄は一度、検察庁の方に移送され、事件担当の検察官と面会をすることになります。
面会終了後には、またすぐに警察署内の留置場に連れ戻されます。
送致の実際
送致が行われたあとも、実務上、被疑者は留置場に身体拘束をうけたままですし、警察による取り調べも継続されます。
「身柄や証拠物を検察官に引き継ぐ」というのはあくまで手続き上の話であり、留置場所が変わるといったことはないのです。
送致されないケース「微罪処分」
逮捕後48時間以内に、警察官は「原則」検察官に事件を送致する
原則というただし書きの通り、刑事訴訟法では、検察官の指定した一定の犯罪について、検察に送致しなくてもよいという規定があります。
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは(略)速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
出典:刑事訴訟法246条
検察に送致が行われず、警察の取り調べの段階で手続き終了となる処分のことを
「微罪処分」
と言います。
微罪処分となる条件
微罪処分となる条件について条文には明記されていません。
また、検察の指定した犯罪の種類によって条件も細かく違うようです。
ただ一般論として、以下の条件にあてはまるときには微罪処分となる可能性が高いようです。
微罪処分となる条件の一例
- 検察官が指定した犯罪である
- 被害が軽微で被害回復が行われている
- 犯行態様が悪質ではない
- 被害者が加害者に罰則を望んでいない
- 初犯
- 家族や上司などの監督者がいる
逮捕後、微罪処分となればすぐに釈放されます。
そして、刑事手続き終了となるので、
- 起訴されず
- 裁判は開かれず
- 刑事罰も科されない
つまりは「お咎めなし」となります。
まとめ
送致とは?
送致 | |
---|---|
対象 | 原則、被疑者特定にいたったすべての刑事事件 |
意味 | 警察から検察へ被疑者の身柄や証拠物を送る手続き |
期限 | 逮捕後48時間以内 |
微罪処分 | 送致が行われなかったときは、その時点で事件終了 |
送致についてよりくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
逮捕後に釈放されないケース|勾留請求
いま一度、逮捕後の流れを図解したイラストを見てみましょう。
微罪処分とならず送致されてしまった事件は、検察官、裁判官によって勾留するかしないか検討されることになります。
勾留とは
事件の被疑者についてそのまま身体拘束し続ける処分。
とくに、逮捕後に行われる勾留を「被疑者勾留」という。
被疑者勾留が行われるとき、まず検察は事件の送致から24時間以内に、裁判官に対し勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者について本当に勾留する必要があるのかどうかを審査します。
勾留の条件
勾留が認められるのは被疑者について以下の条件に当てはまったときです。
勾留の条件
- ① 被疑者が定まった住居を持っていない
- ② 被疑者が証拠隠滅するおそれがあると認められる
- ③ 被疑者が逃亡したり、逃亡するおそれがあると認められる
実務上は②を理由として、ほとんどの事件について勾留請求が行われ、また裁判所も勾留を認容しています。
平成28年の統計データをみてみましょう。
割合 | |
---|---|
①勾留請求率 | 約92.3% |
②勾留認容率 | 約96.6% |
勾留請求率は約92.3%でそのうち勾留が認容されたのは約96.6%。
つまり、送致された事件の約89%の事件について勾留が行われたということになります。
勾留の最大の日数
被疑者勾留は起訴、不起訴の判断がくだされるまで最大で20日間にわたり行われます。
まず10日間勾留が行われたのち、やむを得ない事情がある場合に限り10日間延長できる規定となっているのです。
勾留延長が行われる際には、検察官によって勾留延長の請求が行われ、裁判官によって勾留延長の必要性が審査されます。
こちらも平成28年の統計データを見てみましょう。
割合 | |
---|---|
①勾留延長請求率 | 約63.4% |
②勾留延長認容率 | 約99.8% |
勾留が行われたうちの6割ほどの事件について勾留延長が請求され、そのほとんどが認められています。
つまり…
実務上は、送致された事件のほとんどについて勾留される。
勾留された事件の半数以上は勾留延長までされる。
たっぷり20日間にわたり身体拘束されるケースも多い。
勾留されず釈放されるケース「在宅事件」
いま一度、勾留の条件を確認してみましょう。
勾留の条件
- ① 被疑者が定まった住居を持っていない
- ② 被疑者が証拠隠滅するおそれがあると認められる
- ③ 被疑者が逃亡したり、逃亡するおそれがあると認められる
実務上は、送致された事件についてほとんど勾留まで行われます。
ただここ数年、勾留の条件に当てはまらないとして、裁判官が検察官の勾留請求を却下するケースもじわじわ増えています。
勾留請求が行われなかった、勾留請求が却下された場合には、被疑者はすぐさま釈放されます。
送致後に釈放された事件は、在宅事件として刑事手続きが進んでいくことになります。
在宅事件となったときは、微罪処分とは異なり、釈放後も刑事手続きは進んでいきます。
具体的には、事件現場に呼び出されて現場検証に協力させられたり、警察署に呼び出しを受けて日帰りで取調べを受けたりする可能性があります。
ただ、それら捜査協力は自宅から通うかたちで行えるので、社会的に受けるダメージはそうとう軽減されます。
まとめ
勾留とは?(被疑者段階)
被疑者勾留 | |
---|---|
対象 | 逮捕後、送致された事件 |
意味 | 被疑者の身柄を留置場に拘束し続ける |
期間 | 最大20日間 |
勾留されなかったとき | 在宅のまま刑事手続きが進む |
逮捕後の山場|起訴、不起訴の判断
- 勾留が行われた場合は原則、勾留期間中に
- 勾留が行われず在宅事件となったときは、必要な情報が集まりきるまで
検察官と警察官は共同して捜査を進めます。
とくに検察官にとっては、
「起訴、不起訴の判断をくだすのに必要な情報を集める」
ことが第一の目的となります。
起訴、不起訴とは
起訴とは
「犯罪の被疑者を裁判にかけたいと思います。裁判を開いてください」
という訴えを起こすことを「起訴」と言います。
不起訴とは
起訴を行わないことを「不起訴」といいます。
不起訴となれば、
- 裁判は開かれず
- 刑事罰が科されることもなく
- 前科もつかない
つまりは「お咎めなし」となります。
日本の刑事手続きにおいては検察官に広い裁量権が認められています。
犯罪の被疑者について一から十まで全員を裁判にかけず、まず検察官によって裁判にかける者、かけない者が仕分けされるというわけです。
刑事罰を免れて前科をつけないためには、何よりもまず不起訴処分を獲得することが重要です。
不起訴となる理由
不起訴となるのは、確たる証拠がないときなど、冤罪が疑われる場合だけではありません。
重要
被疑者について事件の犯人であると十分疑われる場合でも、「今回は勘弁してやろう」と検察官が判断したときには不起訴になる
統計上、送致が行われた事件の約6割の事件については不起訴処分となっています。
たとえ事件に身に覚えがある場合でも、自暴自棄になることはないということです。
不起訴についてよりくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
ここで刑事事件の手続きについてまとめてみましょう。
まとめ
刑事事件の流れ
①事件が検察に送致される |
---|
警察から検察に被疑者の身柄や証拠物が送られる。 検察が事件を認知。 |
②検察が勾留請求を行う |
引き続き身体拘束する必要があれば検察が勾留請求し、裁判官がそれを承認。 |
③勾留が認められて、被疑者を最大で20日間拘束 |
実務上、ほとんどの事件で勾留が認められる。 また勾留が認められた事件のうち、およそ6割の事件は勾留延長まで認められる。 |
④起訴、不起訴の判断 |
必要な捜査を完了し、被疑者について裁判にかけるかどうかを検察官が判断。 |
逮捕から起訴までの流れについては『逮捕・勾留から起訴までの流れ|図解でスッキリ刑事手続き』でも解説しているので、興味がある方はご覧ください!
逮捕後は携帯没収!連絡は途絶
逮捕後の流れを解説してきましたが、ここでひとつ注意しなければならない点があります。
それは、
逮捕後、被疑者は外部と連絡をとるのが困難になる
という点です。
一般的に、逮捕されて警察署内に連行されると携帯電話は没収されます。
また、
- 身元引受人を呼ぶような場合
- 警察官から特別な配慮があった場合
などを除き、通常、警察官が被疑者の家族に逮捕の事実を知らせてくれるといったことはありません。
「夫が音信不通になり、何日も帰ってこないと思ったら実は逮捕されていた…」
といった体験談は珍しいものではありません。
逮捕されたことを家族などに知らせたいときには、弁護士の力を借りることになるでしょう。
よりくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
逮捕後の裁判の流れ|起訴後の釈放を目指す
ここまで逮捕後、起訴されるまでの流れについて解説してきました。
起訴されるとその後は裁判となりますが、統計上、起訴後の有罪率は99.9%を超しています。
起訴後の流れについてもここで解説していきましょう。
起訴後の流れ|略式裁判と正式裁判
起訴後は、
- 「略式手続」がとられて簡易的な裁判をうける
- 「公判請求」されて正式な裁判をうける
このどちらかの流れをたどることになります。
略式手続とは
「検察官と弁護士双方が意見を述べることなく、簡単な審理で裁判を終わらせる手続き」
この手続きのことを「略式手続」と言います。
略式手続
裁判所が過去の判例などを参考に適切な金額を算定し、罰金もしくは科料を科すという簡易的な裁判。
公開の場で裁判が開かれることはなく、検察官と弁護士が意見を戦わせることもない。
略式手続となれば、1日のうちにすべての手続きが終わり、罰金などの支払い命令が下ってすぐ釈放となります。
略式手続がとられるのは、事件について以下の条件に当てはまったときです。
①検察官の判断 |
---|
事件を担当する検察官が、略式手続を行うのが相当であると判断していること |
②裁判官の判断 |
事件を担当する裁判官が、検察官からの略式手続の要請について相当であると判断していること |
③被疑者の判断 |
被疑者が略式手続を行うことに同意すること |
④裁判所 |
簡易裁判所の管轄となる事件であること |
⑤罪 |
100万円以下の罰金または科料が見込まれる事件であること |
つまり、ごく簡単で、軽い罰が見込まれる事件については、正式裁判を開くまでもないこととして、この略式手続がとられるというわけです。
正式裁判とは
略式手続では済まないような事件については、正式に裁判を開いて事件を審理する、つまりは「正式裁判」が開かれることになります。
また検察官が正式裁判を開くよう要請することを「公判請求」と呼んだりもします。
略式手続と公判請求の統計
統計上、公判請求されるよりも略式手続をとられるケースの方が、数としては圧倒的に多いです。
平成28年の統計を見てみましょう。
人数 | |
---|---|
公判請求の人数 | 87,735人 |
略式手続の人数 | 264,934人 |
略式手続の割合 | 約75% |
起訴された総数と比較したときの、略式手続がとられた人数の割合は約75%でした。
ここ数年の推移を見てみても、おおむねこの割合を維持しているようです。
正式裁判が開かれる機会というのは、意外なほど少ないということがわかります。
正式裁判の流れ
正式裁判、と言えば
「弁護人と検察官が激しく意見を戦わせる!」
といったイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
しかし、実際の正式裁判はより事務的で、淡々と進むことが多いです。
正式裁判の流れも解説していきましょう。
正式裁判は大きく、
- ① 冒頭手続
- ② 証拠調べ手続
- ③ 検察官による論告、求刑と弁護側からの最終弁論
- ④ 判決言渡し
といった流れをたどります。
多くの裁判では2回にわたり公判が開かれます。
初公判の日に①~③まで終わらせてしまい、次の公判で④、つまりは判決を言い渡すというわけです。
①冒頭手続
冒頭手続では裁判開廷にあたって、その前提となる事実の告知などが行われます。
冒頭手続の内容
「人定質問」
裁判官が被告人に対し、名前や本籍、生年月日などのプロフィールを聞いて人違いでないか確認
「起訴状朗読」
検察官から何の事件について、どんな容疑で裁判を開くのかを簡単に説明
「黙秘権の告知と認否確認」
裁判官が被告人に対いて黙秘権があることをしっかり知らせた後、罪状を認めるのか、否認するのかを聞く。
②証拠調べ手続
刑事裁判は、すべてが証拠によって判断されます。
冒頭手続の後は、まず検察側から立証活動が始まります。
検察側の立証が終わると、続いて弁護側が立証活動を行います。
立証活動の内容
刑事裁判において採用される証拠は3種類に分類されます。
物証 |
---|
犯行に使われた包丁、血の付いた衣服など、物的な証拠 |
書証 |
警察署での取り調べ調書や鑑定書など、書面に記載されている形式の証拠 |
人証 |
事件の目撃者や関係者などの人物から、直接供述してもらう形式の証拠 |
提出された証拠を証拠として採用するかどうかは、すべて裁判官が判断をくだします。
なお3種類の証拠のうち、人証は裁判所において証人から直接証言してもらうことにより、はじめて証拠となります。
証人尋問
証人を裁判所に呼び出し、直接供述してもらうことで人証とする。
この手続きを証人尋問と言います。
証人尋問のための呼び出しを受けた証人は、原則決められた期日にきちんと裁判所に出廷する義務を負います。
一般に証人尋問は以下のような流れをたどります。
①宣誓書読み上げ |
---|
裁判所に出廷した証人は、 「包み隠さず、真実だけを証言します」 といった内容の宣誓書を読み上げます。 |
②主尋問 |
証人として申請した側からまず尋問が行われます。 |
③反対尋問 |
証人として申請した方とは反対の側から尋問が行われます。 検察側が呼んだのであれば、今度は弁護人側から質問が行われるわけです。 |
④裁判官からの尋問 |
主尋問と反対尋問は、十分に立証が尽くされるまで交互に何回でも繰り返されます。 十分に尋問が繰り返されたあと、最後に裁判官から補充的な尋問が行われます。 |
証人尋問では、
- 事件の目撃者、関係者を呼んで事件の信ぴょう性を裏付け
- 被害者本人を呼んで被害状況を確認
- 被告人の身元引受人を呼んで、しっかりとした監督者のいることを提示
- 被告人の友人などを呼び、被告人が普段は真面目かつ善良な一市民であったことを提示
などをすることが多いです。
③検察官による論告、求刑と弁護側からの最終弁論
検察側、弁護側双方の立証活動が終わると、まず検察側から、「論告」と「求刑」が行われます。
論告
まず最初に検察側が事件を総括し、意見を述べます。
これを論告と言います。
多くの論告では、主に被告人の犯行の悪い部分について焦点をあてて、犯行について断罪する口調がとられます。
求刑
論告から引き続き、検察官は
「以上、諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を(懲役や禁錮などの刑罰○○年)に処するのが相当と思料します」
などと締めくくります。
この、どのような刑罰に処するべきかの意見を「求刑」と言います。
最終弁論
検察の論告、求刑が終わったあと、弁護側が被告人を擁護する意見を述べます。
これを最終弁論と言います。
無罪を争う場合には無罪判決を出すよう求め、犯行事実に争いがない場合には、刑罰を軽くするよう求めます。
④判決言渡し
弁護側の最終弁論の後は、被告人自ら意見を述べる機会が与えられます。
これを被告人最終陳述と言いますが、この陳述が終わることで審理はすべて終了となります。
後日、最後の公判が開かれ、そこで裁判官から判決が言い渡されることとなります。
まとめ
正式裁判の流れ
①冒頭手続 |
---|
被告人の確認や事件、罪状の確認など裁判の前提となる事実の告知 |
②証拠調べ手続 |
検察側→弁護側の順番で証拠を提出 |
③検察官による論告、求刑と弁護側からの最終弁論 |
検察側が事件を総括して、被告人にどのような刑罰を科すべきか進言 弁護側が被告人を擁護 |
④判決言渡し |
後日、最後の公判で判決が言い渡される |
正式裁判中は勾留も継続|保釈による釈放とは
略式起訴となったときは、通常は勾留の満了日に裁判所に連れていかれ、その場で罰金などの支払い命令を受け、すぐに釈放されることになります。
つまりは1日で裁判手続きが終わるというわけです。
ですが正式裁判が開廷される運びとなったときは、そう短く終わりません。
公判回数が2回の場合、2か月~3か月ほどかかる見込みとなります。
公訴事実を否認しているような場合では、公判回数も多くなり、裁判はさらに長期化します。
被告人勾留|身柄は拘置所へ移送
逮捕後に勾留され、そのまま正式裁判が開かれる運びになったとき、通常、勾留も継続されます。
被疑者の身柄は留置場から拘置所に移され、そこで身体拘束を受け続けることになるのです。
また、勾留継続の必要があると認められるときには、1か月ごとに勾留期間が更新されることになります。
また更新の回数は原則1回までと定められていますが、事件が下記の条件に該当する場合には、更新回数に制限はありません。
勾留更新が無制限の事件
- ① 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したものであるとき
- ② 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき
- ③ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
- ④ 被告人の氏名又は住居が分からないとき
実務上、軽微な事件であっても③を理由に何回も勾留更新が行われる場合もあります。
とくに否認事件の場合、「長期化する裁判の期間中ずっと身体拘束され続けることになる」といったケースは珍しいものではありません。
保釈とは
起訴後、一定の金額のお金を裁判所に預ける代わりに、身体拘束から解放される。
この制度を「保釈」と言います。
保釈金とは
保釈の際に裁判所に預けるお金を保釈金と言います。
保釈金は、裁判終了後に返還されます。
ただし、裁判期間中に逃亡などをすると、保釈金は没取されます。
保釈金の金額は被告人の経済状況などを見て、裁判にきちんと出廷することを担保する程度の額が個別に定められます。
保釈についてよりくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
逮捕後の面会の流れとは?|仕事はどうなる?逮捕の生活への影響も解説
ここまで逮捕後の流れ、逮捕直後から裁判の結審まで解説してきました。
身内の方が逮捕されそうな、あるいは逮捕されてしまったという方は面会の方法や流れについても気になるところかと思います。
ヤフー知恵袋にはこのような質問が投稿されていました。
nxs********さん2010/6/1120:24:45
拘留中の面会について
昨日朝彼が窃盗の容疑で逮捕されました。
面会はいつ頃からできるのでしょうか?
(略)
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1242100007
さらに、逮捕の当事者の方にとっては、逮捕後の人生への影響も重要な事柄であることでしょう。
- 逮捕後の面会の仕方
- 逮捕後、解雇の可能性や再就職への影響
について触れておきましょう。
逮捕後の面会の流れ
留置場での面会の流れは以下のイラストのようになっています。
一般の方については、勾留決定の翌日以降から面会が可能となるのが通常の運用です。
つまり逮捕直後の数日、一般の方はふつう面会できないのです。
さらに、面会が可能となったあとでも、さまざまな制限が課せられます。
面会の制限
- 面会ができるのは平日の昼間のみ
- 1回の面会時間は15分~20分
- 面会回数は勾留されている本人基準で1日1回まで
- 面会室には警察官が立ち会う
弁護士の場合は、原則としてこういった制限を受けることはありません。
身内の方が逮捕、勾留されてしまった場合は、弁護士に依頼して面会を代行してもらうのもいいでしょう。
留置場での面会について、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
面会にあたっては差し入れを行うこともできます。
留置場への差し入れについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
逮捕後の人生への影響|仕事は解雇?再就職は困難?
「逮捕=即解雇=人生破滅」
多くの方はこのようにお思いなのではないでしょうか。
ですが、それは誤解と言えるかもしれません。
実は、
- 逮捕を理由とした懲戒解雇は不当である可能性が高く
- 有罪が確定した場合であっても、私生活上の犯罪行為であれば懲戒解雇は不当である可能性が高い
のです。
懲戒解雇の可能性
逮捕段階の解雇
日本の司法においては「推定無罪の原則」が適用されます
推定無罪の原則
「有罪判決が確定するまでは、何人も犯罪者として取り扱われない」という原則
有罪判決を受けるまで、つまり逮捕段階の被疑者は無罪であるものとして取り扱わなければならないのです。
統計上、検察に送致された事件の6~7割ほどの事件は不起訴となります。
実務的な面から言っても、逮捕段階の被疑者を犯罪者と同列に扱うのは不当と言えるでしょう。
有罪判決確定後の解雇
有罪が確定したあとであっても、
業務と関係のない日常の生活の中で犯した犯罪
であれば、解雇を行うのは不当と認められる可能性が高いです。
私生活上の犯罪の一例
- 通勤途中の痴漢行為
- 帰宅途中の買い物における万引き、窃盗行為
- 居酒屋で酔っぱらって人を殴ったという傷害行為
社内窃盗など、会社に対する直接の背任行為は例外ですが、判例上、業務に関係のない犯罪で解雇にするのは、不当とみてほぼ間違いないでしょう。
よりくわしく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
なお解雇が不当であったとしても、逮捕されたことが社内に広まってしまったときなどは、会社に居づらくなってしまいます。
現実的には不当な解雇があった際には、解雇を取り消してもらった上で自主退職の道を選ぶという方が多いようです。
履歴書への記載や面接での受け答え
「逮捕された後の就職はそうとう厳しくなる」
そのようなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
逮捕後の就職の実際のところを解説しましょう。
逮捕後の履歴書
就職の際、「賞罰欄」のある履歴書を使用するときには、前科を記載する必要があります。
前科というのは、一般に有罪判決をうけたという事実を言います。
いわゆる前歴は、賞罰欄に書く必要はありません。
重要
- 逮捕後に不起訴になった場合
- 逮捕後に起訴されたものの、無罪判決をうけた場合
賞罰欄にそのことを書く必要はない
逮捕されたという事実はあくまで「前歴」です。
あくまで有罪判決を受けた場合に、賞罰欄にそれを書きます
逮捕後の面接
面談で前科、前歴を聞かれたら、判例上は正直に答えなくてはならないと規定されています。
あとから嘘がバレた場合、内定取り消しや解雇処分となる可能性もあります。
面接や就職時に嘘をついたらバレる?
企業によっては、内定を出す前や内定直後にその者の身辺調査を行う場合もあるようです。
面接などで嘘をついたとして、身辺調査で前歴や前科がバレる可能性はあるのでしょうか?
結論から言うと、前科前歴がバレるのは以下の特殊な事例に限られます。
前科・前歴が判明する事例
- その事件がマスコミ報道されている
- その事件がネット上に掲載されている
- 周辺の聞き込みによって前科、前歴が割れてしまうほど、事件が周知されている
「前科は戸籍に載るからちょっと調査すればすぐにわかる」といった誤解をお持ちの方は意外と多いようです。
しかし、前科の記録をつけている自治体、検察庁は、そのデータを一般公開することはありません。
新聞、テレビ、ネットなどの閲覧や検索、また周囲の聞き込みによって前科が割れさえしなければ、事件がバレる可能性は低いと言えるでしょう。
注意
繰り返しになりますが、仮にあとから事実がバレた場合、内定取り消しや解雇処分となる可能性があります。
仮に嘘をつく場合は自己責任で、細心の注意を払って行いましょう。
判例上、嘘をついてはならないと定められていることを十分に認識しておいてください。
まとめ
前科前歴の就職への影響
前科 | 前歴 | |
---|---|---|
履歴書の賞罰欄 | 記載する必要がある | 記載する必要はない |
面接等で聞かれた場合 | 言う必要がある* | 言う必要がある* |
なお、本記事に記載したこと以外で逮捕後に知っておきたい情報は『逮捕されても人生終了じゃない!早期釈放と前科・クビ回避の方法』にまとめているので、興味がある方はご覧ください。
逮捕後の流れについて不安な方は弁護士に相談!
ここまでアトム法律事務所の弁護士とともにお送りしました。
逮捕後の流れなどについて、かなり深いところまで知ることができたのではないでしょうか?
この記事をご覧になっている方の中には、自分の事件に即して具体的なアドバイスが欲しい! という方もいらっしゃるかもしれません。
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最後に弁護士からメッセージ
では最後に一言お願いします。
逮捕後の流れについてお悩みの皆さん。
逮捕後であっても、早い段階で弁護士に相談していただければ、検察官や裁判官への働きかけによって勾留を阻止することができる場合があります。
勾留決定後であっても、被害者との示談締結などの活動によって、不起訴処分の獲得などについて可能性が高まります。
逮捕後の人生について、社会的なダメージをおさえることを考えると、弁護士に依頼するのは賢明な判断です。
少しでも気がかりなことがあれば、まずはとにかく弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は逮捕後の流れについて解説してきました。
逮捕後の流れについてのまとめ
- 逮捕後は、原則事件が検察に送致され、勾留するか否か、起訴するか否かの判断がくだされる
- 事件が起訴されたあとは、簡易的な裁判で罰金や科料が科せられるか、もしくは正式な裁判が開かれ事件が審理されることになる
- 逮捕直後、一般人が被疑者と面談するのは難しい。また、仕事や再就職に一定の影響が出る可能性もある
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